ニアショア開発とは?オフショアとはどう違う?

企業の開発や新規プロジェクト立ち上げの際などに取り入れられ、大手有名企業でも実践されているのがニアショア開発です。ここでは、ニアショア開発とは一体何なのか、オフショア開発とはどう違うのかなどをご紹介致します。また、成功・失敗事例から学べることや最適なプロジェクトはどんなものなのか、ニアショアに関する情報をお伝えいたします。

ニアショア開発とは

ニアショアとは、要約すると「近くの海岸」「そばにある海岸」という意味になります。これをビジネス用語に置き換えると、地方企業への外注や近い場所にある企業・事業所への外注という意味となり、「国内で、近場の企業や地方企業への外注」をニアショア開発と言います。都心のシステム会社が地方企業や事業所へ業務委託を行うこともニアショア開発と言い、実は多くの企業で実践されている開発方法です。

このニアショア開発は、地方の方が人件費や固定費などが安いため、こうしたコスト面を削減させる目的で取り入れられることが大半です。都心企業から地方企業へ、地方企業からまた違う地方企業へと、日本国内でも様々なニアショア開発がおこなわれています。

また、本社の近くに開発拠点を備え、ニアショア開発を行う企業も少なくはありません。このニアショア開発は、オフショア開発とどう違うのか、メリットデメリットは何なのか、最適なプロジェクトは何なのかなど、ニア所開発に関する多くの情報をお伝えいたします。

オフショア開発との違いは?

開発事業でよく耳にする機会があるオフショア開発。これはニアショア開発とどう違うのでしょう。一番の大きな違いは場所です。ニアショアが国内の地方企業・事業所に業務委託をするという事に対し、オフショア開発は国外の企業に業務委託を行う事を指します。オフショアは要約すると「岸から離れた」「海外の」という意味になります。国内か、海外かという部分が、ニアショアオフショアの大きな差となるでしょう。

コスト面の削減などという目的は同じですが、その削減率も大きく変わり、人件費や固定費を抑えるためにはオフショア開発の方が有効となります。また、コスト面ではオフショアに比べそこまでの大きな削減はできませんが、海外委託と違い国内企業への依頼になるので、言葉の壁、時差、カントリーリスクなどの心配は何一つありません。そのため、スムーズなやり取りや円滑なスケジュール進行など、オフショアに比べネックとなる部分が少ないというのも特徴です。

メリット・デメリット

ニアショア開発を取り入れることで企業にどんなメリットデメリットが生じるのかをよく理解することが大切です。多くの企業が取り入れているからと言って、それが自社にも最適かどうかはまた違う話になります。ニアショア開発を活用することにより発生するメリットや、そのメリットをさらに伸ばす方法、逆に自社にとってマイナスとなるデメリットやその補い方法を知ることで、失敗しない開発方法を選択することが出来るようになるでしょう。

メリット

開発コストの削減

地方と都市部を比較した際、最低賃金設定に差が生じます。そのため、開発に関する人件費を抑えることが可能になり、結果としてコスト削減が実現します。ニアショアが注目されているのは特にこの人件費削減の部分と言っても過言ではないでしょう。また、比較的距離の近い企業同士であれば、移動などの交通費も抑えることが出来るでしょう。オフショアによる海外への開発依頼とは違い、行き来することで何日もの時間をかける必要もなくなります。こうした点から、コスト重視の案件に非常に適しているという事が言えるでしょう。

意思疎通がしやすい

委託企業が国内になるため、コミュニケーションの取りやすさが特徴です。文化の違いや仕事に対する基本的な姿勢などの根本的な部分に相違がないので、安心して開発依頼を行うこともできます。円滑な意思疎通が図れ、密なやり取りもしやすくなるでしょう。オフショア開発との大きな違いはこの「言葉の壁」です。どうしても海外の人との意思疎通は難しく、時には誤ったニュアンスで通じてしまう場合もあるでしょう。しかし、ニアショア開発ではそうした心配はありません。また、万が一イレギュラーなトラブルが起きた際にも、迅速に的確な対応が取れるのも大きなメリットとなります。

自然災害リスクの回避

日本は地震や台風などの自然災害が起こりやすい場所です。こうした自然災害によって企業活動を停止しなくてはいけないという事も大いにある得るでしょう。しかし、ニアショア開発による複数の拠点を持つことでこうした災害時のリスクを分散させることが出来ます。本社を都心部にし、開発拠点を地方へ移せば災害のリスク回避に対して、一定以上の高い効果を得ることも可能です。企業同士の距離が近すぎてしまうと、リスク回避の恩恵はあまり受けられなくなるのでそこだけ注意しておけば、自然災害時での被害も最小限で抑えることが出来ます。

カントリーリスクがない

海外への業務依頼の場合、国際情勢の変化、各国のデモ、為替の変動によるコスト増など、様々なカントリーリスクがあります。海外との連携になれば、国内の情勢だけでは終わりません。取引国に何かしらのトラブルが起きた際、必ずと言っていいほど企業の開発に影響を及ぼしてしまいます。しかし、ニアショア開発は全て国内での開発業務になります。そのため、国際情勢が大きく変化しようと、為替が大幅に変動しようと、何の問題もなく業務遂行を行えるでしょう。こうした面でニアショア開発は、大きな安心感を得られる方法と言えます。

デメリット

コスト削減率が低い

メリットでお話ししたコスト削減ですが、実はデメリットにもなるんです。というのも、オフショア開発と比較した際、その削減率は期待値より低くなる可能性があります。オフショアの代表として最も注目を浴びているベトナムですが、人件費だけで見ると日本のエンジニアの1/3程度というデータがあります。地方の人件費がいくら安いと言っても、ここまで下がることはまずありません。都心部で全てを賄うよりはコストを抑えられるというのは確かですし、それが大きな目的という企業も少なくないでしょう。しかし、その削減率はあまり大きくないというのが一つのデメリットとなります。

エンジニア確保が難しい

IT業界は非常に深刻な人手不足が続いています。都心部でも人材確保に重点を置いている企業も少なくはありません。そのため、地方ではそれ以上に人材の確保がしにくいという難点があります。少子高齢化から働き手が不足している日本では、今は都心部、地方に限らず人手不足は深刻化しています。また、地方に出れば出るほどスキルや経験が乏しい・プログラミング言語を扱えるエンジニアが少ないなどという問題は大きくなり、場合によってはニアショア開発が困難となってしまう事もあり得るでしょう。

発注先選定が難しい

前述した通り、多くの企業、事業所で人手不足が問題となっています。そのため、外注企業を決めること自体が難しくなってしまうでしょう。人気のある地方や企業、事業所などは、すでに他のシステム会社の案件を取り扱っており、新規受注スケジュールの都合がつかないという場合も多くあります。そのため、ニアショア開発を行う際には、まず初めに複数の地方、企業をリストアップし、そこからスケジュールなどでマッチする発注先を決めることをオススメします。

再委託の可能性

ニアショア開発を依頼した企業が、その案件を別の企業に再委託するという事も考えられます。案件の再委託が行われてしまうと、要件の認識にズレが生じてしまったり、出来上がったものの修正にかなりの時間を要してしまうこともありえるでしょう。また、クオリティを担保することがむずかしくなってしまいます。こうした再委託を予防するためには、契約の際にしっかりと書面で再委託に関する事項を、明確に明記しておく必要があります。こうした少しの手間も、ニアショア開発のデメリットと言えるでしょう。

コストは?

自社での開発とニアショア開発で大きく差が出るのが人件費です。システム開発における大半のコストはこの人件費で、その割合は8割以上にも及びます。エンジニアの人件費を抑えることが出来れば、自然と全体の開発コストも下がってくるでしょう。何度もお話ししましたが、ニアショア開発の大きな目的はこの人件費削減です。都市部では人材不足の問題からエンジニアの人件費が高騰傾向にあるため、多くの企業がこのニアショア開発を活用しています。人材不足は地方でも同じですが、都心部よりも物価や住宅費が低いことから、人件費を抑えられることも事実です。

地名エンジニア平均年収
東京約550万円~
神奈川約500万円~
北海道約450万円~
大阪約470万円~
山形約330万円~
沖縄約380万円~

上記は場所によるエンジニアの平均年収です。一部の地域のみにはなりますが、この中だけでも東京と山形で200万円以上もの差になります。そのため、ニアショア開発で地方企業に依頼することが人件費を抑えることに繋がるのはご理解いただけたと思います。案件、プロジェクトの内容により細かな金額は変わりますが、開発費用8割超えの人件費だけで見ても、こうした大きな差が明確に出るため、結果としてニアショア開発がコスト削減の方法として多くの企業で活用されています。

しかし、これはあくまでも平均の値になるため、実際はここまでの差が開くという事はあまりありません。同じ国内ですので、この数値のような大きな差というのは、実際あまり感じられることはないでしょう。そのため、ニアショア開発を行う際には、「都心部の優秀なエンジニアを雇うよりは安くできる」という程度の認識である方がいいかもしれません。

オフショアとの比較

デメリットのお話の際に「オフショア開発よりコスト削減率が低い」という事をお伝えしましたが、実際どの程度変わってくるのかを詳しくご紹介致します。先にもお話しした通り、ベトナムは日本の1/3程度という低収入であることと、優秀なエンジニアが多いという観点から、オフショア開発で注目を浴びています。

エンジニア平均月単価
日本約55万円~
中国約35~40万円
インド約30~40万円~
ベトナム約33万円

上記は国別のエンジニア単価です。スキルや経験などにより変動するため、一概には言えませんが、基本的な価格はこの程度となります。オフショア開発ニアショア開発よりもこうしたコスト削減を目的とした依頼がほとんどです。また、オフショア開発で依頼する国はアジア圏がほとんどですが、エンジニアのレベルが高く質の高さやクオリティなどは文句のつけようもないほどの仕上がりとなっています。

安く高クオリティの納品物が期待できる一方で、相手が国外の企業となるため初めて開発依頼を行う際には不安に思う方も多いのではないでしょうか。そうした場合は、ニアショア開発で国内での発注の方が安心できます。人件費のみで見た場合、確かに大きくコスト削減が可能となりますが、海外とのやり取りをしっかりと出来る人材や体制などが必要不可欠になるため、最悪の場合新たな人員確保が必要になるでしょう。そうなると、ニアショア開発で依頼を行った方がコストを最小限に抑えることできるかもしれません。

ニアショア事例

ニアショア開発の実際の事例をご紹介致します。成功例では「Webビジネスで欠かせないシステム導入を検討しているが、社内に詳しい人材がいないためほとんど丸投げでニアショア開発を依頼した企業」です。また、失敗例では、「ECサイト運営のおけるリスクを減らすためにニアショア開発を依頼した企業」の例です。どちらも珍しくない事例ですので、ぜひご参考ください。

成功

情報システムの導入を考えているが何から手を付ければいいか分からないと悩んでいた企業Bでは、ニアショア開発により現状分析からシステム導入のコンサルティングまでを一貫して依頼しました。社内にシステムに詳しい人材がおらず、全く知識のない状況であったため、依頼した企業にほとんどお願いするという形での契約となりました。何度も繰り返し現状調査や課題の分析などを行い、適切なシステムやツールの導入提案などをしてもらいました。また、その際も一つ一つを嚙み砕き丁寧に説明してもらえたため、何の不安もなくシステム導入を行うことが出来ました。

導入後にはシステムの運用研修やマニュアルなども用意してもらうことが出来、その結果社内全体のレベルが上がり、情報システムを上手く活用した業務の遂行が可能となりました。企業Bは、知識やスキルの乏しい社内人材であったために、全てをお願いできる企業選択をしたことで大きな成長へと繋げることが出来ました。子の事からも、ニアショア開発依頼は企業選定が非常に重要という事が分かります。選択を誤ると、この企業Bとは逆に大きな失敗を犯してしまう事もあるでしょう。

失敗

ECサイトを運営している企業Sでは、「在庫一括管理ができない為、ミスやクレームのリスクが大きい」という悩みを抱えており、解消するためにニアショア開発を依頼しました。見積もりを見た際に自社で全てを補うよりもコストが安くできるためそのままお願いしましたが、実際納品されたものは本来依頼した内容とは多くのずれがあり、確認したところ再委託をしたという事実が判明しました。結果、修正などで余計に時間やコストが掛かってしまい、他業務にも支障をきたしてしまいました。

企業Sでは、契約書に再委託に関する事項の記載をしませんでした。そのため、このような問題が起こってしまったと思われます。依頼を行う際に必ず必要になる契約の書類関連は、細かく記載をするほど手間になり面倒と感じてしまうかもしれませんが、後々こうしたトラブルになり時間も手間もコストも必要以上にかかってしまいます。そうなっては何のためのニアショア開発なのか分からなくなってしまいますので、契約に入る前にのこうした取り決めは細かく定めておきましょう。

ニアショア開発に最適なプロジェクトとは?

ニアショア開発は多くの企業からも注目され、Webビジネスが主流の昨今では珍しくない開発方法の一つとなっています。そんなニアショア開発に最も最適なプロジェクト案件とは一体どういうものなのか、悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。結論から言うと、実際どんな内容であってもニアショア開発は可能です。しかし、メリット・デメリットをよく理解し、自社にとってどんな影響が出るのかという事を明確にしておく必要があります。「〇〇のプロジェクトはニアショア開発に適していて、◇◇プロジェクトは向いていない」という事はありません。

気にすべきはプロジェクトの内容よりも、開発依頼を行うその目的によります。ニアショア開発に最も適している目的としてあげられるのが、「コスト削減以上に人材確保が一番」という場合です。人材不足はの日本全国の問題として大きくなっていますが、限られた地域でのみエンジニアを探すより、全国に拡大したエンジニア確保が可能なニアショア開発は、少なからず人材確保の道が開かれるでしょう。

オフショア開発にした方が良いプロジェクト

ニアショア開発よりもオフショア開発を選ぶべきプロジェクトも同様に、プロジェクトの中身よりもその目的により最適かどうかの判断が出来ます。オフショア開発では、人材確保よりもまず第一にコスト削減を目的とした場合です。しかし、底で注意すべきなのがプロジェクトの規模です。オフショア開発での一番のメリットであるコスト削減ですが、これは多くの人材を必要とする大きな案件になればなるほどコストパフォーマンスが上がります。逆に小規模案件の場合は、渡航費などの出費がかさむことで結果的にコスト削減率が下がってしまうという場合もあるでしょう。

これはニアショア開発にもつながる部分です。小規模案件であれば、オフショア開発で海外に依頼するよりも国内の企業に依頼するニアショア開発の方が断然お得です。委託を冠毛ているプロジェクトの規模がどの程度なのかをしっかりと明確にしすることで、依頼すべき開発方法はおのずと見えてきます。この選択を間違えてしまうと、本来の目的達成も遠くなってしまう可能性が強まります。まず初めに案件依頼する目的、規模の把握を行い依頼方法を決断するようにしましょう。

~Mattock~

Mattockは、一般的な受託型のオフショア開発でのシステム開発ラボ型で自社開発スタッフなどのように、ベトナム人エンジニアにてオフショア開発するだけではありません。クラウドソーシングサイトにて、開発エンジニアにパートタイムで小さいタスクを「時間単位」でオーダーが出来るという特徴があります!

そのため、コスト削減率に期待の持てないような小さいタスク単位や、外注依頼をするまでもないようなプロジェクトなどでも、十分なコストメリットがあるベトナムオフショア開発を試せる点が大きなメリットです!

また、そこで優良エンジニアがいればラボ型契約のオファーも可能になります。従来のラボ型、一般的なオフショア開発では、レベルの低いエンジニアや自社とは合わないエンジニアにあたって失敗してしまったという事例も少なくありません。そうしたことを防ぐために、まずは小さいタスクでお試し可能という点にが大きなメリットとなります。

まとめ

ニアショア開発は、昨今の日本で主流の開発方法の一つとなっています。開発依頼が出来る企業は全国にあり、自社のみでは難しい案件なども遂行できるようになるでしょう。メリット・デメリットをよく理解し、プロジェクト案件の規模や目的を明確にすることで、一番最適な方法を選択することが可能となります。上手くニアショア開発を活用することで、自社のレベルも上がりWebビジネスの成功へ近づくことが出来るでしょう。

Leave a reply:

Your email address will not be published.