ベトナムオフショア開発のデメリット

ベトナムオフショア開発には、コスト削減、開発リソースの確保といった非常に魅力的なメリットがありますが。決してデメリットやリスクが皆無というわけではありません。今回は、そんなベトナムオフショア開発のデメリットについて現場で見たきたリアルな情報をご紹介します!

ベトナムオフショア開発のデメリットと言っても、会社の規模や開発する内容で大きく異なります。この記事ではざっくりと、中規模から大企業とスタートアップや零細・小企業の2つに分けてそれぞれのデメリットを考えてみたいと思います。

スタートアップや零細・小企業にとってのデメリット

初期投資が必要!

ベトナムオフショア開発を検討中の企業様との商談で、『思ったより安くならない、、。』といったお声を頂くケースがまれにありますが。ベトナム=劇的に安い人件費・コストというイメージがあるからですが。それは正解ではありますが。少なからず初期投資が必要になります。この辺の事情というか、単純に安くなる、、安くなる!!とばかり情報を持っていらっしゃる場合に認識が違ったと言われることがあります。

もちろん、ベトナムオフショア開発の受託型であれば初期投資なしの毎月のランニングコストのみの契約でご利用頂けますが。大きなコストメリットと、自社のスタッフのような柔軟性を求められるならばベトナムオフショア開発のラボ型契約をお勧めいたします。そして、ラボ型のベトナムオフショア開発の場合はまた詳しくご紹介しますが。多少なりとも初期投資が必要となります。

ブリッジSE担当者がいない!

スタートアップや零細・小企業は正直、資金も人材もたりません。そんな中で、コストメリットと安くて優秀なベトナムの開発人材を確保したいということでベトナムオフショア開発をスタートされるわけですが。言葉の壁や資金の壁の前に、人材の壁にぶち当たります。

弊社の今までのスタートアップや零細・小企業様の取引ケースですと、まず5名以下でチームを組まれます。一番多いのが、2名ぐらいでまずはスタートという感じです。この場合、日本の自社事務所で一緒に開発するわけではありませんので勝手が違います。ここで悩むのが、指示系統や意思疎通の仕事上でのコミュニケーションです。とはいえ、ZOOMやSkypeと言ったオンラインでのミーティングツールは無料で沢山ありますしオンラインでの打ち合わせもだいぶ浸透したので慣れてしまえばかなりこの問題もクリアできるかと思います。

コストメリット

ベトナムオフショア開発に求められるコスト感、コストメリットは規模の小さいスポット・単発のプロジェクトなどの場合には不向きになります。開発チームの育成、管理といった目に見えないコストがあるためです。そのため、大企業様に比べ案件・プロジェクトの幅が限られるスタートアップや零細・小企業はこの点について注意が必要です。

出来るだけコンスタントに同様のタスクがあるプロジェクトや、テンプレートや定型化できるようなタスクからスタートさせるのが一番のコストメリットを感じやすいパターンかと思います。もちろん、適切にマネジメントし開発をリード出来れば複雑なアプリ開発やウェブ開発でも大きなコストメリットはあります。

ボーナスやイベントごとの報奨・プレゼント

ベトナムでは、13カ月目の給料と言われるボーナスが必要となります。主に2月のテト休み・正月休みの前にボーナスを支給する必要があります。支給する額は、給料の1か月分が相場ですが。ジョブホッピングが当たり前のベトナムでは、離職されたくないスタッフの場合は2カ月というケースもあります。この辺は、企業ごとに塩梅を決められているようです。

大企業を含めベトナムオフショア開発のデメリット

ここまででスタートアップや零細・小企業にとってのデメリットをご紹介しました。ここからは、大企業を含め中小企業からスタートアップまでこれからベトナムオフショア開発をしようと考えている方に当てはまるであろうベトナムオフショア開発のデメリットをご紹介します。デメリットとは言っておりますが。致命的なものはなく、解決策はどれもありますのでまずはこういった事があるのだと把握することからスタートしましょう。

品質の基準が違う

ベトナムオフショア開発をするうえで、日本の品質基準や感覚で頭ごなしにベトナム人はルーズだと決めつけられるケースを私も経験しましたが。これは正解のようで正解ではありません。そもそも国ごとに、美的感覚や品質に対する考え方が最初から同じことはあり得ません。これは中国やその他のオフショア開発でも同様です。

ですので、スキルの教育もですが。品質や開発スタイルやルールと言った点についても、自社の考えを理解させ浸透させる必要があります。そしてベトナムオフショア開発で上手くいかないケースとしては、これが出来なかった。出来るように教育しなかったというのを散見します。

時差

ベトナムオフショア開発に限らず、海外との時差はオフショア開発における悩みの種でもあります。どうしてもスケジュールや納期が限られている場合や、緊急の対応が発生した場合に時差でまだ営業開始していなかったりと対応の遅れが生じる場合があります。

ただしベトナムですと、この時差も2時間と軽微なものですので慣れればある程度は許容出来るかと思います。あとはプロジェクト、クライアントなどの状況に応じて発生する可能性があるトラブルや対応についても事前にフローを決めておけば焦る事も減らせると思います。

進捗管理についても、各種クラウドサービスなどを利用することで連絡を取らなくてもある程度の状況を把握出来るなどしておくといいでしょう。

対面での打ち合わせが出来ない

リモートワークやオンラインでの打ち合わせに不慣れな場合、特に開発プロジェクトではフェイストゥフェイスで対面でのミーティングがやはり効率的ではあります。ベトナムオフショア開発では、国が違うと言うこともありすぐに対面での打ち合わせができません。

もちろん現地に自社スタッフを責任者として、派遣出来る場合は別ですが。小規模なチームで予算も限られる場合にはそういう訳にもいきませんが。zoomやGoogle meetingなどの無料でオンラインミーティング、会議が出来るツールもかなり拡充してきておりますので実際の対面とまでは行きませんが。慣れればリアルタイムにオンラインで打ち合わせが出来ます。

賃金アップ

ベトナムオフショア開発を長年経験していますと、賃金アップの上昇率と優秀でアグレッシブなスタッフの昇給交渉に驚かされることがあります。ベトナムでは最低賃金に対して、5%以上が毎年上昇しますが。IT業界は中でも凄いです。政府や関係機関の資料で、15%の上昇が最大値と紹介されているケースがありますが。

そんなものではありません、いきなり2倍、3倍。つまり200%、300%の上昇で、、、昇給ではなく転職していくというケースがあります。もともとの入社時の給料を渋り過ぎてるのもあるかもしれませんが。優秀な人ほど、外資系(欧米各国)の企業にヘッドハンティングし引き抜かれます。それも育成しこれからというタイミングで、、なので状況、仕事具合での待遇改善や福利厚生の見直しも臨機応変に対応が必要です。でなければ、優秀であればあるほど当然ですが。自分にとっての利益とメリットを考えますので離職されます。

オフィス家賃アップを含めた物価上昇

一時期に比べれば落ち着いたとはいえ、物やサービスによっては常にその価値が上昇しています。たとえば、オフィス家賃ですが。弊社では複数拠点を借りておりますが。その1つ、ハノイ市のはずれにある格安オフィスですが。2015年に借りた時から5年が経過した2020年現在は、約2倍です。日本では考えられませんが。これがベトナムです。当然、それでもまだ安いですけどねw

家賃交渉のたびに、オフィスのオーナーがコレだけ上げろと交渉じゃなくてもう家賃アップしたからよろしくと当たり前の如くに通知してき嫌なら退去をと交渉の余地ないぐらいにきます。(※勿論、物件やオーナーによりますが。基本的に数回経験した身としては、最初の家賃が割安な場合は基本的にこのパターンです。)

インターネットの速度低下・断線

ベトナムでは、ホーチミン・ハノイについては、かなりインフラ整備も進められ一昔前ほどのインターネットのトラブルが減ったとはいえいまだにインターネットの速度低下が発生します。これは回線会社が敷設している、海底ケーブルの断線が主な原因ですが。発生した場合は、全く仕事にならない、、、となりますので大抵は複数のインターネット回線企業と契約しリスクヘッジしておきます。あとはモバイルwifiなどで解決できます。性格には解決ではないですが。。ですので、事前にインターネットトラブルの際の対応手順を決めておくと問題ありません。

天候の違い

日本でも大雨・洪水はありますが。ベトナムは日本よりもその量が違います。大雨というよりも、バケツをひっくり返したような豪雨・スコールが降ります。そして、日本ほどの排水処理の施設や設備が用意されていないためか洪水が至る所で発生します。感覚的には年に数回は、このような状況にあいます。もちろんですが。あまりにも天候・雨量がひどい場合には帰宅させる必要がありますのでこのようなタイミングでは在宅ワークをできるようにしておく必要があります。(※オフショア開発のプロジェクトによっては、セキュリティの関係から出来ない場合もあります。)

オフィスの違い

ベトナムのオフィスは日本のオフィスと勝手が違うというケースが多々あります。一番の問題が、エレベーターです。まあまあ階数があるのに狭いエレベーター(大人4人で一杯いっぱい)ぐらい、、しかも上にも下にも動くのがめちゃくちゃ遅いんです。上の交通量でも書いているように、遅刻する要素が多いんです。ただでさえ、時間に対して日本人のようにきっちりと守るという感覚が薄いうえに遅れる原因が多いのでこの辺は要注意です。

交通量の違い

ベトナムは、ハノイもホーチミンも朝の通勤ラッシュ時や帰宅ラッシュ時には通勤バイクの多さに驚かされます。車ももちろんいますが。バイクが相当多いです。そして、オフィスの場所によってはバイクとはいえ混雑に巻き込まれ遅刻してしまうスタッフがいますが。実際にバイクに乗ってみると分かりますが。確かにオフィスによっては、早めに出ても遅刻するぐらいのラッシュに巻き込まれます。

カレンダー・営業日・休日・祝日の違い、、テト正月など

ベトナムオフショア開発をするうえで、気を付けたいのがカレンダーの違いです。これは中国でオフショア開発する場合でもどこでも同じですが。その国ごとに祝日や連休がありますので、それを把握したうえでプロジェクトのスケジュールを組む必要があります。特にベトナムに中国は、テト正月と呼ばれる旧正月がありますので2月は稼働・営業日が大幅に減ります。

ベトナムオフショア開発のデメリットまとめ

ベトナムオフショア開発のデメリットを一通り上げて見ましたが。個人的には、これからの日本の人口推移や人口構成を考えれば日本国内でエンジニア・開発者を確保するのはかなり難しくなるのは見えているため。コストメリットだけではなく、人材・リソース確保の観点からもベトナムを含めて海外でのオフショア開発は必須となると考えております。

ですので今回ご紹介したような、ベトナムオフショア開発で皆さんが問題視されるデメリットを事前に把握したうえで解決策をプランニングしておけば大きな問題とはなりません。そして、これらを踏まえても余りあるほどにメリットがあるのもベトナムオフショア開発の良さです。開発者を育成する学業・政府のバックアップ、理数系に強い国民性。これは別記事でご紹介しますが。ベトナムは数学オリンピックにて常に日本より上位におり、2020年こそ17位と大きくランクダウンしましたが。2017年などは中国に次いで世界3位までになっているほどです。

Leave a reply:

Your email address will not be published.