【システム開発・支払い】トラブルの原因で最も多いと言われる支払いは、どのタイミングで行うのか?支払い方法や安く抑えるポイントと共に実際の裁判事例などを徹底解説!

「システム開発は契約書通りに進めていけばトラブルはおきない」 こう考えている担当者は珍しくありません。しかし、その契約書の内容は正しく把握できていますか?特に重要となるのが支払いに関する項目です。 契約書内容に同意していても、後から「こんなこと知らなかった」という事は珍しくありません。それは、多くの方が契約書の内容を流し読み程度でしか確認しておらず、形式的なサインをして開発が始まってしまうためです。 「着手金の支払いは納得していたけど50%も払うなんて聞いていない」 「システム開発が完了したのになぜか支払いがされない」 後になってこうしたトラブルに見舞われないためにも、システム開発に関する支払いについてしっかりと情報を収集しておきましょう。本記事では、支払いの方法や契約形態ごとの支払いタイミング、開発費用の内訳などを徹底的にご紹介致します。 本記事の内容を把握ししっかりと理解する事で、無駄な争いをなくしスムーズなシステム開発の依頼が行えるようになります。また、記事最後には実際の裁判事例もご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。 支払いタイミングの基準は「検収合格日」 システム開発における支払いタイミングとは、主に「検収合格日」を基準としていることがほとんどになります。具体的には、「検収合格日から〇日以内の支払い」「検収合格をした月の翌月末」など、検収合格日に基づいて支払期日が決定される事になります。こうした取り決め自体には何ら問題はありませんが、中には検収期間が長く設定されているという事もあります。 その分支払いのタイミングも長引くという事になりますので特に注意しておきましょう。仮に、「検収期間が30日間・検収合格日翌月末の支払い」という場合で見てみましょう。 システム開発を行い納品日が4月10日だった場合、検収期間が30日間となるので、検収合格日は5月10日という事になります。支払いは合格日の翌月末となっているため、報酬支払い日は6月30日になります。 このように、納品すれば報酬の支払いが行われるという事ではなく、実際にその支払いは作業を行ってからおよそ3か月後という事になります。また、上記の説明は検収に一発合格した場合の支払い日となりますので、例えばここで何かしらの問題が発生し、修正などが発生した際にはさらに修正作業が必要となりますので、受注側は修正が完了するまで報酬の受け取りは出来ません。 こうした場合、もしも報酬の支払いが遅くなることに不都合が生じる場合、発注側と受注側で事前に打ち合わせを行い、支払いに関して細かく取り決めを行うようにしましょう。検収期間を短くする、検収合格から支払いまでの期間を短くするなど。双方でしっかりと話し合い決めることが大切です。基本的には「検収合格日から支払日が決まる」という流れになりますので、この部分の話し合いを行われなければ、納品から数か月先の支払いとなる場合もありますので、よく確認するようにして下さい。 また、仮にシステム開発の契約が下請法の適用を受けるという場合、支払いは検収合格日ではなく納品から60日以内という事になります。そのため、この支払のタイミングに関する項目は、受注側、発注側双方にとって特に重要視するポイントと言えます。相違がないように事前にしっかりと綿密な打ち合わせを行いましょう。 システム開発の「検収」とは? システム開発の「検収」とは、納品された成果物が発注した通りのものとなっているかどうか確認する作業になります。簡単に言えば、受注側が発注側に対して「作業が完了しました。ちゃんとできていますか?」とシステムを提出し、発注側が「確かに受け取りました。」とOKを出すことです。納品されたものをチェックし、修正の必要はあるか、仕様通りに出来ているかを見て、大丈夫であれば検収合格となり、そこで初めて支払い日が決まります。 「検収」と「納品」の違いとは? IT業界に限らず、この「検収」「納品」という言葉はビジネスの世界ではよく耳にします。同じような意味に感じている方も多くいますが、実際は大きく意味が異なる場合がありますので、注意しておきましょう。 まず納品ですが、これは発注側に実際にシステムを渡すことを指します。この場合、システム開発では基本的にありませんが、受け渡しと支払いが同時の場合は納品という言葉はあまり使いません。大型家電や家具などのように、まずはお客様から商品代金を頂き、後から配送して商品本体をお届けする、これを「納品」といいます。支払いタイミングが前後することはありますが、このように、支払いタイミングと受け渡しが異なる場合が納品です。 では、検収とは一体何なのか。システム開発に限らず、検収とは「納品されたものに問題がないかチェックを行いOKをだす」という事になります。そのため、システム開発の場合は、まず受注側が開発を行ったものを発注側に「納品」します。その納品されたものをチェックし「検収」を行います。OKが出れば、その日が「検収合格日」という事になります。 契約形態によって支払いタイミングは異なる 支払いタイミングは、契約形態により異なるという事はご存じでしょうか。システム開発の契約形態は、「請負契約」「準委任契約」の2つに分けられます。2つの契約形態は、業務に関する義務や成果物に関することなどの大きな違いがありますが、支払いに関する内容も異なっている場合がほとんどです。では、請負契約、準委任契約の支払いタイミングはいつになるのか、どのような支払いになるのかを詳しく見ていきましょう。 【請負契約】 請負契約の場合、成果物が完成していなければ受注側は報酬の受け取りは出来ません。請負契約とは、仕事を完成させるということを約束し、その対価としての報酬の支払いが生じるという契約になります。 そのため、当然成果物がなければ報酬の発生もありません。いくら長い期間開発を行っていたとしても、完成していなければ1円も報酬は受け取れません。請負契約では、先ほど本記事でご紹介したように、「検収合格日」を基準とした支払いが行われることがほとんどです。 成果物を納品し、検収を経て報酬が発生します。そのため、納品してもすぐに支払いが行われるという事ではありません。非常に極端な話にはなりますが、未完成のままで関係が破綻してしまった場合、報酬が支払われるどころか訴訟問題に発展する事もあります。後程詳しくご紹介致しますが、報酬の「前払い」などもありますので、契約書作成時や打ち合わせ時などにしっかりと報酬の支払いについて必ず協議をしておきましょう。 【準委任契約】 準委任契約では、請負契約とは違いシステム完成が目的にはなりません。システムの完成、未完成問わず、業務を行った分の時間給が報酬として支払われます。準委任契約の場合、項目ごとに依頼を行っているという事がほとんどになりますので、その手持ちの仕事が完了した時点で報酬が発生します。 この際、当初の契約時において予定していた工程が最後まで行われていたかどうかがポイントとなります。請負契約の場合では、システムが完成し納品を行い、検収合格日から報酬の支払い日が決まりますが、準委任契約の場合、多くは工程が完了した際に、当初の取り決めにより決定した日付で報酬の支払いが行われます。 契約書で「終了した1週間後」となっていれば、業務終了した日から1週間で報酬の支払いが行われ、「終了した日の月末」となっていれば、その月の末に支払いが行われるという事になります。 システム開発の内訳・相場は? システム開発における内訳や相場は、そのプロジェクトの規模やシステムの難易度によって大きく異なります。また、契約によっては着手金や前払いなどの発生もありますので、こうした支払いについては必ず協議しておきましょう。 システム開発で多くのトラブルは支払いに関するものとなります。そのほとんどが、認識の違いや理解の不十分さが原因ですので、余計な争いを回避するためにも、システム開発の内訳や相場について、しっかりと把握しておきましょう。 着手金・前払い金について システム開発の依頼を行う場合、着手金の支払い、もしくは費用の前払いなどを行うべきなのかという疑問を抱える方も多くいるでしょう。本記事の冒頭でご紹介したように、費用の支払いは基本的に検収合格日が基準となりますが、契約内容によっては着手金や前払いなどが発生する事があります。それぞれについて、詳しくご紹介致します。 着手金とは IT業界に関わらず、様々な業界で聞く着手金ですが、基本的に仕事を開始するにあたり材料や資材などを購入する必要があるモノの場合、着手金の発生は当たり前にあります。代表的なのが建築業界です。建築物を建てるために、まずは資材を準備する必要がありますが、そこに宛てられるのが着手金です。 では、システム開発の場合はどうなのか。建築業界などとは違い、システム開発の場合は仕事を開始するにあたり準備すべき資材などはありませんので、着手金の発生はあまりありません。しかし、全くないという事ではありませんので注意してください。着手金の支払いを行う事で信用を得るという企業も少なくありません。平均的に開発にかかる費用の30%程度が相場となりますが、中にはおよそ50%ほどの着手金の支払いが必要という事もあります。 複数回依頼をしている場合は着手金がなく、初めての契約の際にのみ着手金が発生するという事もあります。また、最終の支払い時に着手金を相殺して改めて金額を出すという企業もあれば、一括で支払いを行った後着手金を返還するという方法を行っている企業もあり、それぞれの着手金に対する意識は異なります。基本は着手金はあまり発生しないという事の方が多いですが、契約段階でしっかりと打ち合わせを行い着手金についての認識を合わせるようにしましょう。 前払い金とは 前払い金は、その名の通り仕事を開始する前に支払いを行うという方法です。ですが、請負契約の場合、民法632条により、受注側が仕事の完成を約束し、発注側が完成した仕事に対して報酬を支払うという契約になります。前述した着手金などがある場合もありますが、費用を一括で前払い要求するという事は基本的にありません。約定により、開発費用に充てるために前払いを行うという事もありますが、原則としては後払いでの支払いという事を頭に入れておくようにしましょう。 フリーランスのエンジニアなどにシステム開発依頼を行った場合、条件として一括前払いを要求されるという事は少なくありません。この倍、契約形態は準委任契約となることがほとんどですので、成果物の有無問わず報酬は発生します。しかし、前払いを行うか、作業終了後に支払うかという点は、必ず契約書に明記するようにしなければいけません。比較的に規模の小さい開発の場合、前払いが用いられるという事があります。 基本的に、契約書に前払いの内容の記載がなければ、報酬の支払いは一般的な後払いとなります。双方で納得して前払いを行うという場合は、契約書にその旨をしっかりと明記し、支払時期に対しての相違がないようにしておくことが重要です。原則は後払いとなるという事をお話ししましたが、絶対に前払いが出来ないという事ではありません。傾向としてはかなり少なくなりますが、実際に前払いを要求するフリーランス、開発会社も存在しますので、後々のトラブルを回避するためにお、必ず内容を細かく契約書に盛り込み、何度も確認を行うようにしましょう。 中間金とは? 中間金は、契約の成立から完了までの中間地点で支払われる報酬の事です。前払いや着手金同様に、中間金の支払いについては契約書で必ず明記を行う必要があります。先ほどもお話ししたように、民法632条で報酬の支払いは完成した仕事に対して行われるという旨があります。そのため、契約書に記載がない場合、この民法が適用されるため中間金の支払い義務はありません。 中間金の支払いを契約書に盛り込む場合、その支払いタイミングについてもしっかりと明記するようにしましょう。設計が完了してからの支払いになるのか、製造後の支払いとなるのかなど、前もってどのタイミングでの中間金支払いが生じるのかははっきりとさせておく必要があります。契約書に記載がある以上は、中間金の支払いがないと次の工程へ進むことは出来ません。設計と製造の間に支払い義務が生じる場合、支払いが行われなければ製造過程に入りません。また、製造後の支払いとなっている場合、そこで適切な中間金の支払いがなければテストに入ることは不可能となります。 中間金だけではなく、先ほどご紹介し着手金や前払いも例外ではありません。全てにおいて、最も重要となるのは「契約書にあるかどうか」という点です。システム開発ではこの契約書が非常に強力な存在となりますので、どんな些細な事であっても、細かく明記することが重要と言えるでしょう。支払いに関するトラブルは非常に多くありますが、そのほとんどはこの契約書の作成が不十分であってり、双方の認識の違いが多くありますので、回避のためにも契約書の作成に注意して進めていきましょう。 費用は主に「人件費」 システム開発における費用は、その規模により数百万円以上かかるという事は珍しくありません。その内訳として、主となっているのは人件費です。システム開発はエンジニアが1人で行うというものではありません。SEやPG、PMなど、様々な担当者がチームを組み行っていくものです。そのため、システム開発ではこの人件費が主な費用となり、大規模なプロジェクトになればなるほど人数も多くなるため、必然的に費用も高額となっていきます。 新人システムエンジニア およそ60~100万円程度 中堅システムエンジニア およそ80~120万円程度 上級のシステムエンジニア およそ100~160万円程度 … Continue reading 【システム開発・支払い】トラブルの原因で最も多いと言われる支払いは、どのタイミングで行うのか?支払い方法や安く抑えるポイントと共に実際の裁判事例などを徹底解説!