【システム開発の相見積もり】重要性と行う際の注意点、開発成功のための4つのポイントについて徹底解説!

「○○人月1人日○○円など、提示されたけど、、システム開発の見積もりの相場が分からない」

見積もり金額だけじゃなく、出来れば自社にピッタリの会社に依頼したい」

人月単価人日単価が見積もり依頼した会社ごとに違うけどこの内容が妥当なのか判断できない」

システム開発を行う上で最初に行う見積もりですが、開発依頼に慣れていない場合、見積もりを出されてもその金額は相場の範囲内なのか、本当にこの会社に依頼しても大丈夫なのかと不安や疑問が多くあるでしょう。そんな時には相見積もりを行い、自社に最適な見積書を探し出すことをおすすめします。

相見積もりとは、複数社の会社に同時に見積もりを出してもらい開発費用の比較検討する手法です。また開発コストのみならず、自社のシステム開発を依頼すべき会社を効率的に見極めることが出来るでしょう。相場や工数などの平均を知るだけではなく、会社として開発に臨む姿勢や対応力なども判断することが出来ます。

相見積もりをうまく活用するためにはどうすべきか、本記事でその重要性や失敗しないためのチェックポイントなど、これから見積もり依頼を行うという方に向け、相見積もりに関する重要な情報全てをご紹介致します。

相見積もりの重要性

システム開発を行う場合、依頼をする前に開発会社から必ず見積もりを提出してもらいます。しかし、相見積もりを行うとなると、企業担当者の中には「1社だけでいいのではないか」「何社も見積もり依頼をするのは面倒」と感じる方もいるでしょう。しかし、システム開発依頼を行う場合、この相見積もりは非常に重要な意味を持ちます。

むしろ相見積もりを行わずに最初から1社に絞って見積もり依頼を行いそのまま開発スタートした場合、そのほとんどは失敗すると言っても過言ではないでしょう。なぜ相見積もりがそこまで重要なのか、まずは根本的な役割を深く知り、システム開発依頼を行うにあたっていかに大切なことなのかを把握しておくようにしてください。

単価や工数、期間などの妥当性

相見積もりで最も重要なのは、やはりその内容の比較と言えるでしょう。前提条件は正しく盛り込まれているか?正確な工数が記されているか、妥当な単価で金額が算出されているか、開発期間は適切かなど、多くの項目を比較することが出来ます。むしろこの比較のために相見積もりを行うと言っても過言ではありません。他社と比較し、適正な内容となっているかを確認するためにはこの相見積もりは欠かせないでしょう。

単価が極端に安いという場合、エンジニアなど開発を行う技術者が経験のない新人だったり、スキルが乏しい人材のため、人件費そのものが安いということもあるでしょう。中には地方ベンダーのために安く設定されているということもあります。逆に見積額が高いという場合、スキルや経験が豊富にある有能なエンジニアということもありますし、新人であっても都内など単価が高いベンダーであるということもあるでしょう、

この場合、なぜその金額なのかという明確な根拠をそれぞれに示してもらう必要があります。また、開発期間に関しても、新人などの場合はリスクも含まれるため期間を長く設定しているということもありますので、出来上がった見積もりに対して細かな点を直接聞き、なぜこうなったかという事を必ず確認するようにして下さい。こうした比較は相見積もりを行ってこそ出来ることになりますので、気になるところはとことん突っ込むようにしましょう。

打ち合わせ時のヒアリング力

見積もりを作成する際には、事前に打ち合わせを行う必要があります。その際、見積書を作成するための前提条件、開発の目的や導入後の将来的予測など、様々なことを開発会社に伝えます。この打ち合わせ時でいかに依頼側の業務内容を理解できるのか、適切なシステムのための見積書の作成が出来るのかは担当者のヒアリング力と理解力により異なります。話し合いの中での情報をしっかりと吸収し、システムに反映させた見積書の作成が出来る会社であれば、信頼して依頼することが出来るでしょう。

しかし、前提条件が正しく盛り込まれていない、自社の業務効率化のためのシステムであるということを理解していない場合、打ち合わせ時に伝えた内容が組み込まれていないことがあります。全く別物として出来上がることはそうそうありませんが、自社内で取り決めた前提条件が無条件に変更されているということは珍しくありません。いくら打ち合わせ時にしっかりと伝えたつもりでも、担当者のヒアリング力や理解力が弱ければ、その条件の根拠を読み取らず、開発会社側の都合を優先した見積書の作成してしまいます。

こういった開発会社は信頼できる会社とは言えないでしょう。前提条件変更の確認が前もってあるなら話は別ですが、打ち合わせ時にしっかりと説明したにも関わらず変更をする会社の場合、開発がスタートしても確認や伝達無く様々な変更をする恐れがあります。相見積もりを依頼していなければ、他の依頼先をまた1から探して見積もり依頼を行わなければいけません。見積もり作成に数日かかることは普通です。その分の日数も無駄になってしまいます。相見積もりを依頼した場合は、同じ条件で一気に見積もりを受け取ることが出来るため、こうした時間を無駄にせず、かつ会社の信頼性も判断できるでしょう。

見積もり書提出までのスピード感

相見積もりを行うと、見積書が完成し提出されるまでのスピード感とその正確さを比較することが出来ます。開発会社の中には、最短で即日見積もり作成が可能と謳っているところもあります。中には数日、数週間の期間が必要という会社もあるでしょう。もちろん迅速で素早い見積もり作成は非常に大切ではありますが、その内容に正確性がなければ意味がありません。見積もりは金額や工数を正確に記す必要があるため、早ければいいということでは決してないということを頭に入れておきましょう。

見積もり依頼を数社に依頼して、1社は即日見積もり作成を行い、残りは数日から数週間程度の期間で作成が完了した場合、特に見積書に関する知識がなければ早くに作成を行ってくれた会社、もしくは安く見積もり作成を行った会社に依頼をするという担当者は多くいます。しかし、その内容を隅々まで比較すると、大きくずれている点や極端に工数が少ない、期間が短いということがあります。

見積もり作成がスピーディで尚且つ正確性が高い見積もりは完璧に近いため信頼できると言えます。しかし、ただ素早い作成だけで前提条件などが正しく盛り込まれていない、こちらの要望や条件をしっかり反映させているのに見積もり作成に大分時間がかかってしまうという会社の場合、後々に開発に関する大きなトラブルやスケジュールの遅延などという問題が生じる可能性が非常に大きくなります。相見積もりをして正しい比較が出来れば、こうした問題を回避することに繋がります。

「ミス」の発覚

複数の会社に見積もり依頼を行った場合、自社とベンダーのお互いの見落としを発見できる可能性が非常に高くなります。伝え漏れてしまった箇所や仕様構成の誤りなどに関して、複数の視点から見ることにより開発を行う前段階で気付くことが出来るため、効率のいい開発を行うことが出来るようになるでしょう。こうした小さなミスは、開発が始まってから気付くと取り返しのつかない大きなトラブルの原因ともなります。

依頼する側が入念なチェックを行うのはもちろん当たり前ではありますが、それでもどこかしらに小さなミスはあるでしょう。伝えるべきことをしっかりと伝えられなかったという事もありますし、伝え方が不十分で理解に相違があるという事もあります。こうしたズレやすれ違いを、複数の会社を比較することにより早期発見することが可能となります。

相見積もりの際の注意点

相見積もりをする場合、ただ単に見積もり依頼を行えばいいという訳ではありません。正しく的確な比較を行うためにも、依頼する側も徹底した準備が必要になります。丸投げで見積もりだけ出してもらっても、そこから適切な依頼会社を決めることはまず不可能でしょう。相見積もりを行う理由には、先ほどお話ししたように様々な会社の特徴やスピード感などを確認するためでもあります。正確に他社同士の比較を行うにはどうすべきか、何に注意すればいいのかという大切なポイントを4つご紹介いたします。

要求内容を明確にし統一する

正しい相見積もりを行うためには、見積もりをしてもらうシステム開発に関する条件や項目を統一する必要があります。予算が違う、見積もりする範囲が違う、期間が違うなど、大小関わらず会社ごとに条件が異なってしまえば同じ内容の見積書の作成は出来ません。相見積もりの前提として、必ず全て同じ条件で見積もり依頼を行う事が絶対的なルールと言えるでしょう。要求内容の統一を行うためには、「前提条件の取り決め」「提案依頼書の作成」は欠かせません。それぞれ、なぜ重要となるのかを詳しく解説いたします。

前提条件の取り決め

前提条件は、依頼を受ける側、依頼をする側の双方で理解度を同レベルにするために文章化するものになります。この前提条件が少しでもずれていては、適切な相見積もりを行う事は難しくなります。

見積もり範囲依頼するシステム開発の対象範囲を明確にします。
見積もり対象外範囲「見積もり範囲」とは逆に、対象に入らない範囲を明確にします。
仕様技術開発言語、フレームワーク、サーバーなどの仕様技術の指定を行います。
開発プロセス開発の進め方などを細かく設定します。
プロジェクト期間プロジェクト開始から終了、テスト期間などのスケジュールを明確にします。
要件開発システムに必要な役割や機能を明確化にします。まだ決まっていない場合、想定できる機能に対し前提を示してください。
プロジェクト推進方法進捗管理・推進は誰が行うか、意思決定はどう行うかなどの役割分担を決めておきます。
ネットワーク環境システム関連機器を購入するのか構築するのか、ネットワーク環境の活用方法を明確にします。
テストテストパターンはどのくらい必要か、何を行うのかを明確にします。
納品物成果物の粒度も含め謡的に示します。

上記内容が基本的な前提条件になります。詳細まで細かく取り決めを行い、漏れがないように徹底した前提条件の作成を行ってください。この前提条件を基準として見積もりを作成してもらいます。何度も言いますが、提示する条件にブレが出たり見積もり依頼会社ごとに条件が異なってしまった場合、正しく正確な比較を行う事は出来なくなってしまいますので、徹底して同一条件で行うようにして下さい。

提案依頼書(RFP)を作成して統一

それぞれの会社の実力やコストなど、様々な条件を正しく比較するためにも、条件の統一は絶対です。そのために有効なのが提案依頼書(Request for Proposal)になります。提案依頼書があれば条件などに関するすべてを統一して伝えることが可能になります。見積もり依頼をする前に労力を使用する事や、時間がかかってしまうというデメリットもありますが、相見積もりを正しく行うためにも重要な作業と言えるでしょう。もちろん提案依頼書を作成せずとも見積もり依頼をすることは可能です。

しかし、その場合は「すべての依頼会社に対して前提条件などの要望を同じ内容で必ず伝えることが出来る」という根拠がなければ、正確な比較が行える見積書の作成は望めません。システム開発を依頼するためにどの会社を選べばいいのか、失敗しないために相性のいい会社はどこか、コストや期間などが一番マッチする会社はどこかという事を決めるための相見積もりです。システム開発成功のためにも、妥協せずに徹底した準備を行うようにしましょう。

見積もり依頼した他業者の名前や金額は伝えない

基本的な事にはなりますが、相見積もりを行った場合、「〇〇会社は◇日で見積もりしてくれた」「〇〇会社は◇◇円の見積もりが出た」などという情報を、他社に伝えることは厳禁です。相見積もりであるということを隠す必要はありません。相見積もりを依頼しているという事を伝えれば、自身がある開発会社であれば何の嘘偽りもなく適正価格と期間、工数の見積もりを出してくれるでしょう。このような会社は、その全てにおいて明確な根拠を示してくれるため、かなり信用性が高いと言えます。

しかし、相見積もりをしているという情報以上に、金額や業者名など更に詳しい内容を伝える必要はありません。こうした情報を伝えてしまうと、「あの会社より安くする」「ライバルには負けたくない」という気持ちが強くなってしまい、他会社よりも金額を安くする、工数を短くするという事に囚われてしまい、正確な見積もりを作成してもらえなくなります。そうした会社に依頼をしてしまえば、後々になってから見積もりの内容とは全く異なる工数や金額になるという事もあります。相見積もりをしているという事は伝えるべきことですが、それ以上の詳細は伏せておくようにして下さい。

「発注側」という自覚を強く持つ

見積もりを出してもらった際、値引き交渉を行いなるべくコストを抑えた開発をお願いするという事もあります。この場合、必ず自身が「発注した側である」という事を強く意識して下さい。元々優しく人の事を考えすぎてしまうという方の場合、「こんな値引き交渉は相手を苦しめてしまうのではないか」「無理を言って困らせていないか」などと考えてしまう事があります。人としてはとても思いやりのある方ですが、こうした交渉の場ではこのような感情は不利になることが多くあります。

少しでも気を緩めてしまうと依頼会社に見抜かれてしまい、こちら側の値引き要求は聞き入れてもらえなくなるでしょう。場合によっては「こんな値引き交渉はありえない」「常識的な金額ではない」と否定的なことを言われてしまう事もあります。元が優しい方であればあるほど、このように責められると委縮してしまい適切な値引き交渉は不可能となってしまうでしょう。もちろん、法外な要求はしてはいけません。しかし、全てが開発会社の言いなりになってしまうというのも考え物ですので、強く発注側であるという立場を自覚し、正しい値引き交渉を行ってください。

比較基準を明確にしておく

合い見積もりを行い全ての会社の見積書が提出されたら、それらを比較しどこが適切かを選択します。この際に、比較すべき基準を明確にしておくとやりやすくなるでしょう。基準がなくただ単純に見積書を見比べるだけでは、その会社が一番自社に見合っているか、コストや期間、工数など、システム開発における重要な項目においてどこが一番適正なのかという事が分かりにくくなってしまいます。1か月という期間で見積もりを出したA社と、3ヵ月で見積もりを出したB社であれば、単純に納期が早いA社を選んでしまうでしょう。

しかし、実はこのA社の期間にはリスクが含まれていなかったり、1か月の期間という明確な根拠などがないという場合があります。逆にB社の場合、3か月かかるという根拠、リスクに関する期間などもすべて含まれた見積もりとなっているため、この場合はB社の方が後からのトラブルなどを回避することが出来るでしょう。金額なども同じように、安いからと言って選んでしまうと、エンジニアが初心者ばかりで開発がスムーズにいかないという事もあります。

そのため、自社の基準とする項目はどこになるのか、なぜここを基準とするのか、その条件などについて社内でしっかりと明確化させておくようにしましょう。期間は長くなっても安く抑えられるところがいい、金額は高くなっても実績のあるエンジニアに依頼したいなど、依頼を行う上で特に重要視する要望について明らかにさせておきます。どこを重点的にシステム開発を行うのかを明確にし、比較する際はそこを基準として見比べるようにして下さい。

相見積もりで失敗しない4つのポイント

初めて相見積もりを行う場合や、まだ相見積もりの依頼に慣れていないという担当者の場合、相見積もりを成功させるためには何が必要なのか、どのように進めていけばいいのか、どんな準備があるのかという事がまだはっきりと把握できていないという事もあるでしょう。

  1. システム開発の目的を社内で共有する
  2. 相見積もりに必要な前提条件を設定する
  3. 提案依頼書(RFP)を作成して条件を統一化させる
  4. 相見積もり依頼を行う
  5. 値引き交渉をする
  6. 他社との比較を行い選別する

一般的に、相見積もりを行う流れは上記のようになります。この流れに沿って行えば大体は失敗なくスムーズに行うことが出来ますが、開発会社に自社を信頼できる相手として認識してもらうことが出来れば、より成功率を高め質の高いシステム開発を依頼することが出来ます。

また、信頼できる会社として評価されれば、少しでも好条件で見積もりをしてくれる努力を行ってくれるでしょう。値引き交渉もスムーズにすすめることも可能となります。そのためにはどうすべきなのか、ここで相見積もりを失敗させないための4つのポイントをご紹介致します。

自社ITレベルを理解してもらう

相見積もりで開発会社と打ち合わせや交渉を行う際に、自社のIT知識やスキルを偽りなく伝えるようにして下さい。普段から付き合いなどがある相手企業であれば問題はありませんが、相見積もりを依頼するという場合は、そのほとんどが初めての相手という事がほとんどとなるでしょう。そのため、自社のITレベルを正しく正確に伝えなければいけません。

見積もりを受けるのが初めての開発会社は、依頼した企業のITの導入レベルやスキルなどを基準とし製品制定や工数の見積もりを行っていきます。自社に最適な正確な見積もりをもらうためにも、まずはITレベルをしっかり理解してもらうために、どのくらいの知識やスキルを有しているのかという実情を伝えるようにしましょう。

見積もり内容の不明点は即確認し解決する

見積書は様々な内容が記載してあります。その項目それぞれをしっかりと確認し、少しでも疑問に思う点や気になる箇所があれば必ず説明してもらうようにして下さい。分からないまま進めてしまうと、後になって予想外なトラブルに発展してしまうという事があります。

要件定義実際のシステム開発に必要な機能や性能を落とし込む作業です。
設計基本設計や詳細設計、プログラミング設計などの様々な設計を示します。
UIデザイン既存テンプレートを使用するか、カスタマイズしたUIデザインを使用するかを明確にします。
開発システム開発のメインとなる人件費や技術費全般が計上されます。
テスト不具合なく稼働するかどうかのテストを行うための費用です。テストは数種類あり内容も行うタイミングも異なります。
導入実際に導入する際の初期費用が計上されます。
受入支援既存のシステムデータ移行などという作業が必要な場合に発生します。
導入支援費用マニュアル作成や扱い方の説明会、研修会開催などが必要な場合に発生します。
購入費システム開発に必要な機器があった場合の費用になります。
交通費開発に関する事での打ち合わせや訪問の際にかかる交通費です。遠方の場合は宿泊費なども含まれます。
保守開発完了後の不具合やエラーの対処、扱い方の問い合わせと言ったフォローを示します。

見積書には上記のような項目が記載されています。これ以上の項目の場合もあれば、この一部のみという事もあるでしょう。それらをしっかりと確認し、なぜこの費用になるのか?なぜこの工数なのか?など、少しでも疑問に思う事は即座にその場で解決させるようにしておきましょう。開発会社の中には、特別な根拠なく見積もり工数などを記載している場合があります。ここでしっかりとした根拠を示してくれる会社ならば、非常に頼りになる会社と言えます。

逆に、曖昧な説明でかえって疑問が大きくなってしまったり、明確な答えを出さずに交渉が終わってしまったという場合は、なるべく依頼するのは避けたほうがいいでしょう。こうした会社は、「見積もりを出す」という事だけを目標として作成していることが多く、いざ実際に依頼を行うと、全く異なる仕様で開発を行ったり、工数が見積書以上にかかるという事も少なくありません。必ず疑問はその場で解決し、その際に開発会社の対応についても良く観察するといいでしょう。

自社主導でのベンダーの取捨選択

見積もりの確認を行うにあたり、当然分からないこと、理解できないことなどが出てきます。ですが、こういった時に主導権を相手側に譲らないようにして下さい。もし見積書の中で不可解な部分があれば、開発会社に質問攻めするくらいの勢いで問いただし、しっかりと説明を行ってもらうようにしましょう。なぜこの金額になるのか、なぜこの工数なのかなど、自社にとってこれが最適な根拠は何なのか、費用対効果は出るのかなど徹底した確認を行うようにしましょう。

基本的に、ベンダーはまず過剰な機能を盛り込んで見積もりを行います。どの項目でも、「あれば良い」「安全」「便利」と思い必要だと考えがちですが、予算もしっかりと考慮し不要な機能は外していきましょう。また、自社からの要求で不要な物がある場合はそれも外すようにして下さい。方向修正を繰り返しながら自社に最適なシステムを見つけていくためには、主導権は譲らずに見積もり項目の取捨選択は開発を依頼した側が行うようにしましょう。

値切り交渉は的を絞って

仮に相見積もりを3社に依頼した際に、内容に大きな違いがないという場合には非常に比較しやすくなります。こういった場合、価格、技術力、品質や納期などに的を絞り依頼する開発会社を決定します。ここで値切り交渉に入りますが、交渉を行う時には必ず的を絞って行うようにして下さい。「とりあえず安くしてほしい」という明確性のない安易な値切り交渉は厳禁です。値切り交渉は、値切る人物の人柄やテクニックに頼る場面が非常に大きいですが、上手く話しを進めるためにも、見積書の内容をしっかりと把握し、値切るポイントをハッキリとさせておきましょう。

先程のベンダーの取捨選択でもお話ししたように、自社からの要求で不要な部分を削除する場合などは、その分のコスト削減を提案するという事も可能となります。過剰機能の削除を的確に指摘することが出来れば、必要最低限の開発費用で本当に必要な機能のみを搭載した最適なシステム開発を行うことが出来るでしょう。ここでスムーズな話し合いが可能となる開発会社であれば問題はありませんが、中には何かしらの理由を付けて値切り交渉を拒否する会社もあります。

根拠のある理由で機能の削除や値切りが不可能という場合を除き、ただ単にコストを削減させたくない、値切られたくないという姿勢での拒絶は、今後信頼関係を築くことは難しいでしょう。そういった会社は依頼を見送るようにして下さい。

こうした会社を選別するためには、見積書の内容の徹底把握はもちろんの事、値切り人の見極め力が非常に大切になります。値切ることが出来なくても、その会社がどのような姿勢で開発に臨もうとしているのかという事も判断できるでしょう。あくまで交渉は値切るためではありますが、その他の対応についても良く観察しておくようにして下さい。

依頼先が決まったら他業者へ感謝と丁重なお断りを

相見積もりを行い、その中の1社に依頼を決定した場合、他企業にはしっかりと丁寧なお礼と断りの連絡を必ず入れるようにして下さい。見積もり作成はタダではありませんし、貴重な時間を使って作成をしてくれています。そのまま何の連絡もなく放置するというのは、あまりに失礼な態度となります。仮に今回は依頼を行わなかったとしても、今後何かしらで取引を行う事も考えられます。

担当者の中にはこうした連絡を行う事に対して気まずさを感じそのままにしてしまうという方もいるかもしれません。しかし、それは会社そのものの評価を下げる事にも繋がってしまいます。電話、もしくはメールでしっかりと、見積もりを出して頂いたことへの感謝、依頼を行わないという事に対する謝罪と丁寧な断りを伝えることで、いたずらに関係を壊すことなく穏便に済ませることが出来ます。

まとめ

適切なシステム開発を行うためには欠かせない相見積もりですが、しっかりとした準備と知識を持っておかなければ成功への道は遠のいてしまいます。本記事で紹介した重要性と注意点、失敗しないためのポイントをしっかりと把握し、双方にとって気持ちよく契約を結べるようにしましょう。相見積もりを行う事で、最適なコストや工数だけではなく、相性のいい開発会社とのつながりを持つことも出来ます。

正しく比較し、自社の業務効率化や質の向上のためにはどんなシステムが適しているのかをよく考え、統一した条件で相見積もりを行ってください。

  • 相見積もりを依頼した会社に対して失礼な態度や雑な扱いをしない
  • 前もって自社内で条件を細かく決めておく
  • 提案依頼書(RFP)を作成し統一した条件で見積もり依頼を行う
  • 主導権を握らせずあくまで依頼側の要望通りの開発をお願いする
  • 依頼しない会社に対してしっかりとお礼と謝罪を述べ、むやみに関係を壊さない

特に上記の5項目は相見積もりを行う上で忘れてはいけない重要ポイントと言えます。担当者だけではなく、自社内でしっかりと共有し、正しい相見積もりが行えるように体制を整えておきましょう。

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