「業務効率をもっと改善したい」
「手作業の工程をシステム化しミスを減らしたい」
「無駄な作業をなくし仕事をやりやすくしたい」
上記のような不満や悩みは、多くの企業が抱えているものです。こうした部分を根本的に改善させるために活用すべきなのが、本記事で紹介する「基幹システム」ですが、もうすでに導入しているという企業も少なくはないでしょう。
しかし、基幹システムとはどのようなものなのか、なぜ活用すべきなのかなど、基幹システムの存在意義を深く理解し活用しているという方は少ないのではないでしょうか。
「前から使っているから今も使用している」
「入社した時から導入されているから疑問に感じたことはない」
このように思っている方も多くいるでしょう。本記事では、この基幹システムの基本的な情報から導入方法、そのメリットやデメリット、さらには基幹システム入れ替える際に決して行ってはいけないポイントなどについて解説いたします。
また、詳しい事例などもご紹介していますので、自社は基幹システムの導入をすべきか、既に導入されている場合ちゃんと活用できているか、基幹システムがあることで逆に手間になっている部分はないかなどをよく確認し、より効率を上げるための改善策を見出していきましょう。
基幹システムとは?
基幹システムとは、業務の根幹を支え、その名の通り基幹業務の改善や効率化を上げたり、自動化する事により改善させるための重要なシステムです。「人」「情報」「お金」の管理は業務を行う上で核となる最も大切な部分です。業務を遂行するために欠かせないものを正しく管理するシステム全てを含めた総称が「基幹システム」です。
基幹システムの主な種類
基幹システムは企業により様々ありますが、下記の種類全てを活用しているという企業もあれば、特定の基幹システムのみを導入しているという場合もあるでしょう。それぞれの内容について詳しくご紹介致します。
- 在庫管理システム→業務上で必要な在庫の管理を行います。完成品のみではなく、製造における原材料や部品、半製品などがあり、小売業や製造業では特に重要なシステムと言えるでしょう。
- 生産管理システム→製造業で主に活用されている基幹システムの種類になります。生産のプロセスを一元化し、計画通りの製造や出荷が可能か、在庫や出荷状況のチェックなど、常に状況確認をすることが出来ます。
- 販売管理システム→その名の通り販売業で広く活用されているのがこの販売管理システムです。売れ筋商品はどれか、在庫を圧迫しているものはどれか売り上げや仕入れ価格、利益はどの程度なのかなど、正確な管理が可能です。
- 購買管理システム→注文書の作成や出力、支払管理、伝票発行などのプロセスを自動化する事が出来ます。主に小売業や製造業、卸売業で活用されている基幹システムです。
- 財務会計システム→伝票入力、帳簿作成、決算書作成などを自動化するシステムです。財務会計とは、外部の関係者に提供するための会計業務です。財務会計システムはどのような業種であっても良く活用されている基幹システムと言えます。
- 勤怠管理システム→従業員1人1人の就業時間、遅刻や欠席、休日出勤、有給取得状況、シフトなどを正確に管理するための基幹システムです。正しい就業時間を即座に把握する事が出来るため給与計算も行いやすくなり、残業をどの程度しているかなど、個々の状況を的確に管理する事が可能となります。
- 人事給与システム→人事に関わる多くの業務を管理する事が出来る基幹システムです。給与計算、人事評価、採用管理など、幅広い人事の業務を効率的に遂行していくためには欠かせないシステムと言えるでしょう。
情報系システム・ERPとの違い
基幹システムの他に、「情報系システム」「ERP」というものが存在していますが、これらはよく混同されて考えられています。しかし、それぞれ基幹システムとは異なるものとなりますので、誤りのないよう正しく把握しておきましょう。それぞれの特徴、基幹システムとの違いについてご紹介致します。
情報系システムと基幹システムに違い
どちらも業務を効率的に行うための「システム」であるという事に変わりはありませんが、その種類は大きく異なります。先ほどお話ししたように、基幹システムは業務上絶対的に欠かせないシステムを指します。一方、情報系システムの場合、直接的に業務遂行に大きな影響を与えるという事はありません。
情報系システムは、どちらかというと社員同士のコミュニケーションや情報共有、意思決定の促進などのために導入されると考えておきましょう。
- 社内SNS
- グループウェア
- メールソフト
- スケジュール管理ツール
上記が情報系システムの代表的なものとなります。また、この2つの大きな違いは、「システムが停止した時の状況」です。情報系システムが何らかのトラブルで停止してしまった場合、多少情報共有などの効率が下がってしまうことはありますが、業務に大きく影響を及ぼすという事はありません。
しかし、基幹システムが停止してしまった場合、それと同時に業務そのものも停止せざるを得なくなってしまいます。基幹システムと情報系システムは、システムそのものの種類は持ちろんですが、「業務に直接的に影響するかどうか」が大きく異なるポイントと言えるでしょう。
ERPと基幹システムとの違い
情報システム以上に基幹システムと混同されがちなのがこのERPです。そもそもERPとは、「統合基幹業務システム」といい、複数システムを統合して一元管理するためのパッケージです。「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の頭文字から名づけられたERPは、企業の資源を一元管理し、効率的な戦略を立てるための概念、もしくは計画などを指します。
基幹システムは、軸となる業務の効率化を図るためのシステムですので、導入するための目的なども異なります。近年では、ERPはシステムそのものを指す言葉として用いられることも多くあるため、余計混同して考えてしまうという事も多くあるでしょう。しかし、それぞれの意味する言葉をしっかりと知識として知ることで、どのような違いがあるのかを正しく把握する事が出来るようになります。
基幹システムの導入方法”>基幹システムの導入方法
まだ企業として基幹システムの導入をしていないという場合、一体どのようにして導入を進めていけばいいのかと悩んでしまう方も多くいるでしょう。基幹システムは業務の効率を促進する事が出来ますが、自社にマッチしたシステムにしなければ、効率や改善はおろか余計な手間がかかってしまうなど逆効果となってしまう事もあります。
失敗しないためにも、ここで正しい手順についてご紹介致します。初めての基幹システム導入であれば、なおさら段階を踏んで行う事こそが、業務のシステム化を成功させるコツと言えるでしょう。
1・企画
まず最も重要となるのがこの企画です。抱えている経営課題を抽出します。基幹システムの導入を行う事でどのような課題を解決したいのかをしっかりと明確にしておきましょう。その際、業務の効率だけではなく改善したい経営指標も明らかとして下さい。
企画を進めるのと同時に、基幹システム導入を行うための体制も構築していく必要があります。ただ単に管理や屋責任者だけが理解していればいいというものではありません。基幹システムは全社で活用すべきシステムですので、実際に携わる社員も巻き込み、計画書の作成をしていきましょう。
2・要件定義
導入するための目的を明確にできれば、次に行うのは要件定義です。既存業務をどうやってシステム化していくかをここで決めていきます。システムはプログラムを組んで構築されていきますので、その仕様書が重要となります。どんな機能が必要なのか、実装スケールはどの程度かなどをこの段階で明らかとします。
「プログラムは分からない」とエンジニアに丸投げしてしまっては、本来の目的に沿った基幹システムから遠くなってしまうという事もあるでしょう。経営に近い責任者がしっかりと加わるようにして下さい。また、もし要件定義をうまく進めていけないという場合、コンサルタントや依頼する開発会社と共に進めていくことも出来ますので、自社の状況に合わせて行って下さい。
3・実装
要件定義で明確な仕様書の作成が出来たら、予算に合わせて発注先を決め、いよいよ設計が始まります。システムの開発・構築が進んでいる間に、自社内で導入に向けた環境を整えていく事も忘れず行ってください。運用のマニュアルや人員配置など、実装したらすぐに活用できるよう万全の準備をしておく必要があります。
システムが完成したらテストを行います。機能ごとに細かくチェックし、要件通りになっているか、バグの発生などはないかなどを確認します。問題がなければ実装となりますが、現在使用している既存システムから一気に乗り換えてしまうのか、徐々に少しずつ移していくかは状況により異なりますので、自社の状況やシステムの内容などにより最適な方法を見極めて下さい。
4・運用
基幹システムを導入したらそこで終了ではありません。継続してパフォーマンスを確認するというのも重要になります。実際の現場では狙い通りのシステム運用がされているか、導入の前後ではどのような改善の差があるのか、また、システムを活用できていない場合どこに課題があるのかなど、効果測定の実施をしてください。
基幹システムは導入した後に新たな改善点が見つかったり、想定していたシステムの機能と現場での作業に相違が発生する事もあります。導入したからと安心するのではなく、今後さらに効率的に活用するためにも、現場社員から定期的なフィードバックを提出してもらうなどの長期的な取り組みが効果的と言えるでしょう。
基幹システム導入のメリット
基幹システムの導入を行う事で得られるメリットについて詳しくご紹介致します。数多くのメリットが生じる基幹システムですが、ここではその中でも最も大切な5つのポイントについて解説いたします。
業務の効率化と標準化
特に大きなメリットとなるのが、本記事でも先ほどからお話ししている「業務の効率化」です。手作業で行ってきたものをシステム化する事で手間を省くことが出来るでしょう。例えば在庫管理システムの場合、数値の入力を行うだけで入出庫管理を適切に行うことが出来ます。また、購買管理システムと連携する事により、仕入れの際に自動で在庫管理システムの数値も更新されるなども可能となります。
さらに、基幹システムの導入を行うことにより業務の標準化を図ることも可能となるでしょう。システム化し無駄な作業をなくすことにより、新入社員でも内容を覚えるのが早くなり、新人とベテランとの質やスキルの差を大きくすることなく業務の遂行をすることが出来るようになります。
経営状況の可視化
基幹システムの導入により、在庫や生産、ハイ倍における様々なデータをコンピューター上で常に確認する事が出来ます。そのため、現在の経営状況を可視化し状況の変化に応じた迅速な戦略を立てることも可能となるでしょう。
リアルタイムに情報の更新が行われるため、常に最新の状況を見ることが出来ます。社員との共有も簡単にできるため、今現在の会社の経営状況を会社全体で知ることが可能です。その結果、現場の声と経営陣の戦略を組み合わせた、最適な経営方針を打ち出すことが出来るようになります。
属人化の防止
基幹システムの導入をする前は、顧客に関する情報などは担当者のみが細かく把握しているのみで、情報の共有などが難しい面がありました。そのため、担当者が移動や退職となった場合、スムーズな情報の引継ぎなどが行えず顧客に対する詳細な情報が一切分からないという事も多くありました。
社員一人一人がもっている情報は会社にとっての資産となります。基幹システムを導入する事により、引継ぎも手間なく行うことが可能となるでしょう。必要な情報を社内全体で共有する事が可能となるため、属人化を防ぎ顧客との関係も良好なまま長く付き合っていく事が出来るようになります。
情報の一元化
社内で使われてきたシステムを一元化する事により、更なるデータの活用が可能となるでしょう。例えば、在庫お管理システムの在庫情報と、販売管理システムの販売情報を連携させることにより、在庫がなくなったら自動で生産システムにアラートを通知するなどという事も可能となります。
また、システムごとに情報を共有するための複数の担当者を配置する必要もないため、人員不足の解消にも有効的と言えるでしょう。会社としての目標に向かってすすんでいく動きを加速させることも可能となるでしょう。
ヒューマンエラー回避
手作業での業務の場合、どうしてもミスが発生してしまいます。気を付けていても思わぬところでイレギュラーなミスを起こしてしまうなどという事もあるでしょう。場合によっては取り返しのつかない大きなミスになってしまう事もありますが、基幹システムの導入をすることによりこうしたヒューマンエラーを回避する事が出来ます。
プログラムが正しく自動で管理を行ってくれるため、人為的ミスは大幅に削減する事が出来るでしょう。ケアレスミスが発生してしまう環境をなくすことで、業務の効率化だけではなく正確性を上げる事にも役立てることが出来ます。
基幹システム導入のデメリット
多くのメリットがある基幹システムですが、当然デメリットもあります。メリットと共にデメリットの内容も把握し、導入後のトラブルや問題解決に備えておきましょう。
システムが止まると業務もストップせざるを得ない
本記事でもお話ししましたが、基幹システムに何らかのトラブルや問題が発生しシステムがストップしてしまった場合、同時に業務もストップせざるを得ない状況になってしまいます。繰り返しになりますが基幹システムは業務の軸となる重要な部分です。ここが止まるという事は、そのまま業務にも大きく影響を及ぼしてしまいます。
もし仮に工場で生産管理システムが停止してしまうと、計画の進捗度相、生産の正確な状況などを把握する事が出来なくなってしまいます。そのため、工場の全体を一時的に止める必要が出てくるでしょう。こういった場合、会社としての信頼性にも支障を及ぼしてしまう事があるため、基幹システムの導入する際はセキュリティや動作の安定性に強く注意しておかなければいけません。
絶大的効果が必ず発揮されるわけではない
基幹システムは仕事の根幹を担う重要なシステムです。しかし、業務に関係ないシステムを導入したところで効果を得ることは出来ないでしょう。さらに、例え多機能で性質のいいシステムであっても、現場の社員が使いこなせないようなものであれば期待通りの効果はますます得られなくなります。
どのため、導入の際には先ほどもお話ししたように、企画段階でしっかりと導入する目的を明確にし、必要な機能と不要な機能をハッキリと線引きし、どのように社員に周知するかなどを徹底的に取り決めておく必要があります。
基幹システム導入の事例
基幹システムの重要性や役割について正しく知ったところで、実際にどのような導入の事例があるのか、会社ごとの具体的な内容についてご紹介致します。自社で基幹システムの導入を行うにあたり、参考までにぜひご覧ください。
科研製薬株式会社
解決すべき課題 | ・新しい会計システムを軸とした統合経営業務基盤の確立 ・現在の業務の最適化 |
導入後の効果 | ・医薬品・農薬品の購買発注フローを一本化とし、業務の効率が上昇。 ・出納管理や売掛金の管理を本社に統合し他結果、リアルタイムな財務情報の把握が可能。 ・支店それぞれで行っていた受発注業務を本社で一元化する事で少人数での処理に変更。 |
皮膚科、内科、整形外科を得意としている科研製薬株式会社は、経営環境の変化に伴い業務の改善を行いました。システムに関する知識が属人化してしまい、現状のプログラムでは改修にも限界がありました。そこで基幹システムの導入を行い、業務改革として内部体制の強化に踏み込み、会計や購買、販売などに関わるプロセスを見直し全社を挙げて業務の最適化を実現しました。
株式会社ネットプロテクションズ
解決すべき課題 | ・企業成長に伴った会計面での効率化と新しい環境基盤 ・債権債務管理における手間の削減 ・システムの利活用の柔軟性の向上 |
導入後の効果 | ・財務経理の強化とクラウド化 ・取引先ごとの処理における工数の手間の改善 ・手作業業務のシステム化とデータの活用の改善 |
色々な決済サーボスを市場に出している株式会社ネットプロテクションズは、企業成長が著しく取引先が拡大したことによって債権債務の管理が限界となりました。そこで将来的な活用を視野に入れた新しい基幹システムに入れ替えることにより、課題となっていた取引先ごとの債権債務管理における工数がおよそ7割ほど削減する事が出来、さらに詳細な情報が蓄積されていくためデータ分析の利便性もますます向上させることが可能になりました。
株式会社GABA
解決すべき課題 | ・インフラ部分の保守工数の削減 ・カスタマイズをあまり必要とせず標準機能を活用した業務体制の構築 ・パッケージのみに頼らずに他システムと柔軟な連携をした運用 |
導入後の効果 | ・他システムと柔軟な連携を可能にし、インフラ部分のアウトソース化を実現 ・人事給与業務の標準化 ・情報の視認性が上がり、日常業務の負担が軽減された |
高品質なマンツーマンの英会話レッスンを軸に多岐にわたるサービスの展開をしている株式会社GABA。Windowsのサーバー更新の時期をきっかけに新しいシステムの導入を行いました。その結果、日々の様々な業務を効率化する事が出来、レポートの作成の業務が簡略化するなど業務の負荷軽減が実現しました。
小池酸素工業株式会社
解決すべき課題 | ・ビジネスにおける可視化が出来ていない ・経理や各事業所の担当者の業務負担が大きい |
導入後の効果 | ・決算処理日数の改善 ・ワークフローの活用により紙による伝票の大幅な削減 ・販売管理システムと連携し情報共有によるビジネスの可視化が実現 |
ガス、ガスの関連機器、溶材商品事業を行っている小池酸素工業株式会社はビジネスの可視化に大きな課題を抱えていました。旧会計パッケージのサポート終了に伴い、新しいシステムを導入します。大量に生産していた紙による伝票作成を大幅に削減する事が可能となり、ペーパーレス化を実現する事が出来ました。また、最大の課題でもあった可視化では、システムの連携を行う事によって情報共有が簡単にできるようになり、ビジネス全体を全社で確認する事が可能となりました。
マルハニチロ株式会社
解決すべき課題 | ・手作業によるミスや各作業の属人化 ・多くの業務を手作業に依存しており共通化や高速化が困難 ・工場ごとに異なる業務プロセス |
導入後の効果 | ・属人化を解消しミスを未然に防ぐことが実現 ・品質管理をはじめ様々な業務の改善 ・業務の標準化とデータの統一元管理が実現 |
総合食品メーカーの大手でもあるマルハニチロ株式会社は、企業価値の向上と今後の企業成長における取組として新しい基幹システムを導入しました。生産、品質、原価、設備など様々な管理システムを組み合わせ、この先の将来を見据えたデジタル統合管理の基盤を構築しています。手作業による業務を軽減し未然ミスを防ぐことで業務の効率も上げることが出来、経営の見える化にも成功しました。
基幹システムを活用する際のポイント
基幹システムは大手企業から中小企業まで様々な規模の会社における重要なシステムですが、活用する際に特に注意すべきポイントがあります。単純にし基幹システムを導入すれば、それで全てが上手く改善されるという事ではありません。基幹システムの機能を存分に発揮させるためにはどうすべきか、業務の効率化や改善をスムーズに行うためにも、活用ポイントはしっかりと頭に入れておきましょう。
導入を前提として業務プロセスの構築
業務プロセスは導入する基幹システムに合わせて実施するようにして下さい。基幹システムが非常に優秀で高性能だったとしても、実際の現場のフローワークにシステムをうまく組み込むことが出来なければ意味がありません。
こうした状況になては折角の基幹システムも活用する事が出来なくなってしまいますので、機能を十分に理解し、あらかじめ運用におけるシナリオをしっかりとかためておくようにしましょう。
既存システムの抜本的リプレイスも視野に入れる
現在システムを活用している場合、その既存システムの存続にこだわりすぎないようにしましょう。古いシステムで、今以上にデータの蓄積や連携が難しい場合、丸ごとシステムを入れ替えてしまった方が効果的な場合もあります。
古いシステムの活用は運用コストも大きくなり新しいシステムにマイナスな影響を与えてしまう事があります。環境の変化に戸惑ってしまう事もありますが、長期的な運用であれば丸々入れ替えたほうが利益やコストの削減など大きくプラスとなるでしょう。
丁寧な研修やサポート体制の環境を作る
どのような場合でも新しいシステムの導入を行えば、少なからず現場は混乱してしまいます。そのため、マニュアルの完備や研修などの体制を前もって整えておくようにして下さい。正しく活用する事が出来なければ、期待通りの基幹システムの働きを引き出すことが出来なくなってしまいます。
また、使い方を周知しておかなければ現場の負担が増し逆効果になることもあるでしょう。導入前に、どうすればスムーズな運用が出来るのか、どんな研修をすべきかを明確にしておくことが大切です。
基幹システム導入・入れ替え時に実はやってはいけないこと
基幹システムとはどんなものなのか、そのメリットやデメリット、運用におけるポイントなどをご紹介致しましたが、さらに重要となるのが、「基幹システムの導入や入れ替え時にやってはいけないこと」です。
- 現場の声を聞く
- 現行システムの改善を目指す
- 業務効率化をゴールとする
上記3つが特に注意すべきポイントとなります。しかし、そのどれもが多くの企業が行っていることで、なぜやってはいけないのか、むしろやらない方がダメなのではないかと思う方も多くいるでしょう。そんな落とし穴でもあるこの3つの内容について、まずはそれぞれどのような行いとなるのかを詳しくご紹介致します。
1・現場の声を聞く
例えばシステムの入れ替えの際によく行われているのが、現場の社員へのアンケートです。今のシステムはどこが不満なのか、新しいシステムに対する要望などを、実際にシステムを活用する社員の声を集めるという方法です。当然、リアルにシステムの活用をしている社員の声なので、現場にいなければ気付けないような具体的な改善点などを知ることが出来ます。
2・現行システムの改善を目指す
新しい基幹システムを導入する際に、システムの構築を行うためにベンダーに協力してもらうという企業も少なくありません。もちろんプロの視点から見た構築であれば信頼できますし、システムやプログラムに対する知識が乏しい場合、こうした協力体制での構築は必須と言えるでしょう。
数社に見積もりや構築を依頼し比較してみたい、色々な方の提案を聞いてみたいなど、自社にとって有効なシステムを導入するためにも、専門家の話を聞きたいというのはほとんどの方が思う部分になります。
3・業務効率化をゴールとする
実際の現場の状況を踏まえながら、今この現状をどうすれば改善できるのか、効率的にするためには何が必要なのかを考え、効率化することをゴールとしたシステムの構築や企画も、多くの企業で行っているでしょう。企画書をまとめるためには、新しく導入する場合、どのような機能が必要か、また、入れ替える際には今のシステムの何をどう変えるべきなのかなど、現状をよくするために話し合いを重ねる必要があります。
現場の声を反映しつつまとめ上げた企画書になるため、具体的な改善点や利用する社員に不満や要望も詳しく知ることが出来るため、効率化を実現するためには非常に有効的と言えるでしょう。
なぜやってはいけないのか?
上記の3つのポイントは、内容だけ見ればどれも必要性が強く、逆にやらない方が基幹システムの導入に失敗してしまうのではないかと考えられます。もちろん、上記の内容を行動する事により、具体性のある明確な企画書を作成する事が出来るでしょう。しかし、それぞれの内容は、それだけで終わってしまっては意味がないものになります。
現場の声、現行システムの改善、業務効率化のゴールの全て、実は将来的な要素が何一つ入っていません。今後のビジネスのビジョンを見据えておらず、今の状況を打開する事ばかりに目を向けてしまいがちになっています。これでは本当の改善とは言えないでしょう。10年後、20年後など、企業としての成長をさらにすすめていくためには、こういった基幹システムの導入や入れ替えの際に、まず先の事を考え、今の現状とすり合わせながら考えていかなければいけません。
もし今の現状を改善する事が出来ても、この先さらに改善が必要になってくることもあるでしょう。そうなってはコストも余計にかかってしまい、企業の成長が進むたびにシステムの改善をしていかなければいけなくなります。
しかし、正しく先を予測する事が出来れば、システムに投資すべき部分が明確に見えてきます。目先の改善にこだわるのではなく、ビジネスとしてこの先どうなっていくか、どのような経営方針なのかなどを知ることが、まず最も重要で大きなポイントとなってくるでしょう。
まとめ
基幹システムは導入する事によって様々な業務を改善し、効率化を促進するとても大切なビジネスの軸となる部分です。しかし、「手間を省きたいからシステムを導入しよう」「手作業が面倒だからシステム化して楽しよう」という安易な考えでの導入は必ず失敗してしまいます。
本記事で紹介したように、メリットやデメリットを把握し、導入するための注意点やポイントをしっかりと頭に入れておいてください。
今の改善だけにこだわらず、企業の成長や将来的なビジネスなど、先を見据えた構築をすることで、基幹システムの最高のパフォーマンスを引き出すことが可能になります。まずは基幹システムの導入に対する正しい情報を収集し、自社の経営方針やこの先の市場規模など、多くの要素をしっかりと照らし合わせて最適な企画を行うところから始めましょう。