「バージョン管理システムを使いこなせているだろうか?」
「チームの開発効率をさらに上げたい!」
そう考えているあなたへ。
適切なソースコード管理は、開発スピードと品質を向上させる鍵となります。
バージョン管理システムを最大限に活用し、チームの生産性を最大化しませんか?
この記事では、バージョン管理システムの選び方や、ブランチ戦略、コンフリクト解決などの応用的なテクニックまで、詳しく解説します。
あなたのチームの開発力をさらに高めるヒントがきっと見つかります。
この記事を読んでほしい人
- チーム開発の効率化を目指している方
- ソースコード管理の方法を知りたい方
- バージョン管理システムの導入を検討している方
この記事でわかること
- ソースコード管理の基礎知識
- バージョン管理システムの種類と選び方
- バージョン管理システムのメリット・デメリット
ソースコード管理とは
ソースコード管理とは、システム開発及びアプリ開発において、ソースコードの変更履歴について管理を行うことを意味します。
冒頭でも述べたように、ソースコード管理を怠ってしまうと、結果的に同じ作業を複数回行わなければならなくなるなど、非効率的な事態に陥ってしまうことも少なくありません。
ソースコード管理は、後述するバージョン管理システムを活用して行うことが一般的です。
ソースコード管理で一般的に使用される用語の用語集
ここでは、ソースコード管理でよく使われる用語をわかりやすく解説します。
- バージョン管理システム (VCS)
- リポジトリ
- コミット
- ブランチ
- マージ
- プッシュ/プル
- コンフリクト
- タグ
これらの用語を理解することで、ソースコード管理をスムーズに進めることができます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、実際に使っていくうちに自然と慣れていくので安心してください。
バージョン管理システム (VCS)
バージョン管理システム (VCS)とは、ソースコードの変更履歴を管理するためのソフトウェアです。
VCSを使うことで、過去のバージョンに戻したり、変更内容を比較したり、共同作業を効率的に行うことができます。
まさに、ソースコード管理の中核を担う存在で、Git、Subversion、Mercurialなどが代表的なVCSです。
リポジトリ
リポジトリとは、ソースコードや変更履歴を保存する場所です。
リポジトリは、VCSが管理する全ての情報を一元的に保存します。
ローカルリポジトリとリモートリポジトリがあり、連携することでチームでの開発をスムーズにします。
GitHubやGitLabは、リモートリポジトリを提供するサービスです。
コミット
コミットとは、ソースコードの変更を記録する単位です。
コミットすることで、変更内容を保存し、過去の状態に戻したり、変更点を確認したりできます。
コミットメッセージには、変更内容を簡潔に記述することが重要です。
「ログイン機能を追加」、「バグ修正:#123」のようなメッセージがコミットメッセージの例です。
ブランチ
ブランチとは、ソースコードの開発ラインを分岐させる機能です。
新機能の開発やバグ修正など、メインの開発ラインに影響を与えずに作業を進めることができます。
複数のブランチを同時に管理することで、開発効率を向上させます。
“main”ブランチから “feature/login” ブランチを作成し、ログイン機能の開発を行うといった使い方ができます。
マージ
マージは、分岐したブランチの変更を統合する操作です。
ブランチで開発した機能や修正を、メインの開発ラインに反映させるためにマージを行います。
競合が発生した場合は、手動で修正する必要があります。
“feature/login” ブランチを “main” ブランチにマージする、といった使い方ができます。
プッシュ/プル
プッシュ/プルとは、リモートリポジトリとのデータのやり取りを行う操作です。
プッシュはローカルリポジトリの変更をリモートリポジトリに反映させ、プルはリモートリポジトリの変更をローカルリポジトリに取り込みます。
チーム開発では必須の操作です。
GitHubにプッシュして変更を共有したり、プルして最新の状態に更新したりします。
コンフリクト
コンフリクトとは、同じファイルを同時に変更した際に発生する競合状態です。
コンフリクトが発生すると、マージが自動的に行えず、手動で修正する必要があります。
VCSはコンフリクト箇所を特定し、解決をサポートする機能を提供します。
同じ行を同時に編集した際にコンフリクトが発生し、どちらの変更を採用するか選択する必要があります。
タグ
タグとは、特定のコミットに名前を付ける機能です。
リリースバージョンや重要なマイルストーンを記録するために使用します。
タグによって、特定のバージョンに戻したり、バージョン間の比較を簡単に行うことができます。
“v1.0.0″、”release-20230722” のような名前をタグとして付けます。
バージョン管理システムとは
バージョン管理システムは、大きく次の2つのシステムに分類することができます。
- 集中型管理システム
- 分散型管理システム
バージョン管理システムとは、名前に違わずデータのバージョン管理を行うシステムのことですが、対象となるファイルの種類には特に制限はないため、ドキュメント及び画像、動画及び音楽、そして本記事で取り扱うソースコードの管理を行うことが可能です。
バージョン管理システムを適切に活用することで、データの更新に関わる人間が複数人になったとしてもヒューマンエラーを極力減らしてデータ管理を行うことができます。
集中型管理システム
集中型管理システムは、1つのサーバー内のリポジトリ(ファイル群)から、任意のファイルをコピーすることで、コピーに対して作業を行います。
コピーの中で変更した内容に関しては、サーバー内のリポジトリに反映することが可能です。なお、この作業は、プロジェクトメンバー全員が行うことができます。
リポジトリのあるサーバーでは、全ての変更のログを自動で取っていることから、このログを元に、変更前の状態に戻したり、変更時に何が変更されたかなどを確認することが可能です。
ただし、オフラインの場合には、最新の情報をリポジトリに反映することは不可能であるため注意しましょう。
分散型管理システム
分散型システムとは、サーバーを共有せず、プロジェクトメンバーそれぞれが独立したリポジトリを用意することで、他のメンバーのリポジトリと同期することが可能なシステムのことです。
しかしこの活用方法では、分散型のメリットを活かせないため、あえて中央サーバーに次の代表的な3つのリポジトリを用意して、それぞれアクセス権限などを変えるなどして活用します。
安定版リポジトリ
安定版リポジトリは、管理者のみ編集可能なリポジトリであり、後述する開発版リポジトリの内容を確認したうえで、必要なリポジトリのみを安定版に取り込むものです。
管理者以外のメンバーは、読み取ることしかできません。
開発版リポジトリ
開発版リポジトリとは、管理者以外のメンバーであっても、誰でも変更を随時かけることができるリポジトリのことです。
この開発版リポジトリで変更した内容のうち、管理者が認めたもののみ安定版リポジトリに反映されます。
リリースリポジトリ
リリースリポジトリとは、リリースのバージョンごとに用意するリポジトリのことであり、管理者も他のメンバーも読み取ることだけが可能です。
ソースコード管理機能
バージョン管理システムの機能の1つであるソースコード管理の具体的な機能としては、大きく次の4つが挙げられます。
- リポジトリ
- バージョン管理
- 差分チェック
- コミュニケーション
それぞれの機能を詳しくみていきましょう。
リポジトリ
リポジトリは、前述した通りファイル群のことを指し、ソースコードを格納することができるだけでなく、プロジェクトメンバー全員で閲覧及び編集が可能なものです。(場合によって読み取りのみ可能)
バージョン管理
バージョン管理とは、リポジトリに反映されたソースコードについて、その作成及び変更の日時をはじめ、内容や担当者のコメントなどのログを残しつつ履歴を管理することです。
差分チェック
差分チェックとは、対象のソースコードとは違うバージョンのソースコードと比較しながら、追加及び削除や編集が行われた該当の部分に関してピックアップして表示することができる機能のことです。
コミュニケーション
コミュニケーションとは、プロジェクトメンバー間で任意のソースコードに関してのリクエスト及びフィードバック、さらにはコメントなどを行うことができる機能であり、これにより効率的なソースコード管理が可能となります。
バージョン管理システムのメリット
ソースコード管理を行う際、一般的にバージョン管理システムが活用される理由としては、次の3つのメリットが挙げられます。
- ソースコードの復元可能
- 変更履歴の記録
- デグレードの発生の防止
メリットを押さえて、バージョン管理システムを最大限に活用しましょう。
ソースコードの復元可能
バージョン管理システムを利用することで、以前のバージョンのソースコードを容易に復元することが可能です。
リポジトリには、変更以前のソースコードの履歴が蓄積されていることから、間違って意図せずにソースコードを上書きしてしまうというようなミスがあったとしても、直前のソースコードを呼び出せば、上書き保存をしなかったことにできるのです。
変更履歴の記録
バージョン管理システムでは、変更履歴の詳細を記録しているため、ソースコード編集時に何か不測の事態が発生した場合など、いつでも見たいときに担当者や日付、変更履歴やコメントなどを確認することが可能です。
さらに、確認するだけでなく、特定箇所の変更をなかったことにするといったこともできるため大変便利です。
デグレードの発生の防止
デグレードとは、新しいバージョンのソースコードに更新してしまったばかりに、前バージョンと比較してクオリティが下がってしまうことをいいます。
このデグレードが発生してしまう原因の1つとして、意図せず不具合のある過去のバージョンのソースコードを反映してしまうという事象が挙げられますが、バージョン管理システムを活用することで、デグレートを予防することが可能です。
バージョン管理システムのデメリット
ソースコード管理に大変便利なバージョン管理システムですが、一般的に、操作の難易度が高いというデメリットが挙げられることが多いでしょう。
バージョン管理システムには、ソースコード管理以外にもさまざまな機能が搭載されているため、操作を覚えるのが難しいといわれています。
慣れてしまえば大きな問題はないことが多いですが、特に初めて使用するメンバーにとっては慣れるまでに時間がかかることもあることを覚えておきましょう。
プロジェクトに適したバージョン管理システムを選択するためのヒント
ここでは、プロジェクトに最適なバージョン管理システムを選ぶためのヒントを紹介します。
- プロジェクトの規模とチーム構成を考える
- 必要な機能を明確にする
- 使いやすさを考慮する
- コストを比較検討する
- 情報収集と比較検討をしっかり行う
ソースコード管理を導入する際、「どのバージョン管理システムを選べば良いのかわからない…」と悩んでいる方は、参考にしてください。
プロジェクトの規模とチーム構成を考える
プロジェクトの規模やチーム構成によって、適したバージョン管理システムが異なることを覚えておきましょう。
少人数での小規模なプロジェクトであれば、シンプルな機能で使いやすいシステムが適しています。
一方、大人数での大規模なプロジェクトでは、高度な機能や分散管理に対応できるシステムが求められます。
個人開発や小規模なチームであれば、GitHubやBitbucketなどのクラウドサービスが手軽で便利です。
大規模なプロジェクトでは、GitLabやSubversionなどの自己ホスト型システムを検討することも有効です。
必要な機能を明確にする
バージョン管理システムに求める機能を明確にすることで、選択肢を絞り込むことができます。
ソースコード管理の基本的な機能に加え、コードレビュー機能、課題管理機能、CI/CD連携など、さまざまな機能があります。
必要な機能を洗い出し、優先順位をつけることで、最適なシステムを選びやすくなります。
コードレビューを重視する場合は、GitHubやGitLabがおすすめです。CI/CD連携を重視する場合は、BitbucketやJenkinsと連携できるシステムを検討しましょう。
使いやすさを考慮する
使いやすさは、バージョン管理システムを選ぶ上で重要な要素です。
使いにくいシステムは、チームメンバーの負担を増やし、生産性を低下させる可能性があります。GUIの使いやすさや、コマンド操作のわかりやすさなどを考慮しましょう。
GUIでの操作を重視する場合は、SourceTreeやTortoiseGitなどのツールが便利です。
コマンド操作に慣れている場合は、GitやMercurialなどのCUIベースのシステムも選択肢に入ります。
コストを比較検討する
バージョン管理システムには、無料のものから有料のものまでさまざまな種類があるので、プロジェクトの予算に合わせて、最適なシステムを選びましょう。
有料システムは、無料システムに比べて機能が豊富であったり、サポートが充実している場合があります。
GitHubやBitbucketは、無料プランでも基本的な機能を利用できますが、より高度な機能やプライベートリポジトリを利用したい場合は、有料プランを検討してください。
情報収集と比較検討をしっかり行う
複数のバージョン管理システムを比較検討し、最適なものを選びましょう。
各システムには、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。公式サイトやレビューサイトなどを参考に、情報を収集し、比較検討することが重要です。
公式サイトで機能や料金プランを比較したり、レビューサイトでユーザーの意見を参考にしたりすることで、自分に合ったシステムを見つけやすくなります。
ソースコード管理に関するよくある質問
ここからは、ソースコード管理に関するよくある質問にMattock シニアコンサルタントが回答していきます。
- ソースコード管理とは何ですか?
- ソース管理は必要ですか?
- ソースコードのバージョン管理とは何ですか?
- エンジニアがコード管理をするのはどんなとき?
- ソースコードとはどういう意味ですか?
- ソースコードはどうやって見ますか?
- ソースとはHTMLで何ですか?
- オープンソースはなぜ無料なのか?
- なぜバージョン管理をするのか?
ソースコード管理についての理解をより深めるためにも目を通してみてください。
ソースコード管理とは何ですか?
ソースコード管理とは、ソフトウェアの設計図であるソースコードの変更履歴を記録・追跡するためのシステムです。
これにより、過去のバージョンに戻したり、変更内容を比較したり、複数人での開発を効率的に行うことができます。
ソース管理は必要ですか?
ソース管理は、ソフトウェア開発において必須です。
変更履歴の管理、バグ修正の容易さ、チーム開発の効率化など、多くのメリットがあります。
ソースコード管理なしでの開発は、リスクが高く、非効率的といえます。
ソースコードのバージョン管理とは何ですか?
ソースコードのバージョン管理とは、ソースコードの変更履歴を時系列で記録し、過去の任意の時点の状態に戻せるようにすることです。
これにより、誤った変更を元に戻したり、特定の時点でのコードの状態を再現したりできます。
エンジニアがコード管理をするのはどんなとき?
エンジニアは、コードの変更が発生するたびにコード管理を行います。
たとえば、新機能の追加、バグ修正、リファクタリングなど、コードに変更を加える際には、必ずバージョン管理システムにコミット(変更を記録)します。
ソースコードとはどういう意味ですか?
ソースコードとは、人間がプログラミング言語を使って記述した、コンピュータプログラムの設計図のことです。
コンピュータはこのソースコードを解釈し、実行することでさまざまな処理を行います。
ソースコードはどうやって見ますか?
ソースコードは、テキストエディタや統合開発環境(IDE)などのツールを使って見ることができます。
これらのツールは、コードの記述や編集、実行などをサポートする機能を備えています。
ソースとはHTMLで何ですか?
HTMLにおいて、<source>タグは、メディア要素(<audio>や<video>)で使用するメディアデータのソースを指定するために使用されます。
複数のソースファイルを指定することで、ブラウザが対応している形式のファイルを自動的に選択して再生することが可能です。
オープンソースはなぜ無料なのか?
オープンソースソフトウェアは、ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布することができます。
無料である理由は、開発者がボランティアで開発している場合や、企業が自社製品の宣伝やコミュニティへの貢献を目的としている場合など、さまざまです。
なぜバージョン管理をするのか?
バージョン管理をする理由は、主に以下の点が挙げられます。
- 変更履歴の管理:過去のバージョンに戻したり、変更内容を比較したりできる
- 共同開発の効率化:複数人で同時に開発を進める際に、競合を防ぎ、スムーズな連携を可能にする
- バックアップ:ソースコードの消失や破損に備えて、安全に保管できる
まとめ
ソースコード管理について、この記事では、ソースコード管理についての概要をはじめ、バージョン管理システムのメリットやデメリット、さらには代表的なバージョン管理システムについても徹底解説致しました。
適切なソースコード管理を行うことができると、プロジェクトメンバー全員が同時にソースコードの編集を行なったとしても予期せぬトラブルを防ぐことができます。
また、それぞれのソースコードに対してコメントを共有したり、フィードバックしたりすることでお互いのレベルアップを図ることも容易です。
システム開発及びアプリ開発を行う際には、ソースコード管理を怠らないよう、プロジェクトにあったバージョン管理システムを採用することをおすすめします。