【Webアプリケーション開発の手順は?】おすすめプログラミング言語やフレームワーク、開発ツールやシステム開発会社も!

プログラミング初心者が、Webアプリケーション開発を行いたいと考えた時に、何から手をつけていいのかわからないといったようなことはよくあることです。特に数あるプログラミング言語フレームワークのうちどれを選択すべきか迷ってしまうでしょう。

本記事では、Webアプリケーション開発の手順について、基本的な知識を解説しながら、おすすめのプログラミング言語フレームワーク、さらには開発ツールやシステム開発会社についてもご紹介致します。

Webアプリケーションとは

Webアプリケーションを開発する前に、Webアプリケーションについて深く理解をしておきましょう。まず、Webアプリケーションとは、インターネットブラウザ上から閲覧及び操作が可能なアプリケーションのことです。代表的な例としては、Amazon、Twitter、Facebook、Googleドキュメント、Gmail等が挙げられます。

情報収集しかできないWebサイトとは違い、コメントをはじめ、データの加工や商品の購入等ができるという特徴を持つのがWebアプリケーションです。

Webアプリケーションのメリット

Webアプリケーションには、様々なメリットがありますが、今回は特に代表的なメリットをピックアップして解説致します。

1つのアカウントを作成するだけであらゆる端末で利用可能

Webアプリケーションは、1つのアカウントを作成しておくだけで、例えば自宅ではPCで使用し、外出時ではスマートフォン端末等から使用するという使い分けをすることが可能です。個別の端末毎にアカウントを用意する必要がないため、ユーザー視点で見るとストレスフリーなアプリケーションとなります。

情報制限がないためあらゆるコンテンツの提供が可能

Webアプリケーションは、アプリケーションストアを介することがない(審査がない)ため、コンテンツ内容の幅も広くなります。

常に最新情報の表示が可能

Webアプリケーションは、サーバーで一元管理されているため、管理が容易であり、ユーザー視点で見てもプログラムの更新を行うだけで常に最新のアプリケーションを使用することが可能です。

Webアプリケーションのデメリット

Webアプリケーションには、メリットだけでなくデメリットも存在します。メリットだけに目を向けず、デメリットについてもきちんと理解しておきましょう。

ネイティブアプリと比較し動作が遅い

Webアプリケーションの強みであるWebブラウザを通して使用するということが仇となり、スムーズな動作が難しいという側面があります。

インターネット環境が必要

Webアプリケーションは、Webブラウザを通して使用することになるため、当たり前のことではありますが、オフライン環境では動作しません。

端末保有の機能を利用不可能

Webアプリケーションは、ネイティブアプリやハイブリッドアプリと違い、ユーザーの端末が元々保有している機能(カメラ)等の機能を使用することは不可能です。

Webアプリケーションの仕組み

ここからは、Webアプリケーションの仕組みについて解説していきます。Webアプリケーションは、大きく分けて次の3つの仕組みのよって動作しています。

  • フロントエンド
  • バックエンド
  • データベース

フロントエンド

Webアプリケーションにおけるフロントエンドとは、直接ユーザーの目に触れる部分のことを指し、ユーザーが文字入力をしたり、クリックをしたりするボタンの部分や、サーバー側であるバックエンドのソフトウェアと直接やりとりを行う部分のことです。別名クライアントサイドとも呼ばれています。

バックエンド

Webアプリケーションにおけるバックエンドは、フロントエンドと対となる部分であり、ユーザーからは見えないサーバーサイドの部分のことを指し、具体的には、ユーザーがフロントエンドで入力した内容等のデータ処理及びデータベースへの保存や、検索結果の出力のことです。

データベース

Webアプリケーションにおけるデータベースとは、大量のデータを管理及び再利用しやすいように再現された塊のことです。

Webアプリケーション開発の手順

Webアプリケーションの基礎知識及び仕組みを理解したところで、ここからは開発の手順について解説致します。

設計

開発するWebアプリケーションの内容が定まった段階で、必要なページをサイトマップとしてまとめます。その後、それぞれのページのどのようなリンク及びボタンを配置するのかを整理したレイアウト(ワイヤーフレーム)を作成します。さらにデータベースが必要となるWebアプリケーションを開発する場合には、別途データベースの設計も必要です。

開発言語及びフレームワークの決定

後ほど詳細を解説致しますが、フロントエンド及びバックエンドそれぞれの開発には、それぞれに適したプログラミング言語及びフレームワークが存在します。実装したいと考えるWebアプリケーションの内容に合わせて最適なものを選択しましょう。

開発ツールの決定

Webアプリケーション開発においては、一般的に開発ツールを利用します。こちらについても後ほど詳細を解説致しますが、よく利用されるツールはバージョン管理システムとなっており、複数人で開発を行ったとしても履歴を確認できたり、その時点毎の状態を再現できたりといった機能を活用することが多いです。

公開

Webアプリケーションが完成したら、ドメインを取得し、サーバーを用意します。サーバーは自身で立ち上げても、レンタルサーバーを借りてもどちらでも問題ありません。

Webアプリケーション開発におすすめの言語

Webアプリケーション開発に必要となる言語は、開発する部分によって変わってきます。それぞれの開発におすすめの言語を解説致します。

フロントエンド

ユーザーの目に触れる部分のフロントエンドの開発を行う際に欠かせない言語は下記の3つの言語となります。

言語特徴メリットデメリット
HTML様々なデータをコンピュータが読み取ることができるようにタグ付けを行う言語文字にデザイン性を与えたり、リンクを繋げたり、画像を貼ったりすることが可能
タグを使用するだけで文字の装飾及びリンクの貼り付けが可能
動的な表現は不可能
簡易的なデザインしか作成不可能
1つのミスの影響範囲が大きい
CSSWebページのスタイルを指定する言語文章構造を保ちつつスタイルを指定可能
メンテナンス性の向上
表示されるブラウザによっては再現性が異なる
JavaScript非同期処理が可能強力なフレームワークが揃っている
プログラミング初心者でも習得しやすい
フロントエンド及びバックエンドどちらも対応可能
処理スピードが遅い
表示されるブラウザによって挙動が異なる

バックエンド

フロントエンドに対し、ユーザーの目に直接触れることのないバックエンドの開発を行う際には、下記の言語がおすすめです。

言語特徴メリットデメリット
Javaオブジェクト指向
OSは問わない
日本語のソースが多い習得に時間がかかる
C言語OSは問わない汎用性が高い
実行スピードが速い
習得難易度が高い
C#オブジェクト指向Javaと似ている
マイクロソフト及びWindowsとの相性が良い
Linuxでの開発には不向き
Rubyオブジェクト指向
スクリプト言語
少ない記述量で良い
習得しやすい
保守性の高いプログラムを作成可能
自由度が高い
処理スピードが遅い
Pythonオブジェクト指向
プログラミングが楽しい

少ない記述量で良い
習得しやすい
修正しやすい
処理スピードが遅い
日本語ソースが少ない
PHP動的型付け言語強力なフレームワークが揃っている
習得しやすい
シンプルである
処理スピードが遅い
JavaScript非同期処理が可能強力なフレームワークが揃っている
プログラミング初心者でも習得しやすい
フロントエンド及びバックエンドどちらも対応可能
処理スピードが遅い
表示されるブラウザによって挙動が異なる

Webアプリケーション開発におすすめのフレームワーク

ここからはWebアプリケーション開発におすすめのフレームワークについて解説致します。

フレームワーク使用言語特徴メリットデメリット
CakePHPPHPMVCアーキテクチャで構築初心者でも習得しやすい
複数人での開発に適している
規約が厳しいためカスタマイズ性に欠ける
Ruby on RailsRubyMVCアーキテクチャで構築
オブジェクト指向
汎用性が高い
シンプルで初心者でも習得しやすい
実行スピードが遅い
記述に差が出ることがある
DjangoPython無料のオープンソース管理画面が自動生成
汎用性が高い
セキュリティ的に安全
メンテナンスが容易
日本語ソースが少ない
AngularJSJavaSciptフロントエンド側のフレームワーク
オープンソース
フルスタックフレームワーク
記述量が少なくて良いファイル容量が大きいため、パフォーマンスが低い
ASP.NET特定の言語に依存しないオープンソース特定の言語に依存しないため初心者でも取り入れやすいソースが少なく習得しにくい

Webアプリケーション開発におすすめの開発ツール

Webアプリケーション開発に必須の開発ツールのうちおすすめのものをご紹介致します。

開発ツール特徴メリットデメリット
SourcetreeGitの分散管理システムツール操作を効率的に行うGUI
Windows及びMacどちらにも対応
無料
日本語に対応
直感的な操作が可能
全体の作業の可視化
処理スピードが遅い
GitHubGitの仕組みを利用し、世界中の人々がプログラムコード及びデザインデータ等を保存及び公開することができるサービスリポジトリをサーバー上で管理することが可能
無償版と有償版がある
チーム開発を行う時に便利
効率的な開発が可能
Bitbucketプロフェッショナルチーム向けのGit管理ツールチームでのプロジェクト管理に強い
プライベートなリポジトリを無料で作成可能
Caccoテンプレート及びステンシルを用いてワイヤーフレーム及びAWS構成図、マインドマップ等を簡単に描くことができるツールダウンロード不要
ブラウザ上で利用可能
複数人で図を同時に編集したとしても重くならない
豊富なテンプレート
接続状況が不安定なことがある

Webアプリケーション開発を学ぶ方法

Webアプリケーション開発を学ぶ方法はいくつかありますが、それぞれメリットやデメリットがありますので、理解した上で最適なものを選択しましょう。

プログラミングスクール

金銭的に余裕があるということであれば、プログラミングスクールに通って経験豊富な講師から学ぶというのが一番手っ取り早い方法です。都度質問をして疑問点を解決することができますし、仲間も多いため切磋琢磨することができます。

学習サイト

プログラミングスクールに通うほどの金銭的余裕がなく、独学で学びたいという時には、無料または有料の学習サイトを利用するという手段があります。選択する言語やフレームワーク、開発ツールによって、ソースの多さは変わってきますが、動画でわかりやすく説明してくれたり、実際に簡単なプログラミングを行いながら学んだりと様々なパターンが存在します。例えば下記のような学習サイトが存在します。

paizaラーニング 「Webアプリケーションを作りたい」入門講座

paizaラーニングでは、Webアプリケーション開発についての講座が多数あります。ただし、プログラミング言語の基礎知識は既に身に付いている人向けとなっているので注意が必要です。

Paizaラーニング「Webアプリケーションを作りたい」入門講座一覧https://paiza.jp/works/search_courses/1010

書籍

学習サイトで学びつつ、並行して書籍を利用するというのも一つの独学方法です。選択する言語やフレームワーク、開発ツールによって出版されている本の数は大きく変わってきますが、様々なレベルや視点の書籍が数多く出版されているので、自分に合った一冊を手に入れておくのがおすすめです。Webアプリケーション開発においては、下記のような書籍がおすすめです。

知識ゼロからのWebアプリ開発入門

Ruby on Railsを用いたWebアプリケーション開発についての入門書。Rubyを用いたプログラミングの基礎をはじめ、Webアプリケーションの仕組み、Ruby on Railsを使用した実際のWebアプリケーション開発までを解説しています。

書籍名著者名出版社
知識ゼロからのWebアプリ開発入門町田 耕技術評論社

基礎からのWebアプリケーション開発入門 Webサーバーを作りながら学ぶ(Software Design plusシリーズ)

Webサーバーを実際に作成しつつ、さらに実際に動かして結果を見ながら、様々な技術要素について1つ1つ解説してくれる一冊。文字を読むだけではないため、Webアプリケーション開発について実践的な力を身につけることが可能です。

書籍名著者出版社
基礎からのWebアプリケーション開発入門 Webサーバーを作りながら学ぶ(Software Design plusシリーズ)前橋 和弥技術評論社

Webアプリケーション開発を外注する際のおすすめシステム開発会社

Webアプリケーション開発について、様々な面から解説致しましたが、自作するのではなく、外注したいと考える場合、おすすめのシステム開発会社をピックアップしましたのでご紹介致します。

Sky株式会社

Sky株式会社では、従来型の開発手法に囚われず、近年注目が集まるSPAのプラットフォームを利用した開発にも対応しています。主にReact、Vue.js、AngularといったJavaScriptフレームワークを中心とした開発を行っており、デザイナーとエンジニアが綿密にやりとりしながらデザイン性を保持しつつパフォーマンスもしっかりとしたWebアプリケーションの開発を実現します。

Sky株式会社https://www.skygroup.jp

株式会社エスエヌシー

株式会社エスエヌシーでは、LAMP環境でのWebアプリケーション開発を中心とし、Webデザインをはじめシステム開発及び保守、さらにはインフラ構築に至るまでワンストップのWebアプリケーション開発が可能です。

株式会社エスエヌシーhttps://www.sncj.co.jp

株式会社ジークス

株式会社ジークスでは、インタラクションを重視し、操作性の高いUIをWebアプリケーションで実現することが可能です。これまでもネイティブアプリに匹敵するようなWebアプリケーションを多数開発した実績を持ち、サーバーサイドアプリケーションやデータベースとの連携も得意としています。

株式会社ジークスhttps://www.zyyx.jp

岩通ソフトシステム株式会社

岩通ソフトシステム株式会社では、多数のWebアプリケーション開発の実績があります。40年を超える確かな経験と実績を生かし、各クライアントの要望に合ったWebアプリケーションを開発してくれます。

岩通ソフトシステム株式会社https://www.iwass.co.jp/index.html

株式会社YAZ

株式会社YAZでは、Webサービスを創る上で、企画から開発運用までの全てをサービス提供してくれます。15年以上の実績を誇り、クライアント及びユーザーのために進化し続ける会社です。

株式会社YAZhttps://www.yaz.co.jp

まとめ

Webアプリケーション開発について、本記事では、基本的な知識を解説しながら、おすすめのプログラミング言語やフレームワーク、さらには開発ツールやシステム開発会社についてもご紹介致しました。

プログラミング初心者であっても、フロントエンドやバックエンドなどの開発したい部分に合わせて言語やフレームワークを学び、適切な開発ツールを選択することで、開発に携わることができることがわかりましたね。

なるべく日本語のソースが多く、習得しやすい言語から勉強を始め、挫折しないようにし、段階的にさらなる知識を習得していくようにしていきましょう。

【DX(デジタルトランスフォーメーション)DXとIT化の違いとは?】DXのメリットや成功させるポイントも徹底解説!

最近、注目を集めているDX。一方で、DXに対する理解が異なっている部分や、ITなど他の用語と混ざってしまったりと、具体的にDXがどういう意味を持つものなのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

DXとIT化などの違いを理解できれば、DXとIT化の優先順位をつけた上で、DX推進の方向性をずらすことなく、会社や店舗のDXを最短で進めることにも役立てられます。

この記事では、DXとIT化の違いを中心に、DXのメリット成功させるポイントについても詳しく解説していきます。

DXとIT化の違い

DXと同じようなイメージを持たれやすい言葉に、「IT化」があります。実際は、少し意味合いが違ってくるのでしっかり理解するようにしましょう。

DXとは

IT技術等を使ったサービスや仕組みを浸透させて、人やモノ、企業をより便利にしていくための変化や改革、流れをさす言葉です。

IT化とは

情報技術のことで、インターネットなどのネットワークを駆使して便利に物事を進める技術であり、様々なものや仕組みを便利に行うための技術のことを指しています。

このようなことからも、IT化の先にDXがあると識別するとわかりやすいかもしれません。

DXとIoTの違い

IoTは、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。身の回りのさまざまなモノが、インターネットに繋がることをさす用語です。

たとえばスマートフォンがインターネットに接続できるのも、「電話のIoT」にあたりますが、スマホを筆頭に、近年ではテレビやエアコンなど、本来ネットと無縁だったモノも繋がるようになっています。これにより家の外にいても、室内にある電子機器の遠隔操作が可能になりました。最近増えてきているスマートスピーカーもIoT家電の一つです。

IoTにはセンサーなど、さまざまなモジュールが組み込まれています。モジュールから収集したデータはAIにより分析・学習され、新たなサービスや既存のサービス向上に活用することが企業側の主な目的とされています。またIoTの活用により、以下のような分野において人手不足が解消できると期待されています。

つまり、IoTにより新たなサービスや既存のサービス向上につながるため、DXを実現する1つの手段といえます。

DXとICTの違い

ICTは日本語に訳すると「情報伝達技術」です。ITに、コミュニケーション機能を加えたものがICTです。

近年では、ICTを活用したシステムは、教育機関や病院、オフィスなどで広く利用され始めています。テレビや新聞・インターネットなどで、ICTシステムなどを目にする機会も増えてきました。

例えば、パソコンやタブレットを使った学習システムや防犯カメラと連携させたセキュリティ対策などもICTを活用したサービスで、様々な業種で業務効率化を実現しています。

最近は、保育士不足、保育園不足にあたり、厚生労働省は「保育所等における業務効率化推進事業」を創設しました。そこには保育園がICTシステムを導入する際に、一定額の補助金を受けられるという取り組みも含まれます。そのため、多くの保育園でICTシステムの導入が進められています。

DXとIT化のメリット

ここからは、それぞれのメリットについて解説していきます。

DXのメリット

まずは、DXを行うメリットをご紹介していきます。

・働き方改革の実現

まずは、働き方改革の実現ができるという点です。AiやRPAなど、現状の業務を自動化できるツールを活用することで、テレワークを導入しやすくなったり、定時退社ができるようになったりします。

・人材不足の解消

働き方改革が実現されることにより、従業員にとって働きやすい環境が構築され、採用にも良い影響を与えるでしょう。もし今人材不足に悩んでいる企業があれば、人材不足の解消にもつながるかもしれません。

・業務効率化

AiやRPAなど、自動化ツールを活用することで、ヒューマンエラーを防ぐことにつながり、かつ従業員はコア業務に集中することができるようになります。これは、劇的な業務効率化にもつながるはずです。

・新規事業や新サービスのスムーズな開発

DXを実現することで新規事業や新サービスもスムーズに開発することができるようになります。実際、小さなところでいえば無人コンビニなどにおいて、Aiカメラを利用することでお客の行動状況を把握し、新しいマーケティングに役立てるという例も出てきているわけです。

今後、これまで以上に大量の情報を収集できたり、更にDXを促進したりすることができるようになれば、新サービスを続出させる企業が出てくるのも夢ではないかもしれません。

IT化のメリット

続いて、IT化によるメリットとはどのようなものがあるのかご紹介します。

・情報管理・共有の利便性アップ

ITツールの導入により、情報の管理や共有が非常に簡単になります。書類などを紙で管理している場合は、分類に手間がかかったり、必要な資料を見つけるのに苦労したりと不便なことが多いでしょう。

しかし、アナログな情報の電子化により、「いつでも、どこでも簡単に」書類を確認・管理・共有できます。また、データはクラウド上に保管されるため、紙での保管のように場所も取りません。

さらに、今までは職場にいないと確認できなかった情報に自宅などからアクセスできるため、テレワークにも対応できます。

・DX化の推進につながる

前述したように、IT化なしではDX化を実現できません。

ここで注意することは、IT化の目的が「業務効率化」であるように、必ずしも「DX化の推進」が目的にはならない点です。そのため、「なぜ社内でIT化するのか」を明確にすることが重要です。

DXを目指す3つの重要なポイント

DXを推進するうえで重要な3つのポイントは以下の3つです。それぞれを解説していきます。

DX化を推進するIT人材の育成

「DX化を推進するIT人材が不足している」ことが日本のDX改革を妨げる原因の1つとなっているため、早急にIT人材を育成する必要があります。

ただ、DXを推進するためには、「基礎的なIT知識」「データの重要性の理解」「UI・UX志向」などさまざまなスキルが必要であるため、社内に適任者がいない場合もあります。

その場合は中途採用をしたり、社内の人材にITスキルの研修を実施することで未来のIT人材を育成したりといった取り組みが必要です。

ITシステムの構築

DXを推進するためには、各部署でバラバラなITシステムを社内全体で統一することが重要です。なぜなら、各部署で異なるITシステムを利用していると部署間のデータ連携がうまくいかず、データのビジネスへの活用ができないためです。

具体的には、「外部のベンダーにシステム開発を発注する」「既存の外部システムを新しく活用する」「自社でシステムを開発し運営する」という、3つの選択肢がありますが、どの選択肢であっても、外注費用やシステム利用費など、ITシステムの構築には多額のコストがかかることは注意しておきましょう。

社内の組織改革

DXの推進には現場の協力はもちろん、経営トップの責任も必要です。なぜなら、DX成功のためには、経営トップが「DXでどのような価値を生み出し、どのようにビジネスを変革するのか」を明確にすることが重要であるためです。

IT化を推進する2つの重要なポイント

IT化を推進するうえで重要なポイントは、「データの電子化」と「クラウドサービスの活用」の2つです。それぞれ解説します。

・データの電子化

ここ数年、テレワークの普及とともに、データの電子化が急務となっています。データの電子化により、職場にいないと確認できなかった情報に自宅などからアクセスできるようになるからです。

テレワークの課題として最も多いのが「会社にある紙の書類をすぐに確認できない」という調査結果が出ています。

そのような結果からも、クラウドサービスなどを活用してデータを電子化することがIT化の推進において重要です。

・クラウドサービスの活用

クラウドサービスの活用もIT化において重要なポイントになります。チャットツールなどのクラウドサービスの活用により、紙で情報共有する際の手作業をカットし、業務の効率化を実現できるからです。

IT化により業務効率化を目指す際は、クラウドサービスの導入をおすすめします。

DX化を推進するための3つのステップ

DX化を推進するには、どのようなことが大事になってくるのでしょう。3つのステップで行動していくことが大事です。

目指す姿を明確にする

まずは、理想の自社の姿を明らかにしましょう。自社の目指すべき方向を明確にし、社内で共有することで、DXに向けて従業員が同じ方向を目指せるためです。

それにより、DXが途中で頓挫してしまったというよくある失敗を未然に防くことができます。

現状を分析し、自社の強みを探す

次に、自社の現状を分析し、強みを探すことです。それにより、DXとはデジタル技術とデータを活用した競争優位性の確立を指しますが、言い換えると、デジタル技術とデータで自社の強みを拡大することが重要であるためです。

具体的には、ビジネスモデル、製品やサービス、業務、組織、プロセス、企業風土などの項目で自社の現状を分析しましょう。

目指す姿と現状のギャップを埋める戦略を立てる

そして、DXをデジタイゼーション・デジタライゼーションに分類して考えることです。目指す姿と現状を明確にした上で、どのような流れでアナログなデータをデジタル化し、そこにどのような技術をかけ合わせていくのか検討することが、DX戦略の軸です。

DXの導入例

ここでは、実際に企業がどのようにDXを取り入れているのか、具体的な実例をもとに紹介していきます。

音楽ビジネス

音楽媒体はCDや楽曲ダウンロードから、聞き放題サービスのストリーミングサービスへと移行しつつあります。世界最大手のSpotifyは、2021年現在で2億3,200万人ものユーザーを抱えています。配信されている楽曲数の多さや他人が作ったプレイリストの利用、対応するスマホ端末の多さで差をつけ、成功を収めたといえます。

Amazonによるオンライン販売

地球上でもっとも豊富な品ぞろえを誇るAmazonは、本のオンライン販売を実施し、世界に先駆けたDX化を実現しました。Amazonがその巨大なECプラットフォームを構築したことで、私たちはどこにいても好きなものをなんでも購入できる環境を手に入れたのです。買い物に行くという行動を完全にデジタルに置き換えたAmazonは、まさにDXのお手本といえます。

Googleによる飲食店予約

GoogleのAIが人間の代わりにレストランや美容院の予約、映画のチケット購入をしてくれます。最初にサービスが開始されたアメリカを含め、現在は8か国で利用できます。今後は、商品を購入できる機能の追加や、日本でのサービスの開始が期待されています。

メルカリのスマホ完結型ネットオークション

スマホから誰でも簡単に売り買いが楽しめるメルカリは、日本最大のフリマアプリへと成長を遂げました。大量の顧客と商品データを集め、データプラットフォームを武器にサービスを提供しています。顧客に価値を感じてもらうことを常に追求し、スマホ完結型のサービスにすることで広く受け入れられ、多くの利用者を獲得しました。既存のネットオークションとは異なる付加価値を提供して成功した代表例といえます。

トライグループのオンライン授業

家庭教師の派遣会社であるトライグループは、スマホやタブレットで簡単に視聴できるオンライン授業「Try IT(トライイット)」という無料映像授業サービスを配信しています。ここでは、家庭教師サービスの既存事業で蓄積した教育ノウハウや生徒の行動データを活かし、「家庭教師を派遣する」ビジネスから、「コンテンツの提供で、学ぶ環境を提供する」ビジネスへと転換するDXが行われました。オンライン授業や動画学習の需要の増加につれて、拡大が期待されるサービスです。

まとめ

この記事では、今回は、DXとIT化の違いやそれぞれのメリット、DX推進のポイントなどを解説しました。今後、日本におけるDX化はますます加速していくことが予想されますが、ただやみくもにDX化するのは非効率です。

しっかりと考えを持ち、ステップを踏んでいくことが大事になってきます。DXを進める第一歩として、まずはIT化を進めていくことをおすすめします。

2022年最新【DX完全ガイド】DXにより売上アップを目指す!システム・アプリ開発の必要性や事例もご紹介!

ここ数年で一気に注目を集めているDX。言葉は聞いたことがあっても、その意味やメリットなどを知らない方も多いと思います。この記事では、DXについて徹底分析し、様々な角度から解説していきますので、是非参考にしてください。

DX(デジタルトランスフォーション)とは?

DXとは、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。

日本におけるDXは、2018年に経済産業省によって再定義されており、DX推進ガイドラインには以下のように記されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

つまり、ITを活用してビジネスにかかわるすべてをより良くし、企業文化までを変えて取り組むべき覚悟が必要であることを示しています。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

DX(デジタルトランスフォーション)とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とIT化の違い

DXとIT化は同じように感じる方もいるようですが、意味合いは少し違います。この違いを明確に理解することはビジネスを一歩進めるためには重要です。

IT化は組織の生産性向上を「目的」としてIT導入やデジタル化を進めるのに対し、DXはそれを「手段」としてビジネスモデルの変革を行います。つまりIT化はDXにおける手段のひとつということになります。

「新しい会計ソフトを導入した」「インターネットを高速化した」だけでは単なるIT化に過ぎず、例えばその後に「支払い方法の選択肢を多く提供することで、顧客層が幅広くなり、データを使ったビジネスもできるようになった」といった具合に、これまでの仕組みが変化することそのものがDXということです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される理由

DXが注目され、取り組みが活発になった理由には、スマートフォンの普及とリモートワークの増加が関係しています。今や誰でも1人1台はスマートフォンを持ち、どこでもインターネットの利用ができるようになったことを背景に、消費者行動は大きく変わってきたことがあげられます。

また、コロナ禍により在宅ワークなどのリモートワークが増えたことで働き方改革の後押しもあり、働き方に多様性が生まれ、デジタル化も急速に進んでいます。そして、これらの変化は、新しい製品・サービスを生み出す土壌ともなり、今日のさまざまなビジネスモデル誕生の大きな要因となっています。

そして2018年9月、経済産業省が提唱した「2025年の崖」問題を指摘しました。これにより、DXはさらに注目を集めることになりました。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される理由

DX(デジタルトランスフォーメーション)による売上向上を目指す

売上が伸び悩んでいる企業の経営者は、DXという言葉や概念を知っていても、イマイチその特性を活かせていないケースが存在します。DXの推進はハードルが高く、既存の業務がひっ迫すると考える保守的な社内スタッフがいると、さらに困難に思えるものです。

しかしDXこそ、今の時代において売上拡大の鍵を握っている、といっても過言ではありません。DXに進んで取り組んでいる大企業だけでなく、中小企業においてもDXの活用は避けられない課題です。企業の売上向上を目指すためにも、DXは今後企業が行っていくべき、最重要課題といっても良いでしょう。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)による売上向上を目指す

DX時代のシステム・アプリ開発の必要性

企業をとりまくビジネス環境の変化が加速し、より柔軟で、迅速な対応が求められる時代になっています。企業のニーズに応え、ITをビジネスの成果に直結させる手段として、様々なシステムやアプリ開発がされています。こちらで簡単にご紹介します。

ローコード開発

ローコード開発とは、可能なかぎりソースコードを書かずに、アプリケーションを迅速に開発する手法やその支援ツールのことです。GUIと呼ばれる視覚的な操作で、画面部品やロジック部品を組み合わせることによって、工程を省略または自動化します。従来のシステム開発と比較しても短い開発期間で、高品質かつ安定したシステム開発を行うことが可能です。必要な部品を組み合わせてひとつのアプリケーションをつくり上げていく手法です。

注目される理由

DXの推進が叫ばれている中、どの業界においても、急速に変化するビジネス要件に対して、迅速かつ柔軟に対応する必要が生じているのです。こうした風潮は、アプリケーションの開発手法に対しても例外ではなく、開発速度や品質、安定性など、あらゆる側面に変革が必要とされています。そのようななかで、ローコード開発が注目されています。

モダンアプリケーション開発

DXを推進するためにイノベーションの活性化やビジネス環境の素早い変化に対応する機敏性が求められる状況にあります。これはDXの構成要素であるアプリケーションに対しても同様であり、市場の変化に対応するための機敏性や継続的な価値の提供を実現する開発方法としてモダンアプリケーション開発が採用されています。

注目される理由

モダンアプリケーション開発は、「さまざまな変化に対応できるイノベーティブで機敏性を高める開発手法」で、DXの実現を支援出来るシステムとして期待されています。

アジャイル開発

アジャイル開発とは、機能単位で小さな開発サイクルを繰り返すスタイルで、速さと柔軟さが魅力のシステムです。開発サイクルは設計・開発・実装・テストという順番で構成され、1つのサイクルごとにクライアントのフィードバックをもらいます。また、アジャイル開発ではプロジェクトの基本機能から優先的に開発します。

注目される理由

アジャイル開発は、要件やスケジュールを詳細に決めないため、素早く開発に着手できます。また、柔軟な対応も可能です。機能単位で開発サイクルを回して都度クライアントからのフィードバックをもらいます。細かく修正しながら開発を進めていくため、プロジェクトの完了間際に大規模な修正が発生しません。

ノーコード

ノーコードとはその名の通り、「コードを書かずにアプリが開発できる」ということです。これがもたらす最大の変革は、「エンジニアではない人でもアプリを作成できるようになる」ことです。

注目される理由

ITエンジニア不足を解消するほか、業務の現場にITを浸透させることが求められているなかで、現場主導でのアプリを活用した、業務改善や仕組み作りができ、改善点があれば、すぐにそれをITによって改善できる仕組みが構築できます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の事例

DXを実現するためには、理解すべきポイントや課題、実施すべき施策があります。しかしこれらを学ぶだけでは「自社では実際にどんなDXができるのか」というイメージに欠けます。そこで重要になってくるのが事例です。

他社の具体的な事例を知ることで、DXのイメージが容易になり、自社でDXに取り組むうえでの参考となります。これまでの成功事例を記載した以下の記事を、参考にしてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の事例

DX推進にあたっての課題

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」や、5Gやスマートフォンの普及、新型コロナ対策や働き方改革の影響もあり、DXの推進が強く求められています。しかし、日本企業においては、DXに関する危機意識やデータ活用不足、既存システムを維持運用する負担などが課題となっているのも事実です。

変革への危機感の低さやDXを推進する人材の不足など、日本企業がDXを推進するうえで直面している課題も多くあり、その課題を克服していくことが、日本企業のDXを加速させる要因とも言われています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

DX推進にあたっての課題

まとめ

この記事では、DXについて様々な角度から解説してきました。デジタル化の波を受けて、社会は大きく変わりつつあります。ビジネス業界においてもDX推進が特に重要視され、多くの企業が変革を求められています。

2025年を節目に直面する問題に立ち向かって乗り越えていくためにも、DX推進をはじめとして、これからさまざまな課題に取り組んでいかなければなりません。

自社の目標を明確にし、将来を見据えて企業改革へと踏み出していきましょう。

【DX(デジタルトランスフォーメーション)による売上向上を目指す】DXで売上を向上させるポイントとは?その方法や考え方も徹底解説!

向上を目指すうえでのDXの重要性や、ポイントについて解説していきます。

DX推進の背景

なぜDXが注目されているのでしょうか。その背景には、経済産業省が2018年にまとめた「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜」で提唱された、「2025年の崖」と呼ばれる現象があります。

「2025年の崖」とは、既存システムが抱える問題により、2025年に多くの企業が危機に直面することを指しています。既存システムの問題とは、部門間の連携や企業全体でのデータ活用ができないことや、膨大なカスタマイズによりシステムが複雑化 ・ブラックボックス化していることなどが挙げられます。

DXレポートの中では、2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムを見直してDXを実現することで、2030年の実質GDPを130兆円超に押し上げることができると提唱されています。つまり、DXの実現が日本の国際的成長力の維持や強化に直結しているわけです。こうした背景から、DXは日本企業の最重要課題の一つとなっています。

DXが売上の鍵を握る2つの要因

企業が売上拡大を狙うには、製品の開発や改良、価格の変更、新たな顧客の獲得など、いろいろな手法があげられます。これらを効率よく、正確に進められるのがDXです。

DXとは、簡単にいえば情報技術やデジタルツールを使って、新しい価値を創出することをいいます。この新しい価値の中には、当然売上の拡大も含まれているため、現代の社会では、国内外の多くの企業がこぞってDXの推進に乗り出しているのです。

ここでは、DXが売上創出の鍵になるといわれているのか解説していきます。

大企業が揃って活用しているDX

日本は先進国といわれていますが、デジタルという観点からみると、他国にはるかに遅れを取ったデジタル後進国といわれています。経産省も、DXレポートの中で「DXを取り入れない限り、2025年には国内企業のレガシーシステムが崩壊し、日本は世界のデジタル競争に負ける」と危機的状況にあることを指摘しています。

他国を見てみても、時価総額上位の企業はアメリカのGAFAや、中国のアリババなどで、日本でトップのトヨタ自動車でさえ、世界のトップ20に入っていません。

これらの企業はITや情報技術を駆使し、DXをうまく取り入れた企業であり、日本企業も同様の道を辿らなければ、売上を伸ばしていくことは困難であるといえます。これは大企業に限った話でなく、中小企業も同様に、レガシーシステムの刷新やデジタル技術の活用をしない限りは、競争に生き残れないということです。

今後増加する情報技術活用の需要

私たちの身の回りでも、情報技術を活用することの必要性は、今後も増していくと予想できます。また昨今のコロナ禍の影響もあり、その速度は加速しています。

例えば、他人との接触を減らすために外食をしない代わりに宅配してもらえるウーバーイーツやZoomを使ったオンライン会議、Nexflixなどといったサービスが、あたりまえに活用されるようになりました。

Amazonがコロナ禍で莫大な売上を伸ばしたのは、いち早くDX化を進めオンラインのシステム基盤を作っていたためです。これまでもそういった仕組みはありましたが、コロナ禍で人々の生活スタイルは大きく変わり、今後、オンラインツールを活用した日常は、あたりまえのものになるはずです。

そんな世の中で売上を伸ばしていくためには、ITや情報技術を活用して、顧客のニーズを満たしていくことが、企業を成長させるために必要なことといえます。

DXで売上を拡大するために経営者に必要な2つの考え方

DXを失敗に終わらせず、確実に売上を伸ばすために必要な考え方とはどのようなことなのでしょう。2つの考え方をご紹介します。

IT化のその先を見る

日本にもDXに取り組み始めている企業は数多くありますが、一部は挫折してしまうのも事実です。DXを使って売り上げを伸ばしている企業にあって、失敗する企業にないものは「IT化後を見ているかどうか」です。

失敗する企業は、変革を起こそうと躍起になり、IT化自体が目的になってしまう企業が多いのです。目指すべきところは、DXを使って売り上げを伸ばすことです。

売上の拡大につなげるためには、「どのようにIT技術を活用して課題をクリアにするのか」「ニーズを満たしたうえで、どう売上を伸ばしていくか」ということをあらかじめ決めることが、DXが売上に繋がるポイントといえます。

長期的に戦略を練る

ここまで売上拡大のためのDXの必要性を述べてきましたが、DXは取り組めばすぐに結果が出るわけではなく、長期的な戦略を練る必要があります。DXは、すべての部門にその必要性を知ってもらい、各部門が連携を取り、全社的に取り組まなければ実現できるものではないからです。

経営理念と同じようなレベルで、会社全体にDXの必要性を落とし込めければ、表面的なIT化にとどまってしまい、売上の拡大まで行きつくことはできません。さらにDX戦略には、システムの運用や構築のほか、新しいツールや電子端末を導入するIT投資を惜しまない姿勢も必要です。

DXを成功させている企業では、莫大な金額を投資してAIやIoT機器に投資を行っています。目先の利益にとらわれず、全社をあげて長い目線で取り組む政策として、各部門に落とし込むことが、DXを活用し、売上拡大に繋げるための必要な考え方です。ただ、長期的に戦略を練るだけで、短期の成果がまったく出ないのは本末転倒のため、取るべき対策を1つずつ確実にこなしていってください。

DXで重要となるデータ活用とは?

インターネットやスマホが一般に普及し、さまざまな情報が得られるようになったことで、以前と比べ顧客や消費者のニーズは多様化しています。こうした消費者の行動からは、多くのデータを収集することができます。ただ、自社に存在するデータを正しく活用できている企業は少ないかもしれません。

ここでは、DXが進む企業において重要となる、データ活用について解説します。

データ活用とは?

データ活用とは、社内外で蓄積されているデータをビジネス成功のために活用することです。社内外には、多種多様なデータが存在します。

例えば、顧客データや売上データ、資料請求リストや製品データなど、企業では部署ごとに様々なデータを使用しています。これらの莫大なデータを収集・統合・分析を行ない、売上の向上や戦略の立案に繋げることをデータ活用といいます。

データ活用が注目される背景

スマホが普及し、インターネットがより身近になった現代では、顧客や消費者のニーズが多様化しています。これは顧客や消費者が、いつでも気軽に情報にアクセスできるようになったためです。SNSが普及し、企業だけではなく、個人でも情報発信できるようになったことも一因です。

企業が多様化したニーズを的確に捉えて売上を伸ばす必要がありますが、経験や勘だけに頼る手法には限界があります。そこで、注目されるようになったのがデータです。

データ活用をすることのメリットとは?

それでは、データを活用することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

売上の向上

データ活用をすることで、売上の向上に繋がる可能性があります。大量のデータを収集、統合、分析することによって過去の振り返りをすることができ、顧客のニーズの変化などを確認することができます。

過去のデータから未来の予測を行なう予測的分析から、顧客のニーズを正確に捉えることができるようになり、売上向上の期待が持てるようになります。

分析的な戦略の立案

データ活用により、長年の経験と勘を頼りとする戦略立案からの脱却を図ることが可能です。経験や勘だけに頼る方法では、責任者の自己判断で戦略を立案してしまうケースがあります。もちろんこの方法でもよい結果になることはありますが、ニーズが多様化している現代では、経験や勘が時代遅れとなっている場合もあり、失敗に終わることも少なくありません。

データ活用に力を入れることで、数字や行動履歴といった根拠に基づいて意思決定をすることができます。これにより、データに基づく、いわゆるデータドリブンな戦略の立案が可能となるのです。

新たなビジネスへの参入

企業が売上を伸ばしていくためには新しいビジネスに進出していくこともひとつの手段です。新たなビジネスへの参入にもデータが役に立ちます。複数のデータを収集、統合、分析することで、自社の強みや弱みを正しく理解することが可能です。新たなビジネスへの参入後も、良し悪しを判断するにもデータ活用は有効な手段となります。

国などの公的機関が公表しているデータも活用しながら、自社のリソースをどのようにして振り分けていくかを考え、新規ビジネスへの参入を検討してみましょう。

DX推進により売上向上につなげる7つのステップ

ステップを着実に踏むことで、市場ニーズを獲得し、貴社の企業競争力がUPされ売上向上に結び付きます。ここでは、売上向上につなげるためのステップを解説していきます。

①DX推進体制構築

誰がどの部門のどの業務に対してDX推進させるか決めます。片手間だと普段の業務で忙しくなかなか進まないので、​専門で取り組める方や各事業部の業務内容を理解している方を選抜して体制が組めればベストです。

②DX戦略策定

DXの構想立案を行います。外部環境に応じたデジタル技術の活用や企業の変革に適応するシステムの刷新などを計画します。

③アナログ業務の棚卸と脱却

標準化されていない人的業務や紙を扱う業務などを洗い出します。

④システム導入によるIT化

紙の書類等を電子化するペーパーレス化や、洗い出した個別業務に対して、自社のオペレーションにあった最適なデジタルツールの選定と導入することが必要です。

⑤社員のITスキルの向上

自社の社員が使いこなせるようにする事と、その先の活用頻度をあげるため、社員向けの定期的なITスキル向上の勉強会を開催することも必要です。

⑥業務効率化による生産性向上と働き方改革

ITスキルが身につくことで、個別業務プロセスのデジタル化が実現し、時短や効率化に繋がり、結果、生産性向上や働き方改革に繋がっていきます。

⑦既存事業の新たな価値の創出と新規事業の開発

ここまでくると、全社を横断した業務プロセスのデジタル化やデジタル技術を既存事業に活用し、新たな付加価値を​​​​​提供、社員視点での業務効率やお客様視点での利便性を高め、サービス価値を高めることもできるようになっているでしょう。

さらに、競争上の優位性を確保しつつ、各業務、部門で導入したシステムを連携し、部門間で発生したデータを分析することで、サービスや製品開発に活用することもできるようになります。部門間の相乗効果を生みだして事業やサービスの新しい価値を創出できます。

まとめ

この記事では、DXによる売上向上を目指すポイントやメリットなどを解説してきました。デジタル化が遅れている日本では、今後ますますDXの必要性が増していきます。まずは、どのように顧客のニーズを満たし、世の中に貢献する戦略を練るかが、自社を成長させられるかどうかの分かれ道です。

IT化は一つの通過点であり、売上を伸ばすためには、顧客視点を大事にすることを忘れてはいけません。これらの課題は大企業はもちろん、デジタル化に一歩遅れを取っている中小企業こそ、特に取り組まなければいけない施策でもあります。

DXを上手く活用し、自社だからこそ生み出せる価値を見つけて、売上の創出を実現してください。

【DX(デジタルトランスフォーメーション)成功事例11選!】あの有名企業が成功させたポイントもご紹介!!

近年は、コロナ禍や企業の人手不足の影響で、世界中の企業がDXを推進させる取り組みを行っています。日本はデジタル競争の後進国といわれており、経済産業省からもDXレポートとして、企業へのDX推進に対する重要性が警鐘されました。

これからの日本企業はDX推進をはじめとして、様々なデジタル化の課題に取り組まなければなりません。ただ、「どのようにDX推進していけばよいのかわからない」といった方も多いのではないでしょうか?

この記事では、実際のDX推進の成功事例を11選として紹介していきます。今回ご紹介する事例を、自社の参考にしてみてはいかがでしょう。

DXの推進とは?

DXとは、スウェーデンのウメオ大学、エリック・ストルターマン教授が2004年に発表した論文のなかで提唱された概念です。DXは「デジタル技術の浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させること」を意味します。

しかしこの概念は、ビジネスの利用には向いていないため、参考とされているのが経済産業省が「DX推進ガイドライン」で取り扱ったDXの定義です。

この中で、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」という概念が発表されました。

ビジネスにおいては、テクノロジーによる単なるデジタル化をDXと呼びません。デジタル化を通して、業務や組織を変革し、競争優位性を確立してこそDXと呼べるのです。このDX実現に向かって施策を動かしていくことをDX推進と言います。

DXの事例を知ることが大切

DXを実現するためには、理解すべきポイントや課題、実施すべき施策があります。しかしこれらを学ぶだけでは「自社では実際にどんなDXができるのか」というイメージに欠けます。そこで重要になってくるのがこれまでの成功事例です。

他社の具体的な成功事例を知ることで、DXのイメージが湧きやすくなり、DXとは何かを理解しやすくなります。また具体例を語れることで、相手の興味をひく効果も期待できます。

DX推進事例11選

ここでは、参考にしやすい日本国内におけるDXの事例について紹介していきます。自社で真似できるものもあると思いますので、是非参考にしましょう。

【SREホールディングス】DXグランプリ獲得

SREホールディングスはその優れたDX推進活動から、2021年のDXグランプリに選出されました。

具体的な取り組みとしては、不動産事業のスマート化です。蓄積した過去の他利用の取引データをもとに、制度の高い不動産取引価格を自動で査定するツール。また売買契約書や重要事項説明書の作成を効率化するクラウドツールなどを開発し、積極的に試験導入しました。

明確なDXのビジョンや先進的な組織体制と相まって、こうした取り組みはこれまでの不動産にはなかった破壊的なビジネスモデルとして高く評価され、DXグランプリに選出されました。

【日本郵便】ドローンでの荷物輸送

物流業界大手の日本郵便では、人手不足や社員への負担増加が課題になっていました。とくに山間部といった地域における配達の負担は大きく、これを解決する手段が必要でした。そこで実験的に開始したのが、ドローンの活用です。同社は奥多摩の低地にある郵便局から山間部の個人宅への配達において、ドローンによる配達実験を実施しました。

検証の結果、これまでの配送では20分近くかかっていたところ、ドローンの活用により10分程度で配達が完了することを確認しました。同社は今後同様のドローン活用を実施し、人材不足の時代のなかで、業務効率化につなげていきたいとしています。

【NEC】待ち時間予測システムの提供

NECは、羽田空港国際線旅客ターミナルに保安検査場を分析・可視化する「待ち時間予測システム」を提供しました。監視カメラなどの映像から、混雑状況を検知する「群衆行動解析技術」や人の動きを捉える3Dステレオ視覚センサーを活用してます。

このシステムを導入したことで、旅客の利便性向上だけでなく、結果として2ヶ所ある検査場の利用率の平準化や、航空機運行の定時性向上にも繋がりました。将来的には、同システムにおける人工知能の予測精度を向上させ、数時間後の待ち時間といった情報提供を目指しています。

【メルカリ】個人間での売買システム

メルカリは個人間での売買システムを可能としたサービスです。個人で不要になったものを販売し、必要とする人が商品を購入する仕組みは、オンライン上にフリーマーケットを構築しました。また、2019年からはメルペイというスマホ決済サービスも開始させるなど、サービスの枠を拡大しています。

従来のネットオークションでは、PCから取引をすることが一般的でしたが、スマホで完結する売買システムが導入されたことで個人間の取引のハードルが低くなりました。また、インターネット上だけでの取引で完結する上に「場所にとらわれず利用できる」「支払いや発送、受け取り」など、利便性が高いことも普及した要因に挙げられます。

【ソフトバンク】コールセンターの業務効率化

ソフトバンクは、コールセンターの携帯を落としたときに届く「落とし物通知依頼書」の処理をDXすることで、業務効率化を実現しました。書類の大量読み取りや確認業務の簡易化、文字認識精度の高さなどが重宝され、今では転記業務に欠かせないシステムになりました。

以前は、1日200件ほど届く依頼書を10人体制で当日中に入力完了させることを目標にしていましたが、DX推進後は1人で作業を完結させることを実現し、人員削減にもなりました。

また、人が作業しなくなったことでミスの減少、身体的疲労や精神的疲労の軽減による他業務への注力など、導入した効果は様々な箇所で見られます。

【三井住友銀行】顧客の声を自動分析

三井住友銀行は、NECが提供したビッグデータ分析技術を活用して「お客様の声」を自動分析できるシステムを導入しました。また、グループ化された内容の集計や時系列変化の把握も可能になりました。

従来は、人が行っていた内容の要約や、見出し作成などの分類を自動で行うことが可能になったことで、顧客対応の迅速化やお客様の声の変化を反映した新サービスの創出など、様々な用途で成果が確認されています。

【JTB】外国人向けのアプリ開発

JTBは、ナビタイムジャパンと日本マイクロソフトとの協同制作で外国人向けアプリ「JAPAN Trip Navigator」を開発、2018年2月から提供を開始しました。

JAPAN Trip Navigatorは、100通り以上のモデルプランからスポット数、所要時間、観光スポットの効率的な巡り方といった情報を提供してくれるサービスです。

アプリから得られる外国旅行者の行動データや、好みを分析することで、インバウンド戦略に取り組む企業をサポートに注力できるようになりました。また、画像認識機能では、SNS上にアップロードされた画像の情報を取り込むことも可能になっており、ユーザーの旅行に欠かせないアプリとして重宝されています。

【ファミリーマート】無人決済システムの実用化

大手コンビニエンスストアとして知られるファミリーマートでは、店舗の運営コストやオペレーションの負荷、コロナ禍を背景にした非対面決済の推進が課題となっていました。

そこで取り組んだのが、無人決済システムの導入です。これは設置されたカメラなどの情報から、店舗利用者が手にとった商品をリアルタイムで認識するシステムです。決済エリアに立つと、ディスプレイに購入の内訳と金額が表示され、電子マネーなどでスムーズに決済できる仕組みになっています。

これにより、店舗運営の省人化とコスト削減、非対面決済を実現しました。また店舗利用者にとっても短時間で買い物を済ませられる利便性の向上を実現しました。

【RIZAP】データ分析による最短での上達

「結果にコミットする」で一躍有名になったRIZAPは、ゴルフのトレーニングにテクノロジーを導入した事業を展開しました。具体的には、ゴルフクラブに指して使う軽量の小型センサーで、顧客のスイングの加速度、角速度といったデータを収集しています。

顧客の目標に応じて、改善部分を可視化できるため、最善のレッスンプランを提供できるようになりました。また、スイングデータやスコアなど膨大な情報を、ビッグデータとして蓄積することで、顧客の最短最速での上達にコミットしています。

【鹿児島銀行】キャッシュレス決済の導入

キャッシュレス決済の普及を活用して地域振興を目指す鹿児島銀行は、完全キャッシュレス商業施設「よかど鹿児島」をオープンさせました。キャッシュレス決済が浸透していない地方都市に最新テクノロジーを駆使した商業施設が登場したことで注目を集めています。また、施設のオープンに合わせて独自のキャッシュレス決済アプリ「Payどん」も開発し、着実に地域商流のDXが進められています。

Payどんは、今までキャッシュレス決済を利用したことがない高齢者層の方が、キャッシュレスの利便性を実感するきっかけをつくりました。施設内での「Payどん」利用率は25%を占めており、他社の決済アプリと比べて、導入の敷居を低くできたのが普及の要因として考えられます。

【トライグループ】動画を活用した教育のDX

家庭教師や学習塾事業で知られるトライグループでは、地理的要因や経済的理由によって、子どもの可能性に差が生まれてしまうという社会的な課題の解決のため、業界初の映像学習サービス「Try IT」を誕生させました。

このサービスではインターネットを利用して、4,000本を超える映像授業を無料で提供し、インターネットさえあれば、いつでもどこでも無料で授業を受けられる世界を実現しました。

サービスリリース後、利用者数は100万人を突破し、その利用は家庭だけでなく、中学・高校の活用や、地方自治体と連携した学習支援など、広がりを見せています。

DXを成功させるポイントとは?

それでは、DXを成功させるポイントをご紹介します。そのポイントを踏まえたうえで、DXを成功させてください。

社内の意識改革

新型コロナウイルスの影響もあり、DXの必要性について理解している経営者も多いはずです。まず、DX推進を社内に浸透させるために必要なのは、トップの意思決定と現場の従業員に展開・指示を行う環境づくりです。

現場の状況を把握し、ビジョンを共有することが重要になるため、部門をまたいで組織・チームを編成することが大事になります。組織を一つにまとめたチームを作ることで、規模の大きいプロジェクトでも進捗がスムーズに進んでいきます。

DXは小さく始める

多くの場合、DXを始めようとして最初にぶつかる障害は「社員全体の理解不足」でしょう。新しいことを始めようとすると、「DXってなに?」「DX推進してどうなるの」という否定的な意見を受けます。

周囲の人と熱量に差があることは仕方のないことですが、自分がどれだけ熱量をもっていても、周囲の理解がなければ組織単位での推進は不可能です。

そのため、「なぜDXを推進するのか」「DXを推進するとどうなるのか」などの共通認識を作って、組織全体で一つの目標に向かうことが大切になります。

まずは自分に近い同僚などから小さくDXを進めていき、時間をかけて組織としてDXを進めていくといいでしょう。

円滑な情報共有

DXは組織が一体となって推進していく必要があります。そのためには「必要な情報をすぐに入手できる」ように、環境を整備しましょう。

具体的な整備方法としては、「情報共有ツール」の利用がおすすめです。ツールを使用することで、業務の効率化やコストの削減、知識やノウハウの共有などのメリットが得られるでしょう。

また、ITの知識がなくても、ツールを簡単に使いこなすことができれば、DXの推進に大きく近づきます。

まとめ

この記事では、DX推進の成功事例を紹介してきました。しかし、成功事例の裏側には数多くの失敗事例が潜んでいます。成功事例と同じ施策を自社に導入しても成功する保証はありません。今回紹介した事例を参考に、自社ではどのようなアプローチが可能なのかを検討することをおすすめします。

【DX推進 4ステップ課題&解決策】成功させるポイントを3つの障壁と3つの課題で徹底解説!

日本でDXが注目を集めてから数年が経ちますが、まだまだDXに取り組み始めたばかりの企業や、これから始めると言う企業も多いのではないでしょうか。

取り組み始めたは良いがいきなり壁にぶつかって悩まれている方、これから始めるにあたって、できるだけ失敗は避けたいと考えている方などいると思います。そうならないためにも、あらかじめ課題を把握することによって、DXをスムーズに進めることができるのではないでしょうか。

この記事では、DXの課題と、その課題に対する解決策についてご紹介していきます。

DXの推進とは?

DX推進とは、企業内でDXを推し進めることを指します。DXは、2004年にスウェーデンの大学教授エリック・ストルターマン氏が提唱した「進化し続けるデジタルテクノロジーが人々の生活に影響を与え、日々の生活をあらゆる面で豊かに変えていく」という概念です。

日本では、2018年に経済産業省が「DXを推進するためのガイドライン」を取りまとめたことで、さらに国内企業に広まっていきました。このガイドラインでは、DXの定義をより明確にし具体的に示しています。

DX推進は、特にビジネスにおいて重要視されています。業務の単なるデジタル化ではなく、最新のIT技術を活用することで、組織のあり方や枠組みを新しく作り直し変革していくという意味で使われています。

IT化との違い

IT化とDXはどちらも、デジタル化を導入して活用していくという意味で使用されますが、最終的な目的で大きな違いがあります。

IT化は業務の効率化や生産性の向上、コスト削減などを目的としてデジタル技術を導入することです。一方のDXは、手段としてデジタル技術を使用します。将来的にはビジネスモデルや組織、新しい事業へと広い範囲での変革を促し、新たな企業の確立を目指していくという取り組みです。

DX実現の障壁とは?

日本の企業にとって、どういったことがDX実現の障壁となっているのでしょうか。業種を問わず、次のような問題がDXの実現を阻害する原因となっています。

システムのブラックボックス化

日本では、これまで企業間の競争のなかでデジタル技術の導入が進んできた背景があります。企業は導入したシステムを、それぞれ独自にカスタマイズして使い続けてきましが、多くの企業では終身雇用制が採用されており、技術者が企業間を移動することが少ないことも、独自仕様が進む要因になったと考えられます。

過剰にカスタマイズした独自のシステムを使い続けたことが、新しいシステムへの切り替えを困難にしているため、古いシステムから脱却できない企業が多いのが現状です。

カスタマイズを進めた結果、システムが複雑化したことによって管理できる担当者が限られるようになってしまい、担当者が変わると、システムの奥深い部分は解析不可能な状態となり、ブラックボックス化してしまっています。

また、システムの管理を委託先任せにしている企業も少なくありません。そういった場合、自社内ではシステム内部を理解できる人材がいなくなるため、ブラックボックス化を加速させてしまいます。 管理の属人化とシステムのブラックボックス化により、新しいシステムへの移行が困難になっているのです。部署ごとに別のシステムを導入しているケースも多く、分断されたシステムが定着しているため全体的な新システムの導入が難しいケースも多くなっています。

DXへの理解不足

そもそもDXがどういったものかを、経営陣が理解していない、またはDXの定義を間違って認識している企業も少なくなくありません。DX推進の重要性を認識していないため、DXの実現に向け着手しておらず、先の話と考えている企業も存在します。

また、一部の業務をデジタル化しただけで満足してしまう企業も見られます。

人材不足

情報処理推進機構が実施した「デジタル時代のスキル変革等に関する調査」によると、DXに取り組んでいる企業のうち、 DXの成果状況について「成果なし」と回答している企業に対し、IT人材資源はと聞いたアンケート結果は、「大幅に不足している」が52.9%、「やや不足している」は41.9%でした。「成果あり」と回答した企業でも、それぞれ34.8%、59.5%と高い数値です。

この結果から、多くの企業がDXにおける人材不足を実感していることがわかります。DXへの取り組みを意識していても推進できないのはこれが理由です。

DX推進にあたっての課題

ここからは、DXを進めるにあたり、多くの企業が直面しやすい課題や日本企業にありがちな課題を具体的に紹介していきます。

ITシステムの老朽化

前述したように、日本の企業で使用されている基幹システムは、何十年も前にオーダーメイドで開発されたものが多く、拡張性や保守性が損なわれている、時代遅れなシステムとなっている場合があります。

「システムの老朽化」「技術者の退職によるブラックボックス化」「度重なるアップデートによる複雑化」などになります。

度重なるアップデートにより、システムが複雑化・老朽化することにより、求められる情報処理能力や量に対応できず、さらなる遅延が発生しています。また、システム開発者やアップデートを行なった技術者が高齢化により退職し、システムがブラックボックス化しています。これらが重なり、レガシーシステムはシステム障害が発生しやすくなっています。

これらは経済産業省の報告書「DXレポート」の中で「2025年の崖」として提唱されています。2025年までにIT人材の引退やサポートの終了が起こり、企業の競争力が低下したり経済が停滞し、膨大な損失を生むリスクがあると言われています。

戦略的な投資の欠如

DX推進にはコストがかかります。長期的に見れば投資となるが、大きな金額が必要になることは確かで、思い切った決断が必要な場面もありますが、もちろん簡単なことではありません。

ICT調査会社のガートナーでは、「業務の効率化を図る守りのIT」「新たな価値を生み出す攻めのIT」の、DX戦略を2つに分けて考えることを提唱しています。

業務の効率化だけでDXを終わらせていては、競争力のある企業となるのは難しいです。IT技術を使って新しいビジネスモデルや顧客価値を創造する攻めのITができるように対策を行う必要があります。それぞれの段階にあった戦略的な投資が必要になり、長期的なDX戦略を立てて進めていくのがいいでしょう。

変化している顧客ニーズの把握

日常生活にITが浸透し、顧客のニーズは変化しています。インターネットの普及により、多くの人がスマートフォンなどを保有し、動画視聴や買い物も手軽にネットで行えるようになりました。顧客は欲しいと思った時に欲しいモノが手に入ることを望む傾向が強くなり、SNSの流行により、トレンドの移り変わりのスピードも劇的に早くなっています。

さらにライフスタイルやニーズも多様化し、自分にぴったりなものに対するこだわりも強くなっていると言えます。つまり、昔のような大衆文化をキャッチしていればいいのではなく、細分化されたニーズを拾わなくてはいけません。

DXを実現するために必要な4つのステップ

それではDXを実現するために必要な以下4つのステップについて解説します。

業務のデジタル化

DXを実現するための最初のステップが業務のデジタル化です。つまり、人手で行っている業務をITツールなどの活用によって効率化・自動化し、業務効率化につなげるステップといえます。さらに、このステップは「アナログ作業のデジタル化」と「業務フローのデジタル化」の2つに分けられます。

アナログ作業のデジタル化とは、ITツールの活用によって、人が行っている作業を効率化・自動化することを意味します。例えば「Excelへのデータ入力や集計作業をRPAで自動化」や自社サーバーをクラウドストレージなどに変更」「電子承認システム導入による業務フローのペーパーレス化」など、アナログな作業を効率化・自動化して業務効率化を実施することで、スタッフの負荷や工数の削減を実現でき、生産性の向上につながります。

現場スタッフが実施していた作業の効率化や自動化が実現できたら、次は一連の業務プロセスのデジタル化を行いましょう。業務プロセスのデジタル化とは、複数担当者や部署をまたいだ連携が必要な業務の効率化・自動化を意味します。

業務フローをデジタル化する際には、セキュリティを担保しながらできる限り人が関わるプロセスを減らすことが重要です。また、オフィスに出向くことなくWEB上で作業を完結できるようにすることで、テレワークや出張中のスタッフが対応できるようにすることも、今の時代には必要不可欠でしょう。

デジタル化の効果を活かした効率化

業務のデジタル化が実現できたら、業務効率化などに成功した事例のデータを他の業務へ活用し、さらなる効率化につなげるステップへと移行します。業務のデジタル化を実施する際に行う業務フローの棚卸しの中で、無駄や非効率な作業、慣例化した業務、最悪の場合には重複作業などが発見されることがあるでしょう。

ひとつの部門でこうした事例がみつかった場合には、他の部門でもみつかる可能性が高いため、業務効率化を行うことで、さらなる工数や負担削減につなげる必要があります。

全社的なデータ活用

次に、業務のデジタル化で得られたデータを活用してPDCAサイクルを回せる基盤を作ることで、全社的な業務効率化へつなげる仕組みを構築します。

そのためには、データサイエンティストなどのメンバーを揃えた、独立した組織を立ち上げることが望ましいでしょう。特定の部署の場合、どうしても自部門の業務に特化してしまう傾向があることや、他部門業務の詳細がわからずフラットな視点で業務効率化が実施できなくなる可能性があるためです。

ちなみに、Uberは車のシェアリングエコノミーで得たデータを活用して、UberEatsを立ち上げました。業務のデジタル化で得られたデータを全社的に活用した好例といえるでしょう。

新たな価値の創出

業務のデジタル化によって蓄積されたデータを十分に活用できる段階までくれば、いよいよ新たな価値を創出する最終ステップに突入します。

これまでのサービス内容やビジネスモデル、対象市場、顧客などを大きく転換し、まったく新しいビジネスやサービスを生み出すイノベーションを起こすことが目的です。また、業務フローはもちろん、会社の組織や評価制度なども、従来の形にとらわれない形で最適化することが求められます。

イノベーションを実現できれば、企業の競争力を上げ収益拡大につながるだけでなく、人々の生活をより豊かなものへと変えていけることでしょう。ただし、イノベーションを実現するためには、DX推進によって得られたデータや知見から、未来の予測を行い、綿密な事業計画を策定することが必要不可欠です。

まとめ

この記事では、DX推進にあたっての課題について解説してきました。DX推進に課題を感じる企業も非常に多いのが現状です。しかし、課題は社内にあることが多く、解決策を知れば対処可能になります。

DXは仕事の効率が上がるだけでなく、社内の環境や関係の改善にもつながり、新しいビジネスモデルや顧客体験価値の創出に発展していきます。

まずは社内でシステムを整え、情報収集と他者と情報を共有することから取り組み、抱える課題を一つずつ解決していくようにしましょう。

【DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される理由】DX推進が注目される背景とは?DXのメリットや成功させるポイントも徹底解説!

IT技術の進化にともない、最近ではさまざまな場所でDX推進という言葉を耳にする機会が増えてきました。DX推進はビジネスシーンにおいて、特にその重要性が注目されています。

この記事では、DXが注目されている理由やメリットをご紹介します。また、DXのメリットや成功させるポイントなども詳しく解説していきます。

DX推進が注目される背景

スマートフォンの普及による消費者行動の変化や、コロナ禍の影響によるリモートワークの増加などが関係し、デジタル化が社会を大きく変化させてきました。それにより、新しいビジネスモデルや製品・サービスなどを展開する企業が次々に登場しています。

このような競争社会のなかで企業が生き残っていくためには、DX推進による変革が必要です。

2025年の崖

DX推進において無視できないキーワードに「2025年の崖」があります。「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が発表したDXレポートで使用している言葉です。このレポートでは、2025年を境目に多くの問題が企業の前に立ちはだかるだろうと予想しています。

時代の流れを見るとDXの重要性は明らかですが、実際にDX推進に取り組んでいるのは一部の大企業のみであるというのが現状です。

こうした現状に危機感を抱いた経済産業省は、2025年までに日本企業がデジタル化に取り組まなければ、2025年から2030年にかけて年間最大12兆円の経済的損失が生じる危険性があると訴えています。

DX推進ガイドライン

2025年問題を受けて、経済産業省が同年に「DX推進ガイドライン」を公表しました。

DX推進ガイドラインは、DX推進において経営者が押さえるべき事項や取り組みの明確化を目的とし、「DX実現のための基礎になるITシステムの構築」「DX推進のための経営のあり方や仕組み」の2つで構成されています。

このガイドラインが企業のDX推進の助けとなることが期待されています。

DX推進によるメリット

現在、国をあげてDX推進へのさまざまな対策が行なわれていますが、企業はDX推進によってどのようなメリットが得られるのでしょうか。以下に具体的に解説していきます。

生産性の向上

DX推進による最大のメリットは、デジタル化によって業務の生産性や正確性を向上できることです。デジタル化を行なって業務を最適化できれば、作業時間の短縮や人件費削減、さらにはヒューマンエラーをなくすことで正確性の向上が期待できます。

これらの効果が得られれば、従業員はより重要度の高い業務に集中して取り組むことができるようになります。

BCPの充実

BCPとは、災害やシステム障害といった危機的状況に陥った際にも、被害を最小限に抑え、スムーズに業務を継続するための対策などを決めておく計画のことです。

DXを推進して業務の効率化ができていれば、そのような不測の事態にも柔軟に対応することができます。早期に回復して通常業務を再開できるようにするためにも、BCPは非常に重要であると考えられています。

レガシーシステムのリスク回避

「2025年の崖」の最大の原因は、日本企業が抱える社内システムのブラックボックス化です。

社内のシステムは改善を繰り返して複雑になり、使いづらくなってしまったまま放置されていることが多いと言われています。古いシステムを放置したままでは生産性の向上も難しく、維持費もかかってしまいます。また、引き継ぎもないままこれらを扱える人材が少なくなることで、システムのブラックボックス化を引き起こします。

DX推進によって、古いシステムを見直して最適化すれば、使い続けるリスクを回避させることが可能です。

DX戦略を立てる5つのステップ

DX戦略を立てるときの具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。

ステップ1 DX戦略の方向性を明確にする

DXは、アナログをデジタル化するだけではなく、クラウドサービスなどを活用し、一歩先を進んだビジネスモデルやサービスを確立する手段となります。DXによってどのようなビジネスモデルやサービスを創出するかは、企業のニーズや目的によって異なるので、まずはDX戦略によってどんな企業を目指すのか、その方針を明確にする必要があります。

明確な定義やビジョンがないままDX戦略を立てようとすると、その意義や必要性を理解できない役員や従業員から反発を受け、DX戦略の妨げになるおそれがあるので要注意です。

ステップ2 フレームワークを活用して自社の現状を把握する

DX戦略の実現にはそれなりの時間と費用がかかります。データやデジタル技術の活用によって、どの事業分野で、どんな価値を生み出すことを目指すのか、絞り込んでおくことがとても大切です。

そのためには、PEST分析や3C分析といった各種フレームワークを活用し、自社の現状や市場の状況などを正確に把握する必要があります。また、競合他社の強みなども合わせて確認すれば、他社と差別化を図る方法やアイデアを出すのに役立ちます。

ステップ3 アナログのデジタル化を進める

DX戦略はデータやデジタル技術を駆使して進めるもので、既存のアナログデータやシステムのデジタル化を行う必要があります。紙媒体の書類は電子データ化した上で保存や管理する、クラウドサービスを使ってチーム間の情報共有をスムーズにするなどして、アナログからデジタルへの移行を計画的に進めていきましょう。

すでにデジタル化が完了している企業でも、どこかでブラックボックス化されていないか、透明性のあるシステムになっているかを今一度チェックし、必要に応じてシステムやツールの見直しを行います。

ステップ4 業務の効率化と最適化を図る

ステップ3で行ったデジタル化をもとに、業務の効率化と最適化を図ります。たとえば、勤怠管理システムと給与計算システムを連携させ、給与計算を自動化すしたり、クラウドサービスを活用して承認プロセスをオンライン化し、脱ハンコを実現するなどになります。

ツールやシステムの活用方法は部門や部署ごとに異なりますが、カスタマイズのしすぎで業務プロセスが複雑化したり、ブラックボックス化したりすることがないよう注意が必要です。

ステップ5 データやデジタル技術の活用による新たな価値の創出

データやデジタル技術の活用によって業務の効率化や最適化を実現したら、一歩先に進んで、新しい価値の創出に取り組みましょう。

これまで培ってきた経験や実績、ノウハウなどに情報やデータを組み合わせて、より高度で新しいビジネスモデルを生み出すことがDX戦略の最終的な目的となります。もちろん最初から新しい価値を生み出すのは難しいので、試行錯誤を繰り返し、既存のビジネスを着実に改良や品質向上していきましょう。

DX戦略を成功させる2つのポイント

それでは、DX戦略を成功に導くために押さえておきたいポイントを2つご紹介します。

スモールスタートで成功体験を積み重ねる

DX戦略は企業に新しい価値をもたらす手段となりますが、大きな変革は現場に混乱を招く原因ともなります。いきなりすべての業務でDXを実現すると、トラブルが頻発して業務に支障が出てしまうかもしれません。

まずは一部の部署やプロジェクトチームでDXを運用し、どのような効果が現れどんな課題が生じるか、冷静に分析や評価することが大切です。試行錯誤を繰り返し、徐々に成功体験を積み重ねていけば、全社的なDXの実現も円滑に進みやすくなるでしょう。

専門的な人材の確保と育成を進める

既存のシステムから、新しいシステムへの移行を円滑に進めるためには、専門的な知識と経験を持った人材が必要不可欠です。前述した通り、DXの導入当初は混乱やトラブルも起こりやすいため、DX戦略を立案するにあたっては、必要に応じてサポートを行える人材の確保や育成にも注力しましょう。

DX推進に向けての課題

ここでは、DX推進の実現に向けて、多くの企業が抱えている課題をご紹介します。

明確な目標や経営戦略の提示

DX推進の必要性は理解していても、具体的に何をすればよいか模索している企業が多いのではないでしょうか。明確な目標や経営戦略のないままDXを実現しようとしても、簡単な業務のデジタル化で終わってしまい、本来のDXの目的とはほど遠いものになります。

DX推進を成功させるには、漠然としたイメージではなく、最初に自社の経営戦略を具体的に固めることが重要です。

一貫性のあるシステム構築

社内にレガシーシステムがあることは、DX推進が遅れている原因の一つとなっています。複雑化した原因としては、短期的視点でのシステム開発を繰り返し、データが肥大化し、さらに技術的な老朽化などの影響で、データ活用が難しくなったことでしょう。そのため、システムがブラックボックス化し、技術的負債が蓄積されたというわけです。

DX推進の際には老朽システムを一掃し、新しく一貫性のあるシステム構築ができるようにすることが大切です。

IT人材の確保と育成

日本では、DXを推進できるIT人材が現場で足りていないため、多くの企業が外部のIT企業に依存しています。そのため、新しいサービスを始めようとしても、システム開発を他社に依存している状態ではすぐに反映することができません。サービス運用をどこよりも早く開始するためにも、IT人材の確保と育成は企業にとって大きな課題といえます。

今後、IT人材の獲得競争がますます激化していくなかで、企業が勝ち抜くためには自社で優秀な人材を確保し、育てていくことが大切です。

DXが進んでいる日本企業の特徴

ここでは、DXが進んでいる日本企業の事例を3つ取り上げてその特徴を紹介します。

危機感が共有されている

金融企業では、デジタル化の進展で自社のビジネス領域がなくなるのでは、という危機感を抱き、社長自らが中国の同業の事例に刺激を受け変革の必要性を確信し、競合他社が扱っていない領域を見出し、業務革新を進めています。

競合となりうる他社の存在やビジネス環境の変化などに対して、「なぜ変革しなければならないか」、「変革しなければ何が起こるか」など具体的な危機感が組織全体で共有されていることがDXには必要です。

経営トップが全責任を持って行う

製造業を営む企業では、社内の異なる部署のメンバーを集めたチームを立ち上げ、ビジネス課題とアイデアを持ち寄り、自社の将来のためにデジタルを活用して何をすべきかを徹底的に議論を行い、このチームが核となり具体的なDX施策プロジェクトを進めています。

プロジェクトや人事評価の仕方を見直すなど、経営者自らがリーダーシップを発揮して実践することが必要です。

投資の意思決定と予算配分がなされている

サービス業界の企業では、社長と事業責任者とIT担当者が月に1回集まり、その場で投資の意思決定を行う場をつくっています。DXプロジェクトを迅速にスタートするために、計画書や企画書を作成し、ただハンコを押すだけでなく、その場で結論を出すことをシステム化しているのです。

変革に挑戦し失敗からスピーディーに学ぶことを推奨するためのKPIに基づいて、投資や予算配分が実施される必要があります。DX推進のためには、その場その場の決定ではなく継続的な意思決定が大切です。

まとめ

この記事では、DX推進が注目される理由やメリットなどを解説してきました。

時代のデジタル化の波を受けて、社会は大きく変わりつつあります。ビジネス業界においてもDX推進が特に重要視され、多くの企業が変革を求められています。2025年を節目に、直面する問題に立ち向かって乗り越えていくためにも、DX推進をはじめとして、これからさまざまな課題に取り組んでいかなければなりません。

自社の目標を明確にし、将来を見据えて企業改革へと踏み出していきましょう。

【プロジェクト 役割分担表とは?】作成するメリットや上手に作成するコツなども徹底解説!

システム開発などのプロジェクトが始まった際、依頼を受けた企業はまずプロジェクトチームを立ち上げることになります。プロジェクト成功のためには、それぞれの役割を分担し分かりやすく明確にしなければいけません。そこで作成されるのが役割分担表です。しかし各メンバーの中には、役割分担表の重要性を分かっていなかったり、そもそも役割分担表自体、あまり分かっていない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、プロジェクトを達成するために必ず必要になる役割分担表について詳しく解説していきながら、役割分担表を上手に作成するためのポイントなどもご紹介していきます。

役割分担表とは?

まず役割分担表について解説していきます。役割分担表は、その名の通り誰にどのポジションの役割を与えるかというものになります。そのプロジェクトの責任者から各部署のリーダーなど指令系統なども明確にし、スムーズな作業を行うために作成されます。

役割分担の内容

それではプロジェクトチームの役割にはどのようなものがあるのか見てみましょう。

プロジェクトオーナー

まずはプロジェクトオーナーです。プロジェクトオーナーはそのプロジェクトの最高責任者になります。明確なビジョンを持ち、プロジェクト遂行に向けて先頭に立つ存在なため、企業の社長や執行役員などになるケースが多いです。また依頼者との定期的な報告会などを実施することも必要になります。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトをスムーズに進めていくための責任者で、受注側と依頼側の両方に置かれ協力してプロジェクトを遂行していきます。主にお金やチームメンバーの配置、スケジュール調整やリスク管理などが仕事になります。

プロジェクトマネージャーの役割は非常に大きく、統率力や交渉力、コミュニケーション力を持つ人間が行ったほうがいいでしょう。例えばこちらの意見をいえず、依頼者の要望ばかり飲んでしまうと、スケジュールにも無理が出てスタッフも不満が募ってしまいます。全体を見る目と細かい部分も見逃さない注意力を持った人材を配置しましょう。プロジェクトの成功は、プロジェクトマネージャーの能力によって決まるともいっても過言ではありません。

プロジェクトマネジメントオフィス

複数の企業が関連する大きなプロジェクトの場合は、プロジェクトマネジメントオフィスの設置も必要になります。主な役割としては、プロジェクトマネージャーの補佐的なものになります。

複数の企業が連携すると、それぞれの場所からさまざまな情報が入ってきますので、その収集や整理、コミュニケーションの取り方や資料の統一といったチーム内のルール設定などを行うのが仕事になります。もし企業内に適切な人材がいない場合は、コンサルティング会社にお願いする場合もあります。

プロジェクトリーダー

プロジェクトリーダーは簡単にいえば現場の責任者になります。プログラムや設計の進捗状況を管理するのが仕事になります。納期やスタッフのモチベーションなどの管理を行う必要もあり、プロジェクトマネージャーからの指示通り進めていく一方で、もっと効率的な方法はないかを考えることも必要になります。

サブリーダー

サブリーダーは、プロジェクトリーダーを補佐する役割になります。小中規模のプロジェクトであれば一人で十分ですが、大規模なプロジェクトの場合は複数名配置されることもあります。

システムエンジニア

システムエンジニアは、システム設計・開発などを行う人材になります。依頼者からのヒアリングにより基本設計書を作るなど、技術力とコミュニケーション能力も必要になるでしょう。

プログラマー

プログラマーは、システムエンジニアが作成した基本設計書などをもとに、実際にプログラミングを行っていく技術者です。開発するシステムによりプログラミング言語が変わってくるので、そのスキルを持った人材が選ばれます。

営業

受注者と依頼者の間に入りやり取りを行います。依頼者の要望をプロジェクトチームに伝達したり、契約に関する業務を行います。

役割分担が必要な理由

プロジェクトが立ち上がると作成される役割分担表ですが、その意図とはどのようなものがあるのでしょうか。役割分担表が必要な理由について解説します。

まず役割分担表が担う大きな役割の一つが、プロジェクトに関わるスタッフの認識の統一になります。どのようなものを開発するのか、いつまでに開発するのかなど、チーム内で共有し完成に向けて意思疎通を図る意味があります。それぞれの役割を明確にし、命令系統をはっきりさせることでプロジェクトが計画通りに進み、課題が出た時でもスムーズに解決することができます。

役割分担表を作成するメリット

それでは、役割分担表を作成することで得られるメリットをご紹介していきましょう。

業務の抜け漏れが防げる

これから行う開発に対し、その場その場で役割を与えると、業務を見落としてしまったり対応ミスを犯してしまう可能性があります。それを起こさないために、まずはプロジェクトに必要な業務を洗い出すことが重要になります。その業務に対し人材を当てはめていき、責任者を決めることで業務の抜けもなく、スムーズに業務を行えます。

また役割分担表は、他のメンバーも共有することができるので、万が一業務の漏れがあっても二重にチェックすることができるので、業務の抜け防止につながります。

業務完了までのプロセスが明確になる

役割分担表は、目標達成に向けた計画を明確にすることができます。これはプロジェクトに参加するメンバーに、行うべきことを見える化することで、行うべき業務をはっきりさせることができます。

またプロジェクトの進み具合も見えるため、完了タスクなどが出てくることによりメンバーのモチベーションにもつながります。すべての業務が見える化することは、業務効率化はもちろん生産性の向上も実現してくれます。

サポート体制の強化

役割分担表は、それぞれのメンバーの業務の進捗状況が分かります。そのため、業務に遅れが生じているタスクがあれば、手の空いたメンバーはサポートすることができます。協力体制ができることはチームワークにもつながり、生産性の向上にもつながります。

業務に対して責任感を持てる

それぞれの業務がはっきりするということは、割り当てられた自分のポジションに責任を持つことになります。その場で振り分けられるような業務の場合は、業務をこなすことに重点を置きがちになってしまいますが、役割分担表で自分のポジションを見える化することで、責任感と緊張感をもって業務に取り組むことができ、いい仕事ができるようになるでしょう。

役割分担表作成の失敗例

役割分担表には大きなメリットも多いですが、作成方法を間違えるとチームに戸惑いを生じさせてしまい、作業が滞ったり納期に間に合わなくなってしまうケースもあります。ここからは、役割分担表で行ってはいけない作成方法をご紹介します。

複数の指示命令系統がある

指示命令系統が複数あることにより、お互いの命令事項が異なることがあります。そうなると現場は混乱し、余計な時間やコストが生じてしまいます。またチームメンバーもどこに報告したらよいのか混乱してしまうため、絶対に行ってはいけません。

役割や責任がはっきりしない

前述の通り、役割分担にはプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといった名称をつけて作成していきますが、例えば「支援チーム」や「業務チーム」、「プロジェクト管理」など、何を行えばいいのかわからない曖昧な表記をしている役割分担表を見ることがあります。このような表記は、その担当になった人材にも迷いが生じるだけで、プロジェクト全体に良い影響を及ぼしません。

役割分担表の作成手順

それでは実際に役割分担表の作成手順を解説していきます。もし役割分担表を作成することになった場合は、これから説明する記事を参考に取り組んでみてください。

業務の全体像の洗い出し

まず役割分担表を作成する際に行うことが、行うすべての業務を明確にすることです。プロジェクト全体で行う作業を把握することで、大体の想像図が出来上がりますので、まずは業務の洗い出しを行いましょう。

作業のリストアップ

それが終わったらその業務の中での作業を細分化していきます。細かく作業を分担することで、行う作業が明確となりマネジメントしやすくなり進捗状況が分かりやすくなります。

作業完了日の記入

作業の細分化が終わったら、その作業をいつまでに終わらせるかという完了日を設定しましょう。小規模のプロジェクトの場合は細かく記す必要はないかもしれませんが、中大規模のプロジェクトの場合は、数か月単位の作業になることが多いため、細かく設定するのがいいでしょう。

その際は、遅延する可能性や追加の業務が発生することを想定し、完了設定や人員の配置は余裕をもって設定するといいでしょう。

雑務の洗い出し

役割分担表を作成する際に忘れてしまいがちなのが、雑務といわれる電話担当や清掃担当です。簡単な作業のように見えますが、このような雑務が増えると、通常の業務に支障をきたしてしまう可能性があります。そのため誰がこの役割を果たすのかという部分も明確にする必要があるでしょう。

担当者の決定

業務内容が明確になり、作業の完了日の設定も終わったらいよいよ人材の振り分けです。どの人材がどのポジションに適しているかをしっかり判断し振り分けていきます。チームメンバーにヒアリングを行うことで得意不得意が見えてくるので、それをもって判断してもいいでしょう。適材適所に人材を配置することができれば、プロジェクトの進行もスムーズに行われ、業務の最適化や生産性の向上も見込めるでしょう。

役割分担表作成のポイント

それでは最後に、役割分担表を作成するときのポイントをご紹介していきます。役割分担表は作成した本人が分かっていても、プロジェクトメンバーが一目見て分かるようなものでなければいけません。自己満足で作成するのではなく、分かりやすい役割分担表を作成するようにしましょう。

指示命令系統を1本化する

役割分担表を作成するときに気を付けなければいけないのが、指示命令系統を複数設置せず1本化することです。指令系統が複数あると、最終決定を下す決定者が一人でないため、方針が定まらなかったり、プロジェクトの進行に障害が出たりしてしまいます。責任の所在を一つにまとめるためにも、プロジェクトオーナーやプロジェクトマネージャーといった司令塔は一つにするようにしましょう。

また指令系統を表す線を複数書いたり、重ねるのは控えましょう。書いてる本人は分かっていても、見る者にとっては混乱を招くものになってしまいます。そのため、分かりやすくシンプルに描くのが大事です。

役割を明確にする

二つ目が役割を明確にして作成することです。役割分担表の目的は、プロジェクトに関わるメンバーの役割を明確にすることです。そのため、曖昧に作成すると現場は混乱してしまいます。もしプロジェクトの規模が大きく、チームメンバーが多くなり同じ役職の役割分担表になる場合は、役割についての補足を付け加えるといいでしょう。もし複数のプロジェクトチームを発足する場合は、一つの役割分担表にせず分けて作成すると見やすく分かりやすいでしょう。

まとめ

この記事では、役割分担表について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。プロジェクトを遂行するために、役割をしっかり決めて作業を進めていくことは、責任感と緊張感を持って取り組むことができ、チームワークも生まれることからとても大事です。それをチーム全員に見える化する役割分担表は、プロジェクトを開始する前の一番初めの大きな仕事といっていいでしょう。

これが上手く作成できないと、現場に混乱が生まれ思うような成果が生まれないといっても過言ではありません。皆さんもこの記事を参考に、プロジェクトを成功させるための役割分担表を作成してみてください。

【在庫管理システムとは?】導入メリットや最新のおすすめ在庫管理システム12選もご紹介!

多くの商品を扱う事業者にとって在庫管理は非常に大事なものです。小売業や製造業などでは、不動在庫や余剰在庫といった、在庫管理の課題を解決するために導入が進んでいるのが在庫管理システムです。しかし在庫管理が難しいと感じながらも「在庫管理についてよく分からない」「在庫管理システムの違いが分からない」という方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、在庫管理システムについて分かりやすく解説していきながら、おすすめの在庫管理システムについてもご紹介していきたいと思います。

在庫管理システムとは?

在庫管理システムとは、現在ある商品の在庫数を把握することで在庫管理のミスを減少させ、足りない商品の入荷や出荷時の数量なども管理することができる、業務の効率化や企業の売上向上などに役立つシステムです。

導入する目的

在庫管理システムの導入目的は、取り扱っている商品の在庫が、あといくつ残っていてそれがどこに保管されているかを知ることです。これを把握するだけで、在庫管理に関する問題を80%程度解決できるといわれています。在庫管理は、モノを売ったり作ったりする業界ではビジネスの基本で、これができていないことにより「過剰在庫」や「棚卸差異」といった問題が起きてしまいます。

簡単な在庫管理であれば、在庫管理システムを導入せずともエクセルなどで管理することは可能です。しかしそれには限度があります。例えば管理する商品の数が多い、従業員数が二桁以上、複数の倉庫や事業所がある、DX化を目指しているといった企業にはエクセルなどだけでの在庫管理は厳しいでしょう。「在庫の一元管理」や「発受注の自動化」「精度の高い仕入れと棚卸」など、より分かりやすくスムーズな在庫管理を行いたいと思っている企業は在庫管理システムを導入するといいでしょう。それにより盤石な在庫管理が行えるようになります。

在庫管理システムの機能

在庫管理システムに搭載されている機能については、そのサービスによって異なりますが、基本的な機能としては以下のものがあげられます。

・在庫管理機能:在庫数とデータの数が一致するかの確認

・仕入管理機能:在庫の入荷と出荷数の管理

・販売管理機能:見積や請求、売上などの管理

・顧客管理:顧客の購入履歴などの管理

・マスタ管理:生産計画や業務効率化などの策定に利用

在庫管理機能や仕入管理機能は在庫管理の基本となる機能になります。これらの管理はこれまで人の手によって行われていましたが、在庫管理システムを導入することで業務の効率化を図ることができ、人為的ミスも起こりにくくなります。

また拡張性の高い在庫管理システムもあるため、さまざまなシステムを連携させることで、より自社のニーズに合ったシステムへと変化させることもできるでしょう。

在庫管理システムの種類

在庫管理システムには大きく分けて3つのタイプがありますので、それぞれの特鋼を解説していきます。

クラウド型

クラウド型は、インターネット環境があればどこでも利用できるのが特徴で、複数の拠点がある場合でも利用できるメリットがあります。ただセキュリティ面では若干心もとない部分もあるのでしっかり行う必要があるでしょう。

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社にサーバーを置き設定や運用をずべて自社で行うタイプになります。情報の漏洩というリスクを防ぐことができますが、コストが非常に高くつき、専門的な知識があるスタッフを必要とします。

パッケージとフルスクラッチ

パッケージというのは、システムの中にすでに機能が備わっているものをいいます。ダウンロードをすればすぐに利用できコストも安く済みますが、自社に必要な機能が搭載されていなかったり、逆に必要のない機能が備わっている場合もあるので、余計なコストがかかってしまう場合もあり使い勝手の悪さもあるかもしれません。

一方フルスクラッチは、一からすべてのシステムを開発・構築していくことをいいます。自社に必要な機能だけを搭載できますが、その分のコストがかかったり、システムがバージョンアップする際には、新しいシステムを導入する必要があったりと、コストは高くつきます。

在庫管理システムを導入するメリット

それでは在庫管理システムを導入することで得られるメリットについて解説していきます。これまで企業が抱えていた課題が、解消されるかもしれません。

余剰在庫の削減

まずあげられるのが余剰在庫の削減です。しっかり在庫数の管理を行うことができれば、余剰在庫を無くすことができます。これにより在庫数を必要最低限に抑えることができ、余計なコストをかけずに済みます。また倉庫内のスペースを効率よく利用することができるでしょう。

コストの削減

在庫管理は、棚卸や入出庫などに割かれる人員や時間が非常に大きいのが特徴です。そのため、時間内に終わらなければ残業になったり、さらに人員を増加しなければいけない事態に陥ることがあります。そうすることで余計なコストがかかるため、企業にとっては経営の圧迫にもつながってきます。

しかし在庫管理システムを導入することで、それらのすべてが管理を行ってくれるため、必要な時に必要な人員だけを配置すればいいので、コスト削減にも役立ちます。

顧客満足度の上昇

例えばこの商品を購入したいと思っても、店頭にも倉庫にもその商品の在庫がなかったり、商品の取り寄せに時間がかかるといったことがあれば、違う競合店に顧客が流れてしまったりクレームなどにもつながりかねません。

もし顧客が購入したいという商品が、すぐに手元に届けば顧客は満足してくれます。それにより、顧客維持だけでなく新規顧客の獲得につながってきます。

商品の品質の安定

商品は時間がたてばたつほど劣化していくものです。食品であれば消費・賞味期限などになりますが、その他の商品でも太陽の光や湿気などでも商品は傷みますし、埃などにより商品が汚れてしまったりもします。

しかししっかりとした在庫管理が行われていれば、ちょうどいいサイクルで商品を出荷することができ、長い期間商品が倉庫にしまわれておくこともないので、商品が劣化するというリスクが小さくなります。そのため高品質の商品をお客様の手元に届けることができるようになります。

手間と時間の削減

前述の通り、しっかりとした在庫管理が行われていれば、余剰在庫がなくなるため倉庫の整理にかける時間を削減することができます。また余剰在庫があることにより、倉庫スペースに余裕がなくなるため、棚卸の作業にも時間を要するため、管理するためのコストもかさんでしまいます。

在庫管理システムを導入することにより、それらの課題が克服されれば、倉庫整理の時間を削減することができ、その分の時間を別の作業に費やせるため、生産性の向上にもつながります。

正確な情報管理

在庫管理システムは、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの端末で操作することができるため、入ったばかりのスタッフや、OA機器の操作を苦手としている高齢者の方でも、簡単に操作することができるでしょう。そのため、入力ミスもなく正しい情報を入力することができるため、常に正しい情報を管理することができます。

在庫管理システムを導入するデメリット

多くのメリットがある反面、もちろんデメリットもあります。いくつか紹介していきましょう。

システムになれるまで時間がかかる

在庫管理システムは、操作も簡単とはいえ使いこなすためには時間を必要とします。また従業員の中には、昔ながらの作業を選びがちになり、新しい管理方法を受け入れられない従業員もいるでしょう。そのため、在庫管理システムを導入した時のメリットをしっかり理解してもらい、周知させていくことが大事になってきます。

また従業員のための問い合わせ窓口の設置も必要になるでしょう。在庫管理システムのような大きなシステムを導入する際は、運用に関する質問が多く出るため、それらを集約し解決することが必要になります。

トラブルが起きた時業務がストップする

もしシステムがストップしてしまうようなトラブルが起きてしまうと、すべての作業がストップしてしまうという問題が起きてしまいます。これまでは手作業で行っていたものを、機械に頼るわけなので、それが使えなくなるということになれば作業ができなくなるのは当然です。

そのため定期的にバックアップを取ったり、初期設定をしっかり行いシステムが常に正常に動くようにしておくなどの対策を講じておくことが必要です。

在庫管理システムの比較ポイント

さまざまな在庫管理システムがある中で、どのようにして選べばよいのか分からない方もいると思います。ここでは比較ポイントをいくつかピックアップしてみます。迷った時は、以下の内容を比較して、導入する在庫管理システムを決めるようにしましょう。

自社に合ったシステムかどうか

まず一番大事なのが、自社に合ったシステムかどうかです。まず管理したい商品は何か、管理場所は店舗なのか倉庫なのか、クラウド型を利用するのかオンプレミス型なのかなどによって、利用できる在庫管理システムは変わってきます。そのため、自社の管理環境に合わせて在庫管理システムを導入することで、業務の効率化はスムーズに行われるでしょう。

必要な機能は搭載されているか

自社の課題としている部分を、解消してくれる機能が搭載されているかいないかも大きな比較対象になるでしょう。もちろん在庫管理システムによっては後付けで機能を追加することも可能ですが、それには余計なコストも時間もかかってしまいます。

そのため自社に必要な機能は何なのかという部分を明確にし、その機能が備わっている在庫管理システムを導入するのが望ましいです。

サポート体制

在庫管理システムは導入して終わりではありません。特にはじめて導入する企業では、導入後のサポートがあるかないかで安心度も変わってきます。例えば、万が一何かのトラブルが起きた時、サポートがなければどう対処していいかわからず、業務に大きな支障をきたす可能性もあります。

そのため、導入後の運用までサポートしてほしいという企業は、保守サービスがあるかどうかの確認を行い導入する在庫管理システムを決めるといいでしょう。

対応できる検品方法

例えば、商品のバーコードを読み取り在庫を管理することができれば、管理業務を効率よく行うことができます。手作業であったり目視で検品を行うものもあるので、しっかり確認するようにしましょう。

おすすめの在庫管理システム

それでは、ここからはおすすめの在庫管理システムをご紹介していきます。数多くある在庫管理システムの中から、2022年人気の商品をご紹介します。在庫管理システムの導入を検討している企業の皆さんは、是非参考にしてください。

COOOLa(クーラ)

https://cooola.jp/

株式会社ブライセンが提供するCOOOLa(クーラ)は、大手企業の物流に関するシステムを開発してきたノウハウを集結した在庫管理システムとなっており、経営者が選ぶ在庫管理システムNO1を獲得しています。

幅広い業種に対応しており、シンプルで使いやすいのが特徴で、作業工程に沿ってメニューが表示されるので、初心者でも簡単に操作することができます。また拡張性もあり、自社に必要な機能だけをカスタマイズして利用することができるので、無駄なコストもかかりません。人員配置機能や生産性算出機能なども備えているので、在庫管理だけではなくさまざまな管理を行ってくれる在庫管理システムといえるでしょう。

ロジザードZERO

https://www.logizard-zero.com/

ロジザード株式会社が提供しているロジザードZEROは、1,400以上の企業で導入されているクラウド型在庫管理システムで、稼働数は全国NO1です。

物流行だけでなく、アパレル業やコスメ業界など多くの業種に対応しており、在庫照会や在庫状況照会の在庫管理機能を搭載しており、リアルタイムに在庫の数量や入出荷状況を確認できる入荷・出荷状況照会機能も搭載されています。また「受注管理システム」や「後払いサービス」といった30以上のシステムと連動させることができ、ロジザード株式会社が提供している「ロジザードOCE」や「「ロジザードZERO-STORE」と連携することで、ECサイトや複数店舗の管理といった管理体制に対応することも可能です。

インターストック

https://www.inter-stock.net/

株式会社オンザリンクスが提供するインターストックは、在庫管理だけではなく運用システム・分析ツール・導入ツールといった物流業に必要な工程を搭載したパッケージ型の在庫管理システムです。

パッケージ型でありながら、必要な機能を追加するときのカスタマイズも無料で行うことができるのが特徴です。中小規模の倉庫管理に向いた在庫管理システムとなっており、しっかりとした在庫管理を行いたい、自社に合った機能をカスタマイズしたいという企業にはおすすめの在庫管理システムです。

アシスト店長

https://assist-tencho.com/

株式会社ネットショップ支援室が提供しているアシスト店長は、在庫管理・顧客管理・受注管理と発送業務などを一元管理する、ECサイト運営企業におすすめの在庫管理システムです。

数量で指定・%で指定・全店舗一律から設定を行うことで、自動で在庫数を表示してくれるため、在庫管理の効率化を図ることができ、納品書や領収書などの波高も自動で行ってくれるため、スムーズにやり取りが可能になります。またカートシステムや決済サービスなどとも連携することができるので、顧客の決算もスムーズに行うことができるでしょう。

logiec

https://www.hapilogi.co.jp/

株式会社はぴロジが提供するlogiecは、物流業に特化したクラウド型の在庫管理システムとなっており、30以上のカートシステムやECサイトと連携させることで、入出荷データをスムーズにやり取りできるような仕組みになっています。

また全国にある、130以上の拠点のデータから物流の流れもしっかり把握し、販売機会の損失を防止してくれる機能も搭載されています。さらに初期費用や運用コストもかからないため、コストを安く抑えたいという企業にもおすすめの在庫管理システムです。

ネクストエンジン

https://next-engine.net/

Hamee株式会社が提供しているネクストエンジンは、全国4,700店舗で導入実績を持ち、約36,000店舗以上で導入されている、人気NO1の在庫管理システムです。

Amazonや楽天市場など14モールと20種類のカートと、実装しているシステムと連携することができるのは大きなメリットです。ECサイトに特化したシステムなので、コスト削減のための機能も多く搭載しているのも魅力で、もし必要な機能がある場合はアプリで操作することができるので、どのような変化にも即対応することができます。

ロジクラ

https://logikura.jp/

株式会社ロジクラが提供するロジクラは、通販サイトに特化したクラウド型の在庫管理システムです。無料で使える管理ソフトで、クラウド型ということもありスマートフォンやパソコンといった端末で操作することが可能です。

基本的な管理機能以外にも、宅配送り状や納品書などの作成も行うことができ、複数の顧客や店舗の在庫を一元化することができるので、余剰在庫を防ぐことができます。またスマレジやネクストエンジンといったシステムとも連携できるのもメリットです。

Locus Mapping

https://rflocus.com/

RFルーカス株式会社が提供しているLocus Mappingは、位置情報をインプットしてデジタルマップに表示することができる在庫管理システムです。

商品にRFIDタグを貼っておくだけで、どこにどの商品があるのかをマップ上に示してくれるので倉庫内を探す必要もなく、これだけで棚卸業務など80%以上を削減できるといわれています。またRFルーカス株式会社の提供サービスである「Locus Gate」や「P3 Finder」と連携させることで、更なる作業の効率化を実現することができます。

ZAICO

https://www.zaico.co.jp/

株式会社ZAICOが提供しているZAICOは、誰でも簡単に在庫管理を行うことができるシンプルで操作性の高いクラウド型の在庫管理システムです。

スマートフォンやタブレットなどから操作することができ、バーコードで読み取って在庫管理ができます。また店舗ごとに在庫情報を閲覧することができ、もし在庫が足りなくなってしまった場合、アラームで知らせてくれる機能もあるので、在庫不足になり販売機会を失うこともありません。

在庫スイートクラウド

https://infusion.co.jp/zsc/

株式会社インフュージョンが提供している在庫スイートクラウドは、既存システムを活かしながらサブシステムとして導入することができる在庫管理システムです。

実在庫管理と庫内作業支援を行ってくれる「Pro」、リアルタイムに実在庫を把握する「Lite」、実地棚卸とバーコード発行に特化した「棚卸」の3つのサービスから選ぶことができるので、自社のニーズに合ったサービスを選ぶことができるうえ、コストも最小限に抑えることができます。またデバイスにはスマートフォンを利用することができるため、誰でも操作することができ、在庫管理もバーコードを読み取るだけなので作業の効率化も実現することができます。

GEN(ジェン)

https://www.gen-square.com/

GEN株式会社が提供しているGEN(ジェン)は、すべての管理業務を一元化できるです。

通常の在庫管理のほか、販売管理や管理会計、顧客管理や購買管理など自社の必要性に合わせて実装するかどうか決めることができ、カレンダー表示機能により在庫の確認ができるので、どの倉庫から出荷することができるかを知ることもできます。また画面構成や帳票編集などのカスタマイズも無料で行うことができます。操作性にも優れECサイトのような感覚で操作できるので「コストを安く抑えたい」「専門知識が乏しい」という中小企業におすすめの在庫管理システムです。

在庫らくだプロ22

https://www.bsl-jp.com/products/zaiko/

株式会社BSLシステム研究所が提供している在庫らくだプロ22は、過剰在庫や在庫切れを防ぐことで棚卸しの作業を効率化してくれるオンプレミス型の在庫管理システムです。

基本的な在庫管理のほか、発注計画やロット管理といった分析に役立つ機能も搭載されているので適切な在庫数を保つのに役立てることができます。また保守サービスも充実しており、システムのバージョンアップや最新版へのアップロードなども無料で行ってくれ、初期費用や月額費用も無料から始めることができます。

まとめ

この記事では、在庫管理システムについて詳しく解説してきましたがいかがでしたでしょうか。在庫管理は商品を扱う業種では必要不可欠な業務といえます。在庫管理がおろそかになってしまうと、余計なコストと時間もかかり、人為的なミスも発生し顧客とのトラブルにもなりかねません。

在庫管理システムの導入は、それらの課題を解消し大きなメリットをもたらしてくれます。ただし、導入方法を間違ってしまってはデメリットしか生じません。そのため、自社が解決したい課題を明確にし、自社のニーズに合った在庫管理システムを選択する必要があります。

在庫管理システムの導入を検討している方は、この記事を参考にしていただき、自社に合った在庫管理システムを導入し、在庫管理を効率的に行い自社の発展に役立ててください。

【scratch開発のデメリットとは?】開発手順やパッケージ開発との違いについても徹底解説!

scratch開発のデメリットとは?開発手順やパッケージ開発との違いについても徹底解説!

システムを開発する際には、必ず目にするscratch開発ですが、パッケージ開発の台頭により近年ではそのほとんどがパッケージ開発の製品となっています。なぜscratchによってシステム開発が行われることが少なくなってしまったのでしょうか。

この記事では、scratch開発のデメリットやパッケージ開発との違いについても詳しく解説していきます。

scratch開発とは?

scratch開発とは、既存のパッケージソフトなどを使わずに、ゼロから完全オリジナルのシステムを作り上げることをいいます。そのため、自社のニーズに沿ったシステムを作り上げることができます。

scratch開発のデメリット

scratch開発が行われなくなってきた理由には、scratchが持つデメリットも要因のひとつといえるでしょう。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

コストと時間がかかる

まずデメリットの大きな一つとしてあげられるのはコストの問題でしょう。想像していただければ分かると思いますが、既存の物を使用して作り上げるものと、全てを作り上げるのでは当然コストは変わってきます。そのため、パッケージ開発と比べた時に雲泥の差が出てしまいます。

更に問題なのが完成までの時間です。こちらも想像に易しですが、パッケージ開発がシステムを完成させるまでにかかる期間が3ヵ月から6ヵ月といわれてるのに対し、scratchは1年から3年といわれています。この完成までにかかる期間も大きなデメリットといえるでしょう。

開発者選びが重要

scratchを選択して開発会社にシステム構築をする場合、エンジニアのレベルが重要になってきます。こちらからの希望や要件を、しっかり反映してくれるエンジニアでなければ思い通りのシステムを作り上げることができません。

当然レベルの高いエンジニアは多くいます。しかし、そのようなエンジニアが必ず見つかるわけではありません。また開発会社に依頼する段階では、それを知るすべがありません。実際完成した段階で、ミスマッチが発生してしまうということもよくあります。エンジニアによって出来上がるものが違うのはデメリットになります。

失敗しやすい

この前に解説した内容と少し被りますが、単純に失敗しやすいのがデメリットです。既存のプログラムなどを使用してシステムを作り上げるパッケージ開発では、このようなことはほぼないでしょう。

開発をしていく中でも、高度なスキルと知識が必要になるscratchは、やはり完成までの工程の段階で、暗礁に乗り上げてしまったり思った通りに進まないといったことがあります。

開発に至るまでの工程で負担がかかる

ゼロからシステムを作り上げるということは、全ての機能を企業側で決定する必要があるということです。つまり要件定義にその全てを組み込む必要があるうえ、それらを開発会社へ正確に伝える必要があります。初期段階に行われる打ち合わせでの、企業側の負担は思ってる以上に大きくなるでしょう。

scratch開発の流れ

ここまでscratch開発のデメリットについて解説してきました。では実際の開発手順とはどのような流れになるのでしょう。簡単に解説します。

基本的な流れは、他のシステム開発と変わりません。流れ的には基本的な計画と要件を詰め込んだ要求仕様を確定していきます。先ほども言いましたが、工程の中ではここが一番重要になってきます。scratchでシステムを開発して行く場合、この要求仕様が全てになるので、これに合わせてエンジニアは開発を進めていきます。もししっかりと詰めた話やあいまいな要求仕様だと、完成品は間違いなく納得のいくものには仕上がらないでしょう。

それに従って、各ポジションで設計を行い実際に開発へと入っていきます。その後、各機能のテストを行いリリースという形になります。

基本的な流れはこのような感じになりますが、始めの段階でしっかりと情報を理解し共有しなければ、完成したあとに改善しなければいけなくなり余計なコストと時間を費やしてしまうので気を付けなければいけません。

scratch開発とパッケージ開発はどう違う?

まずパッケージ開発がどのようなものなのかを知る必要があります。パッケージ開発というのは簡単に言えば、すでにあるシステムに、必要な機能を付け足すことによってシステムを開発していく方法になります。そのため、時間的にもコスト的にもscratchより優れていることになります。

またscratchと違い、あらゆる知識に精通する高度な技術をそこまで必要としません。一定のスキルを持ち合わせていれば開発していくことが可能になるので、失敗するリスクを負うことなく開発を任せられるでしょう。

このように全くの真逆の性質を持つ2つの開発方法になります。最近ではあらゆる面を考慮したうえでパッケージ開発を選択する企業が非常に多くなっています。

scratch開発の失敗事例

ここからは、scratch開発を選択したことによって起こってしまった失敗事例をいくつかご紹介したいと思います。もちろん頻繁にこのようなことが起こるのかといえばそうではありませんが、scratchが持つデメリットによって起きてしまった事例になります。

前述してきたように、scratchには注意しなければいけない点がいくつか存在します。それらを怠慢にしたためにさまざまなことが起きてしまうわけです。

それでは実際にどのようなことが起きてしまったのか見ていきましょう。

希望通りの完成品ではなかった

これは事前準備ができていなかったがために起きてしまった失敗事例です。先ほども解説した通り、scratchの開発の工程において一番重要な工程は要求仕様です。このケースの場合その要求仕様を、開発会社と意思疎通が行き届くまでしっかり行わなかったために、完成したものが思っていたものと全く違うシステムに仕上がってしまい、そこから完成まで更に6ヵ月間の期間を要し、余分なコストもかかってしまったということです。

これにより、企業側も大幅な予定の変更を余儀なくされ、大きな損失に繋がってしまいました。

知識不足によりコストが膨れ上がった

scratch開発は全ての機能をゼロから実装していくため、コストが高くつくことは説明してきました。これは、実装する機能一つひとつにコストがかかるため、その量によってコストはかさんでいくことになります。

このケースは実装する機能の金額を把握していなかったが耐えに起きた事例です。さらに実装する機能によってはエンジニアの数も増やす必要があり、それによる人件費もプラスになります。それらを見誤ったことにより、当初予定していた開発費用よりも高くついてしまい、実装したかった機能をあきらめてしまったということです。

特にscratch開発の場合、ある程度の知識を持っていなければこのような事例が起きてしまうことが多々見受けられます。依頼側も知識がなければおいおいトラブルになってしまいます。

追加要件を伝えたことで開発中止に

このケースはある医療機関で起きた事例です。依頼側と開発会社の認識のずれが引き起こしたケースになり、今回のケースでは開発が注意になったうえ、裁判にまで発展してしまった最悪のケースです。

本来依頼側というのは、余計なコストをかけないためにも厳しい納期を要求することがあります。もちろん開発会社側も、それを承知で依頼を受けるわけですが、今回の場合はそれに加えて、追加の要望が1000以上も寄せられたということです。それに対応しきれなくなった開発会社は、開発を中止。それを不服とした依頼側はそれを不服とし提訴をするまでに至ったということです。

このように、scratch開発は時間が非常にかかるためこのようなことが起こってしまうわけです。

scratch開発はもう時代遅れなのか

これまでさまざまな角度でscratch開発についてご紹介してきましたが、実際scratch開発のように、時間やコストがかかる開発方法は今の時代には合わないといわれています。

今回の記事の中でもあげましたが「パッケージ開発」や、開発に必要なプログラミングの知識がなくても開発ができる「ノーコード開発」、誰でも気軽に始めることができる「クラウド開発」など、多くの開発方式が誕生し人気を集めています。

それらの開発方式と比べると、デメリットが多いscratch開発は古い様式に感じられ、時代遅れというように、とらえられてしまうのかもしれません。

まとめ

この記事では、scratch開発のデメリットや失敗事例について解説してきました。今回ご紹介してきたように、scratch開発は「ノーコード開発」、「パッケージ開発」、「クラウド開発」と比べてしまうと、多くの面で見劣りしてしまいます。そのため、すでに時代遅れではないかという意見も出ているほどです。

とはいえ、scratchにもメリットはあり、現在もscratch開発を利用してシステム開発を行っている企業はありますので、企業のニーズに合わせて開発方法を選ぶことをおすすめします。