プログラミング初心者が、Webアプリケーション開発を行いたいと考えた時に、何から手をつけていいのかわからないといったようなことはよくあることです。特に数あるプログラミング言語やフレームワークのうちどれを選択すべきか迷ってしまうでしょう。
本記事では、Webアプリケーション開発の手順について、基本的な知識を解説しながら、おすすめのプログラミング言語やフレームワーク、さらには開発ツールやシステム開発会社についてもご紹介致します。
Webアプリケーションとは
Webアプリケーションを開発する前に、Webアプリケーションについて深く理解をしておきましょう。まず、Webアプリケーションとは、インターネットブラウザ上から閲覧及び操作が可能なアプリケーションのことです。代表的な例としては、Amazon、Twitter、Facebook、Googleドキュメント、Gmail等が挙げられます。
情報収集しかできないWebサイトとは違い、コメントをはじめ、データの加工や商品の購入等ができるという特徴を持つのがWebアプリケーションです。
Webアプリケーションのメリット
Webアプリケーションには、様々なメリットがありますが、今回は特に代表的なメリットをピックアップして解説致します。
1つのアカウントを作成するだけであらゆる端末で利用可能
Webアプリケーションは、1つのアカウントを作成しておくだけで、例えば自宅ではPCで使用し、外出時ではスマートフォン端末等から使用するという使い分けをすることが可能です。個別の端末毎にアカウントを用意する必要がないため、ユーザー視点で見るとストレスフリーなアプリケーションとなります。
情報制限がないためあらゆるコンテンツの提供が可能
Webアプリケーションは、アプリケーションストアを介することがない(審査がない)ため、コンテンツ内容の幅も広くなります。
常に最新情報の表示が可能
Webアプリケーションは、サーバーで一元管理されているため、管理が容易であり、ユーザー視点で見てもプログラムの更新を行うだけで常に最新のアプリケーションを使用することが可能です。
Webアプリケーションのデメリット
Webアプリケーションには、メリットだけでなくデメリットも存在します。メリットだけに目を向けず、デメリットについてもきちんと理解しておきましょう。
ネイティブアプリと比較し動作が遅い
Webアプリケーションの強みであるWebブラウザを通して使用するということが仇となり、スムーズな動作が難しいという側面があります。
インターネット環境が必要
Webアプリケーションは、Webブラウザを通して使用することになるため、当たり前のことではありますが、オフライン環境では動作しません。
端末保有の機能を利用不可能
Webアプリケーションは、ネイティブアプリやハイブリッドアプリと違い、ユーザーの端末が元々保有している機能(カメラ)等の機能を使用することは不可能です。
Webアプリケーションの仕組み
ここからは、Webアプリケーションの仕組みについて解説していきます。Webアプリケーションは、大きく分けて次の3つの仕組みのよって動作しています。
- フロントエンド
- バックエンド
- データベース
フロントエンド
Webアプリケーションにおけるフロントエンドとは、直接ユーザーの目に触れる部分のことを指し、ユーザーが文字入力をしたり、クリックをしたりするボタンの部分や、サーバー側であるバックエンドのソフトウェアと直接やりとりを行う部分のことです。別名クライアントサイドとも呼ばれています。
バックエンド
Webアプリケーションにおけるバックエンドは、フロントエンドと対となる部分であり、ユーザーからは見えないサーバーサイドの部分のことを指し、具体的には、ユーザーがフロントエンドで入力した内容等のデータ処理及びデータベースへの保存や、検索結果の出力のことです。
データベース
Webアプリケーションにおけるデータベースとは、大量のデータを管理及び再利用しやすいように再現された塊のことです。
Webアプリケーション開発の手順
Webアプリケーションの基礎知識及び仕組みを理解したところで、ここからは開発の手順について解説致します。
設計
開発するWebアプリケーションの内容が定まった段階で、必要なページをサイトマップとしてまとめます。その後、それぞれのページのどのようなリンク及びボタンを配置するのかを整理したレイアウト(ワイヤーフレーム)を作成します。さらにデータベースが必要となるWebアプリケーションを開発する場合には、別途データベースの設計も必要です。
開発言語及びフレームワークの決定
後ほど詳細を解説致しますが、フロントエンド及びバックエンドそれぞれの開発には、それぞれに適したプログラミング言語及びフレームワークが存在します。実装したいと考えるWebアプリケーションの内容に合わせて最適なものを選択しましょう。
開発ツールの決定
Webアプリケーション開発においては、一般的に開発ツールを利用します。こちらについても後ほど詳細を解説致しますが、よく利用されるツールはバージョン管理システムとなっており、複数人で開発を行ったとしても履歴を確認できたり、その時点毎の状態を再現できたりといった機能を活用することが多いです。
公開
Webアプリケーションが完成したら、ドメインを取得し、サーバーを用意します。サーバーは自身で立ち上げても、レンタルサーバーを借りてもどちらでも問題ありません。
Webアプリケーション開発におすすめの言語
Webアプリケーション開発に必要となる言語は、開発する部分によって変わってきます。それぞれの開発におすすめの言語を解説致します。
フロントエンド
ユーザーの目に触れる部分のフロントエンドの開発を行う際に欠かせない言語は下記の3つの言語となります。
言語 | 特徴 | メリット | デメリット | |
HTML | 様々なデータをコンピュータが読み取ることができるようにタグ付けを行う言語 | 文字にデザイン性を与えたり、リンクを繋げたり、画像を貼ったりすることが可能 タグを使用するだけで文字の装飾及びリンクの貼り付けが可能 | 動的な表現は不可能 簡易的なデザインしか作成不可能 1つのミスの影響範囲が大きい | |
CSS | Webページのスタイルを指定する言語 | 文章構造を保ちつつスタイルを指定可能 メンテナンス性の向上 | 表示されるブラウザによっては再現性が異なる | |
JavaScript | 非同期処理が可能 | 強力なフレームワークが揃っている プログラミング初心者でも習得しやすい フロントエンド及びバックエンドどちらも対応可能 | 処理スピードが遅い 表示されるブラウザによって挙動が異なる |
バックエンド
フロントエンドに対し、ユーザーの目に直接触れることのないバックエンドの開発を行う際には、下記の言語がおすすめです。
言語 | 特徴 | メリット | デメリット |
Java | オブジェクト指向 OSは問わない | 日本語のソースが多い | 習得に時間がかかる |
C言語 | OSは問わない | 汎用性が高い 実行スピードが速い | 習得難易度が高い |
C# | オブジェクト指向 | Javaと似ている マイクロソフト及びWindowsとの相性が良い | Linuxでの開発には不向き |
Ruby | オブジェクト指向 スクリプト言語 | 少ない記述量で良い 習得しやすい 保守性の高いプログラムを作成可能 自由度が高い | 処理スピードが遅い |
Python | オブジェクト指向 プログラミングが楽しい | 少ない記述量で良い 習得しやすい 修正しやすい | 処理スピードが遅い 日本語ソースが少ない |
PHP | 動的型付け言語 | 強力なフレームワークが揃っている 習得しやすい シンプルである | 処理スピードが遅い |
JavaScript | 非同期処理が可能 | 強力なフレームワークが揃っている プログラミング初心者でも習得しやすい フロントエンド及びバックエンドどちらも対応可能 | 処理スピードが遅い 表示されるブラウザによって挙動が異なる |
Webアプリケーション開発におすすめのフレームワーク
ここからはWebアプリケーション開発におすすめのフレームワークについて解説致します。
フレームワーク | 使用言語 | 特徴 | メリット | デメリット | |
CakePHP | PHP | MVCアーキテクチャで構築 | 初心者でも習得しやすい 複数人での開発に適している | 規約が厳しいためカスタマイズ性に欠ける | |
Ruby on Rails | Ruby | MVCアーキテクチャで構築 オブジェクト指向 | 汎用性が高い シンプルで初心者でも習得しやすい | 実行スピードが遅い 記述に差が出ることがある | |
Django | Python | 無料のオープンソース | 管理画面が自動生成 汎用性が高い セキュリティ的に安全 メンテナンスが容易 | 日本語ソースが少ない | |
AngularJS | JavaScipt | フロントエンド側のフレームワーク オープンソース フルスタックフレームワーク | 記述量が少なくて良い | ファイル容量が大きいため、パフォーマンスが低い | |
ASP.NET | 特定の言語に依存しない | オープンソース | 特定の言語に依存しないため初心者でも取り入れやすい | ソースが少なく習得しにくい |
Webアプリケーション開発におすすめの開発ツール
Webアプリケーション開発に必須の開発ツールのうちおすすめのものをご紹介致します。
開発ツール | 特徴 | メリット | デメリット |
Sourcetree | Gitの分散管理システムツール操作を効率的に行うGUI Windows及びMacどちらにも対応 | 無料 日本語に対応 直感的な操作が可能 全体の作業の可視化 | 処理スピードが遅い |
GitHub | Gitの仕組みを利用し、世界中の人々がプログラムコード及びデザインデータ等を保存及び公開することができるサービス | リポジトリをサーバー上で管理することが可能 無償版と有償版がある チーム開発を行う時に便利 効率的な開発が可能 | |
Bitbucket | プロフェッショナルチーム向けのGit管理ツール | チームでのプロジェクト管理に強い プライベートなリポジトリを無料で作成可能 | |
Cacco | テンプレート及びステンシルを用いてワイヤーフレーム及びAWS構成図、マインドマップ等を簡単に描くことができるツール | ダウンロード不要 ブラウザ上で利用可能 複数人で図を同時に編集したとしても重くならない 豊富なテンプレート | 接続状況が不安定なことがある |
Webアプリケーション開発を学ぶ方法
Webアプリケーション開発を学ぶ方法はいくつかありますが、それぞれメリットやデメリットがありますので、理解した上で最適なものを選択しましょう。
プログラミングスクール
金銭的に余裕があるということであれば、プログラミングスクールに通って経験豊富な講師から学ぶというのが一番手っ取り早い方法です。都度質問をして疑問点を解決することができますし、仲間も多いため切磋琢磨することができます。
学習サイト
プログラミングスクールに通うほどの金銭的余裕がなく、独学で学びたいという時には、無料または有料の学習サイトを利用するという手段があります。選択する言語やフレームワーク、開発ツールによって、ソースの多さは変わってきますが、動画でわかりやすく説明してくれたり、実際に簡単なプログラミングを行いながら学んだりと様々なパターンが存在します。例えば下記のような学習サイトが存在します。
paizaラーニング 「Webアプリケーションを作りたい」入門講座
paizaラーニングでは、Webアプリケーション開発についての講座が多数あります。ただし、プログラミング言語の基礎知識は既に身に付いている人向けとなっているので注意が必要です。
Paizaラーニング「Webアプリケーションを作りたい」入門講座一覧 | https://paiza.jp/works/search_courses/1010 |
書籍
学習サイトで学びつつ、並行して書籍を利用するというのも一つの独学方法です。選択する言語やフレームワーク、開発ツールによって出版されている本の数は大きく変わってきますが、様々なレベルや視点の書籍が数多く出版されているので、自分に合った一冊を手に入れておくのがおすすめです。Webアプリケーション開発においては、下記のような書籍がおすすめです。
知識ゼロからのWebアプリ開発入門
Ruby on Railsを用いたWebアプリケーション開発についての入門書。Rubyを用いたプログラミングの基礎をはじめ、Webアプリケーションの仕組み、Ruby on Railsを使用した実際のWebアプリケーション開発までを解説しています。
書籍名 | 著者名 | 出版社 |
知識ゼロからのWebアプリ開発入門 | 町田 耕 | 技術評論社 |
基礎からのWebアプリケーション開発入門 Webサーバーを作りながら学ぶ(Software Design plusシリーズ)
Webサーバーを実際に作成しつつ、さらに実際に動かして結果を見ながら、様々な技術要素について1つ1つ解説してくれる一冊。文字を読むだけではないため、Webアプリケーション開発について実践的な力を身につけることが可能です。
書籍名 | 著者 | 出版社 |
基礎からのWebアプリケーション開発入門 Webサーバーを作りながら学ぶ(Software Design plusシリーズ) | 前橋 和弥 | 技術評論社 |
Webアプリケーション開発を外注する際のおすすめシステム開発会社
Webアプリケーション開発について、様々な面から解説致しましたが、自作するのではなく、外注したいと考える場合、おすすめのシステム開発会社をピックアップしましたのでご紹介致します。
Sky株式会社
Sky株式会社では、従来型の開発手法に囚われず、近年注目が集まるSPAのプラットフォームを利用した開発にも対応しています。主にReact、Vue.js、AngularといったJavaScriptフレームワークを中心とした開発を行っており、デザイナーとエンジニアが綿密にやりとりしながらデザイン性を保持しつつパフォーマンスもしっかりとしたWebアプリケーションの開発を実現します。
Sky株式会社 | https://www.skygroup.jp |
株式会社エスエヌシー
株式会社エスエヌシーでは、LAMP環境でのWebアプリケーション開発を中心とし、Webデザインをはじめシステム開発及び保守、さらにはインフラ構築に至るまでワンストップのWebアプリケーション開発が可能です。
株式会社エスエヌシー | https://www.sncj.co.jp |
株式会社ジークス
株式会社ジークスでは、インタラクションを重視し、操作性の高いUIをWebアプリケーションで実現することが可能です。これまでもネイティブアプリに匹敵するようなWebアプリケーションを多数開発した実績を持ち、サーバーサイドアプリケーションやデータベースとの連携も得意としています。
株式会社ジークス | https://www.zyyx.jp |
岩通ソフトシステム株式会社
岩通ソフトシステム株式会社では、多数のWebアプリケーション開発の実績があります。40年を超える確かな経験と実績を生かし、各クライアントの要望に合ったWebアプリケーションを開発してくれます。
岩通ソフトシステム株式会社 | https://www.iwass.co.jp/index.html |
株式会社YAZ
株式会社YAZでは、Webサービスを創る上で、企画から開発運用までの全てをサービス提供してくれます。15年以上の実績を誇り、クライアント及びユーザーのために進化し続ける会社です。
株式会社YAZ | https://www.yaz.co.jp |
まとめ
Webアプリケーション開発について、本記事では、基本的な知識を解説しながら、おすすめのプログラミング言語やフレームワーク、さらには開発ツールやシステム開発会社についてもご紹介致しました。
プログラミング初心者であっても、フロントエンドやバックエンドなどの開発したい部分に合わせて言語やフレームワークを学び、適切な開発ツールを選択することで、開発に携わることができることがわかりましたね。
なるべく日本語のソースが多く、習得しやすい言語から勉強を始め、挫折しないようにし、段階的にさらなる知識を習得していくようにしていきましょう。