オフショア開発とアウトソーシング、それぞれの違いを正しく理解していますか?
言葉は似ていても、その内容は大きく異なります。
それぞれのメリット・デメリットや向いている開発プロジェクト、注意すべきポイントなどを正しく理解しないまま進めると、プロジェクトの失敗や多大な損失につながる可能性も。
この記事では、IT企業の経営者・責任者様が知っておくべき情報を、具体的事例を交えながら詳しく解説します。
失敗しないオフショア開発・アウトソーシングの秘訣を、ぜひここで手に入れてください。
この記事を読んでほしい人
- システム開発・ソフトウェア開発のコスト削減を検討している企業の経営者・責任者の方
- IT人材不足に悩んでいるIT企業の経営者・責任者の方
- グローバル展開を視野に入れている企業の経営者・責任者の方
この記事でわかること
- オフショア開発とアウトソーシングの違い
- オフショア開発とアウトソーシングのメリット・デメリット
- オフショア開発を成功させるための注意点と対策
オフショア開発とアウトソーシングの違いとは?
早速オフショア開発とアウトソーシングの違いを解説します。
- アウトソーシングとは?
- オフショア開発とは?
- 委託する業務内容の違い
オフショア開発とアウトソーシングの違いについて知りたい方は押さえておきましょう。
アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは、社内のリソースでは対応が難しい業務を、外部の企業や専門家に委託することです。
たとえば、経理業務、人事管理、Webサイト制作、システム開発などを外部に委託するのがアウトソーシングにあたります。
委託先は国内企業でも海外企業でも構いません。
オフショア開発とは?
オフショア開発とは、アウトソーシングの一種で、システムやソフトウェアの開発業務を海外の企業に委託することです。
一般的に、人件費の安いアジア諸国(ベトナム、中国、インドなど)に開発を委託して、コスト削減を図ることがおもな目的となります。
委託する業務内容の違い
アウトソーシングで委託される業務は多岐にわたり、経理、人事、総務、営業、マーケティングなど、企業のあらゆる業務がアウトソーシングの対象となるため、広い意味で言えばオフショア開発もアウトソーシングに含まれます。
オフショア開発で委託される業務は、おもにシステム開発やソフトウェア開発といったIT関連業務が中心です。
近年では、Webサイト制作、アプリ開発、AI開発など、高度な技術を要する業務もオフショア開発で委託されるケースが増えています。
オフショア開発のメリットと事例
続いて、オフショア開発のメリットと事例をご紹介します。
- 開発コストを削減できる
- IT人材不足を解消できる
- グローバル展開の足がかりになる
- オフショア開発の事例
オフショア開発を検討している方は参考にしてください。
開発コストを削減できる
オフショア開発の最大のメリットは、開発コストを大幅に削減できることです。
人件費の安い国に開発を委託することで、国内で開発する場合と比べて、大きなコスト削減を実現できます。
このコスト削減効果は、特にスタートアップ企業や中小企業にとって大きな魅力です。
限られた予算の中で、高品質なシステム開発を実現できる可能性が広がります。
IT人材不足を解消できる
オフショア開発を活用すれば、海外の優秀なIT人材を活用できるため、人材不足の問題を解消できます。
特に、国内ではIT人材が不足しており、優秀なエンジニアを確保することが困難な状況です。
海外には、日本よりもIT教育が盛んな国も多く、高度なスキルを持つエンジニアが豊富にいます。
彼らと連携することで、自社だけでは実現できないような技術革新も可能なのです。
グローバル展開の足がかりになる
オフショア開発を通じて海外企業と連携することで、現地の市場やニーズに関する情報収集ができ、グローバル展開の足がかりになります。
これは、海外市場への進出を検討している企業にとって大きなメリットです。
現地の文化や商習慣を理解した上で、適切なローカライズを行うことで、海外市場での成功確率を高められます。
オフショア開発の事例
ある日本のIT企業は、ベトナムにオフショア開発拠点を設立し、自社製品の開発を委託しました。
その結果、開発コストを50%削減し、開発期間も短縮することができただけでなく、ベトナム人エンジニアの技術力の高さに驚き、現在ではベトナムでの開発体制をさらに強化しています。
オフショア開発のデメリットと対策
ここからは、オフショア開発のデメリットと対策をご紹介します。
- コミュニケーションの齟齬が起きる可能性がある
- 品質管理が難しい
- 納期遅延のリスクがある
オフショア開発にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
事前にデメリットを把握し、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
コミュニケーションの齟齬が起きる可能性がある
オフショア開発では、言葉の壁や文化の違いから、コミュニケーションの問題が発生することがあります。
<コミュニケーションの問題に対する対策>
- ビデオ会議システムやチャットツールなどのコミュニケーションツールを積極的に活用する
- 日本語が堪能なブリッジSE(システムエンジニア)を配置する
- 定期的なミーティングを開催し、認識のズレがないか確認する
- 仕様書や設計書を詳細に作成し、誤解を防ぐ
- アジャイル開発など、コミュニケーションを重視する開発手法を採用する
品質管理が難しい
オフショア開発では、国内開発と比べて品質管理が難しいという側面もあります。
<品質管理の難しさに対する対策>
- 定期的な進捗確認やコードレビュー、テストの実施などを徹底する
- ISO9001やCMMIといった国際的な品質基準を満たしている開発会社を選ぶ
- プロジェクトマネジメントツールを活用し、進捗状況や課題を可視化する
- SLA(サービスレベルアグリーメント)を締結し、品質基準を明確にする
- テスト工程に十分な時間を確保し、テストケースを詳細に作成する
納期遅延のリスクがある
オフショア開発では、時差や文化の違い、予期せぬトラブルなどにより、納期が遅れるリスクがあります。
<納期遅延のリスクに対する対策>
- 余裕を持ったスケジュールを立てる
- リスク管理計画を作成し、リスク発生時の対応策を事前に検討しておく
- 定期的な進捗確認を行い、遅延が発生した場合には早期に対応する
- ペナルティ条項などを契約書に盛り込む
アウトソーシングのメリット
ここからは、アウトソーシングのメリットをご紹介します。
- コア業務へ集中できる
- コストを削減できる
- 専門知識を活用できる
アウトソーシングを検討している人は参考にしてください。
コア業務へ集中できる
アウトソーシングにより、コア業務以外の業務を外部に委託することで、経営資源をコア業務に集中させられます。
たとえば、採用や教育、給与計算などの人事業務をアウトソーシングすれば、人事担当者はより戦略的な業務に注力可能です。
コストを削減できる
アウトソーシングは、必ずしもコスト削減につながるわけではありませんが、適切な委託先を選定し、契約内容を工夫することで、コスト削減を実現できる可能性があります。
たとえば、自社で雇用するよりも低いコストで専門性の高い人材を確保できるなどといった場合です。
専門知識を活用できる
アウトソーシングを活用することで、自社にない専門知識やノウハウを持つ外部企業の力を借りれます。
たとえば、最新のIT技術に関する知識や、法律に関する専門知識などを必要とする業務をアウトソーシングすることで、リスクを軽減し、効率的に業務を進められるのです。
アウトソーシングのデメリットと対策
続いて、アウトソーシングのデメリットと対策をみていきます。
- 情報漏洩のリスクがある
- コントロールが難しい
- 自社でノウハウが蓄積されない
アウトソーシングを依頼してから後悔しないように確認しておきましょう。
情報漏洩のリスクがある
アウトソーシングでは、企業の機密情報が外部に漏洩するリスクがあります。
<情報漏洩のリスクへの対策>
- 秘密保持契約を締結する
- セキュリティ対策を徹底している企業を選ぶ
- アクセス権限を適切に管理する
- 定期的なセキュリティ監査を実施する
- クラウドサービスの利用を検討する
コントロールが難しい
アウトソーシングでは、委託先の業務を完全にコントロールすることが難しくなります。
<コントロールが難しいときの対策>
- 定期的な進捗報告を義務付ける
- KPI(重要業績評価指標)を設定し、目標達成度を評価する
- コミュニケーションを密に取り、問題点を早期に発見・解決する
- 契約書に詳細な業務内容や成果物、責任範囲などを明記する
自社でノウハウが蓄積されない
アウトソーシングに依存しすぎると、自社内でノウハウが蓄積されず、いざという時に対応できなくなるリスクがあります。
<自社でノウハウが蓄積されない場合の対策>
- アウトソーシングする業務と自社内で行う業務を明確に区分する
- 定期的な情報共有を行い、ノウハウを社内に蓄積する
- 複数の委託先と契約し、リスク分散を図る
オフショア開発の契約の種類
オフショア開発には、おもに以下の3つの契約の種類があります。
- 請負契約
- 準委任契約
- ラボ型契約
それぞれの特徴を押さえておきましょう。
請負契約
請負契約は、システム開発の成果物に対して報酬を支払う契約です。
開発期間や費用が明確であり、発注側にとってはリスクが少ない傾向にあります。
ただし、仕様変更が発生した場合に追加費用が発生する可能性があるため、注意が必要です。
準委任契約
準委任契約は、システム開発の作業時間に対して報酬を支払う契約です。
開発期間や費用が変動する可能性がありますが、発注側は開発状況に応じて柔軟に対応できます。
ただし、作業時間が増えるほど費用も増えるので、注意が必要です。
ラボ型契約
ラボ型契約は、一定期間、開発チームを確保し、開発業務を委託する契約です。
開発期間や費用が明確であり、発注側は開発状況に応じて柔軟に対応できます。
請負契約と準委任契約のメリットをあわせもつ契約形態です。
ベトナムオフショア開発のメリット
ベトナムオフショア開発には、以下のようなメリットがあります。
- 技術力が高い
- 親日国である
- コストパフォーマンスが高い
- IT人材が豊富
- 政府がIT産業の育成に力を入れている
メリットは近年、オフショア開発先としてベトナムが注目を集めている理由そのものです。
技術力が高い
ベトナムは数学教育に力を入れている国であることから、ITエンジニアの技術力は非常に高い傾向にあります。
親日国である
ベトナムは親日国であり、日本人とのコミュニケーションも比較的スムーズです。
コストパフォーマンスが高い
ベトナムは人件費が安く、コストパフォーマンスに優れています。
IT人材が豊富
ベトナムには、若い世代を中心にIT人材が豊富にいます。
政府がIT産業の育成に力を入れている
ベトナム政府は、IT産業の育成に力を入れており、オフショア開発を積極的に支援しています。
オフショア開発におけるラボ型契約とは?
ラボ型契約とは、オフショア開発における契約形態の一つで、一定期間、開発チームを確保し、開発業務を委託する契約です。
オフショア開発でラボ型契約を結ぶと、以下のようなメリットやデメリットがあるので、検討してみてください。
ラボ型契約のメリット
- 柔軟性:開発期間中、仕様変更や追加開発に柔軟に対応できる
- コスト削減:開発期間や費用が明確であり、予算管理がしやすい
- コミュニケーション:開発チームと直接コミュニケーションを取れるため、認識のズレを防ぎやすくなる
ラボ型契約のデメリット
- コスト:請負契約や準委任契約と比較して、コストが高くなる場合があります。
- 管理:開発チームの管理が必要になります。
オフショア開発とニアショア開発の比較
オフショア開発と似た言葉に「ニアショア開発」があります。
どちらも海外の企業に開発を委託するという点では共通していますが、内容は大きく異なるので、解説していきます。
- ニアショア開発とは?
- オフショア開発とニアショア開発の違い
- どちらを選ぶべき?
ニアショア開発とは?
ニアショア開発とは、オフショア開発の一種ですが、地理的に近い国や地域に開発を委託することを指します。
たとえば、日本企業が中国や韓国、台湾などの企業に開発を委託する場合です。
オフショア開発とニアショア開発の違い
オフショア開発とニアショア開発の違いについて、下記表にまとめました。
オフショア開発 | ニアショア開発 | |
委託先 | 主にアジア諸国(ベトナム、中国、インドなど) | 地理的に近い国や地域(中国、韓国、台湾など) |
コスト | 安い | オフショア開発よりは高いが、国内開発よりは安い |
コミュニケーション | 時差や文化の違いから、コミュニケーションが難しい場合がある | 時差や文化の違いが比較的小さいため、コミュニケーションが比較的容易 |
品質管理 | 文化や慣習の違いから、品質管理が難しい場合がある | 文化や慣習が比較的近いため、品質管理がしやすい |
どちらを選ぶべき?
オフショア開発とニアショア開発は、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらを選ぶべきかは、企業の状況やニーズによって異なります。
- コスト重視の場合:オフショア開発がおすすめ
- コミュニケーションや品質管理を重視する場合:ニアショア開発がおすすめ
Mattock シニアコンサルタントが回答!オフショア開発・アウトソーシングに関するよくある質問
ここでは、Mattockのシニアコンサルタントが、オフショア開発・アウトソーシングに関するよくある質問にQ&A形式で回答します。
- Q1. オフショア開発とアウトソーシングの違いは何ですか?
- Q2. BPOとオフショアの違いは?
- Q3. オフショア開発とはITで何ですか?
- Q4. Offshore Outsourcing とはどういう意味ですか?
- Q5. オフショア開発の費用はどれくらいですか?
- Q6. オフショア開発で失敗しないためにはどうすればいいですか?
- Q7. ベトナムでオフショア開発をするメリットは何ですか?
オフショア開発やアウトソーシングについて、疑問や不安をお持ちの方は参考にしてください。
Q1. オフショア開発とアウトソーシングの違いは何ですか?
オフショア開発はアウトソーシングの一種で、システムやソフトウェアの開発業務を海外企業に委託することを指します。
一方、アウトソーシングとは、自社のリソースでは対応できない業務を外部に委託することで、委託先は国内企業でも海外企業でも構いません。
Q2. BPOとオフショアの違いは?
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、経理や人事、コールセンター業務など、企業の業務プロセスの一部を外部に委託することで、オフショア開発は、システムやソフトウェアの開発業務に特化したアウトソーシングの一形態です。
Q3. オフショア開発とはITで何ですか?
オフショア開発は、IT業界において、コスト削減や人材不足の解消などを目的とし、システムやソフトウェアの開発業務を海外企業に委託することを指します。
Q4. Offshore Outsourcing とはどういう意味ですか?
Offshore Outsourcing は、オフショア開発と同じ意味です。
日本語では「海外委託」とも呼ばれます。
Q5. オフショア開発の費用はどれくらいですか?
オフショア開発の費用は、開発規模や内容、開発会社の所在地などによって大きく異なります。
一般的な目安としては、国内開発の50%〜70%程度のコストです。
Q6. オフショア開発で失敗しないためにはどうすればいいですか?
オフショア開発で失敗しないためには、以下の点に注意することが重要です。
- 信頼できる開発会社を選ぶ:実績や技術力、コミュニケーション能力などを確認する
- 契約内容を明確にする:開発内容、納期、費用、知的財産権など、契約内容を明確にする
- コミュニケーションを密にする:開発チームとのコミュニケーションを密に取り、認識のズレがないか確認する
- リスク管理を徹底する:予期せぬトラブルに備えて、リスク管理計画を作成する
Q7. ベトナムでオフショア開発をするメリットは何ですか?
ベトナムでオフショア開発をするメリットとしては次の5つが挙げられます。
- 高い技術力:数学教育に力を入れているため、ITエンジニアの技術力が高い
- 親日的な国民性:日本人とのコミュニケーションも比較的スムーズ
- コストパフォーマンスの高さ:人件費が安く、コストパフォーマンスに優れている
- 豊富なIT人材:若い世代を中心にIT人材が豊富
- 政府の支援:ベトナム政府は、IT産業の育成に力を入れており、オフショア開発を積極的に支援している
まとめ|オフショア開発でビジネスを加速させよう!
オフショア開発とアウトソーシングは、どちらも企業の成長を支援する有効な手段です。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。
特にベトナムは、オフショア開発先として注目を集めており、多くの企業がそのメリットを実感しています。
もし、オフショア開発やアウトソーシングについてお悩みでしたら、ぜひMattockにご相談ください。
専門家がお客様の状況に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。